大会No.1投手(1973年選抜) 江川卓(作新学院)

1973年

もはや伝説の域に達していて、誰もがその名を知っている怪物・江川卓(巨人)。いまだ破られていない大会通算60奪三振(しかも4試合で)という記録もさることながら、そのスピードと回転数の多いボールはこの年まで木製バットだった高校球界では無敵だっただろう。残念ながら生でお目にかかることはできなかったが、バットにボールが当たるだけで観衆が湧くのだから、その投球が与えたインパクトは松坂大輔(西武)以上だっただろう。

2年生時から、無安打無得点や完全試合を連発していただけあって、この代になった瞬間に全国のチームの標的は江川の作新学院となった。しかし、今のように情報が簡単に得られなかった時代。そんな中で選抜で作新学院を破った広島商が大戦前から立てていた作戦もまた規格外であった。

選球眼を鍛え上げて連続四球を選び、まず1アウト2,3塁と作る。相手守備陣が前進守備を取ると、2塁ランナーはできる限りリードを奪う。そして、スクイズを仕掛けて成功すれば1点。仮に失敗しても3塁ランナーが捕手とホームで交錯する間に2塁ランナーが後ろからホームを陥れるというものだった。機動力野球の神髄を極めた広島商らしい作戦だが、江川卓という存在があってこそのものであった。

江川卓 甲子園 選抜で最も速かった男 – YouTube

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