大会No.1投手(2022年夏) 山田陽翔(近江)

2022年

みちのく勢初優勝を果たした仙台育英やジャイアントキリングを果たした下関国際など、魅力的なチームの多かった2022年の選手権大会。しかし、こと選手個人で見ると、最も注目を集めたのは近江のエース山田陽翔であった。3季連続の出場で、昨夏は4強、今春はコロナウイルスで出場辞退した京都国際の代替出場で準優勝と、一つ一つ階段を上ってきていた。打倒大阪桐蔭、そして滋賀県勢初優勝へ向け、否が応でも山田への注目は高まっていった。

初戦はいきなり鳴門の左腕・冨田との好投手対決となったが、山田はしり上がりに調子を上げて鳴門打線を8回まで2失点に抑える好投を披露。140キロ台後半の速球にスライダー、フォーク、ツーシームと切れ味抜群の変化球を交えると、選抜で王者・大阪桐蔭を苦しめた鳴門打線から完全に快音が消えていった。

続く2回戦の鶴岡東戦では3回に2本のホームランを浴びて逆転を許すというまさかの展開になったが、試合中に軌道修正できるのが山田の素晴らしいところだ。制球力の修正、決め球の修正、ピンチの場面でのギアチェンジと相手の勢いを止める引き出しをいくつも持ち、気が付けば近江のペースに引きずり込んでいった。3回戦の海星戦では自らグランドスラムを放つ活躍で海星に7-1と完勝。最高の勝ち上がり方で3季連続の8強入りを果たし、優勝も現実味を帯び始めたように見えた。

しかし、酷暑の中で、球数がかさんでいった影響は確実に山田を蝕んでいたのだろう。準々決勝の高松商戦では勝利したものの、浅野とのプロ注目対決には3打数3安打1敬遠と完敗。すべて違う球種を打たれてしまい、浅野の凄さが際立ったが、やはり山田のボールも絶好調時のそれではなかった。終盤8回には右足をつるアクシデントで降板し、不安を残す内容となった。

そして、準決勝の下関国際戦。疲労に加え、ノーステップ打法でなかなか低めの変化球空振りをしない下関国際打線がじわじわと山田を追い詰めていく。そして、球数が100球に近づいた6回表、7番森に高めに浮いた速球を逆方向にタイムリーされ、山田の夏は終わった。高松商は浅野というスーパースターを起点に山田を攻略したが、この日の下関国際打線は文字通り全員野球で山田を沈めて見せた。

ただ、それでも滋賀県史上でここまでの存在感を放ったプレーヤーは山田が初めてだっただろう。結果的に全国制覇達成はならなかったが、本気で頂点を狙える環境を経験できたことは近江にも滋賀県の高校野球にも大きな財産を残したはずだ。プロ志望届を提出するとのことであり、今後の山田の活躍が今から楽しみでならない。

【ドラフト候補】#21 近江高校 山田陽翔投手について – YouTube

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