強豪に立ち向かった技巧派サイドハンド
駒大苫小牧と早稲田実の決勝引き分け再試合など好ゲームの多かった2006年夏。その年の3回戦屈指の好カードがこの試合であった。
4年ぶりに甲子園に帰ってきた帝京は東京と大会で48盗塁を記録。不破・勝見の1,2番を中心に足でかき回す野球が持ち味だった。初戦となった2回戦では如水館に終盤追いつかれるも4ホームランで圧倒。4番に2年生の中村晃(ソフトバンク)、投手も2年生で右の大田阿斗里(横浜)、左の垣ケ原と中心に2年生を据えて、3年生がバックアップするチームだった。
一方、福岡工大城東の注目は右サイドハンドのエース梅野無我。激戦の福岡大会でほとんど失点せず、勝ち上がった好投手は甲子園でも初戦で専大北上を5安打完封。内外の出し入れで打者を翻弄。打線も川本、牧島の左打者が相手の長身エース小石を攻略して3回戦にコマを進めた。
しびれる延長戦を制し、帝京が8強へ名乗り
2006年夏3回戦
帝京
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 計 |
0 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 5 |
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 1 | 0 | 0 | 4 |
福岡工大城東
帝京 大田→垣ケ原
福岡工大城東 梅野
試合は2回にいきなり動く。帝京打線がコントロールの定まらない梅野に襲い掛かり、9番大田のスクイズに始まって、なおも満塁から3番主将野口、4番中村が連続タイムリー。梅野の甘く入ったボールを逃さずたたき、いきなり4点を先制する。内外の揺さぶりで勝負したい梅野だったが、立ち上がり制球が甘くなったところを帝京打線は逃してくれなかった。
試合序盤、帝京の先発・大田の速球に押され気味だった城東打線だったが、中盤以降に反撃開始する。1,3塁の好機を作ると川本がライトオーバーのタイムリーで2者生還。7回には浪商のドカベン・香川の息子である代打・香川の長打を起点に1点差に迫ると、8回1,2塁の好機に投手・梅野自身が同点タイムリー。終盤に試合を振り出しに戻した。
梅野は2回以降、帝京に得点を許さず、我慢強い投球。持ち味のストライクゾーンを広く使った投球で帝京打線を封じ込める。帝京得意の機動力も牽制タッチアウトでしのぐなど、0行進を続けていた。
しかし、同点のまま延長に入り、10回表に帝京は塩沢の2塁打と雨森のセンター前ヒットなどで1アウト満塁のチャンスを作ると、相手投手・垣ケ原の打球はセカンドを強襲。ホームでアウトを取れず、決勝点。5-4で帝京に軍配が上がった。
城東としては2番手の左腕・垣ケ原を捕まえきれなかったことが悔やまれた。しかしながら、梅野の中盤以降のピッチングは見事。近年数の減ったサイドハンドで帝京の強力打線に一人で立ち向かい、互角に渡り合った姿は素晴らしかった。
一方、帝京も出場してきたらやはり簡単には負けないチーム。粘り強さも身に着けていたこのチームが続く準々決勝で智辯和歌山と球史に残る大乱打戦を繰り広げることになるのであった。
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