明豊vs佐野日大 2001年夏

2001年

新鋭校、躍進の夏

2001年の2回戦、当時初出場だった新鋭校・明豊と常連校・佐野日大が顔を合わせた。

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この年は関東勢が非常に好調であり、この年に優勝した日大三を筆頭に選抜王者の常総学院や強豪・横浜など多くの強豪が顔をそろえた。出場9チーム中8校が初戦を突破。その勢いに乗り、佐野日大も初戦で波佐見の2年生エース新地を攻略して4-1と快勝していた。

投手陣は父をプロ野球選手に持つサイド右腕・会田とエース左腕・福富の継投で相手打線を封じ込める。打線もスラッガーこそいないものの上位から下位まで切れ目がなく、投打に総合力の高いチームだった。

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一方、明豊は別府大付から校名を変更し、夏の甲子園に初出場を果たした。投手陣はエース右腕・波多に三振の取れる左腕・嶋田、技巧派右腕・酒井と3人の投手を擁し、自在の継投で相手打線を封じ込める。打線もスラッガー草野を中心に好打者が並び、投打に初陣とは思えない実力を持っていた。

初戦は同じく初出場の聖光学院と対戦。福島大会決勝で延長10回に4点差をひっくり返して勢いに乗る相手だ。しかし、明豊打線は序盤から聖光学院投手陣を攻略。エース波多の好投も光り、20-0と一方的な展開で初勝利を飾った。

エースが真っ向勝負挑むも、明豊のサヨナラ勝ち

2001年夏2回戦

佐野日大

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 1 0 0 0 0 1 1 0 3
0 0 0 0 2 0 0 0 4

明豊

 

佐野日大   会田→福富

明豊     酒井→嶋田→波多

先発は佐野日大がサイド右腕の会田、明豊が技巧派右腕・酒井の先発であった。佐野日大は2回表、連続死球でランナーをためると、9番中見川のタイムリーで1点を先制。このリードを佐野日大・会田が抜群のコーナーワークを活かした投球で守る。

初戦で20得点を挙げた明豊打線だが、序盤はうまく力をかわされる格好となる。反撃に転じたのは5回裏だった。先頭で先発・酒井に代えて代打で登場した2番手投手の嶋田が流し打ちの2塁打で出塁。犠打で三進すると、1番黒田のタイムリーで同点に追いつく。

会田の球筋に慣れてきたか、続く2番伊藤が失策でつなぐと、3番黒仁田も引っ張ったあたりのタイムリーを放ち、この回逆転に成功。中盤に入って各人がしっかり狙い球を絞って打席に入った。

しかし、佐野日大打線も実力は高い。明豊の左腕・嶋田のカーブをしっかり見極め、7回表に1番福田がタイムリーを放って同点。直後の明豊の攻撃をエース福富への継投でしのぐと、8回表には6番米田がこれもカーブを打ってタイムリーとし、逆転に成功する。

明豊打線は8回裏にもヒット2本で塁上を賑わすが、福富が意地の投球でしのぎ切る。終盤に入って激しい攻防が続く中、佐野日大の1点リードで試合は最終回に突入した。

そして、迎えた9回裏、明豊打線が福富を激しく攻めたてた。

先頭の代打・上田がライトへのヒットで出塁。犠打で二進すると、ここまで無安打の2番伊藤が意地でレフトにはじき返し、ついに試合を振り出しに戻す。さらに、3番黒仁田にもヒットを浴びると、打席には4番草野。ここで福富-稲垣のバッテリーは大会屈指のスラッガーに真っ向勝負を選択する。草野は福富の渾身の真っすぐをとらえると、打球はライト頭上へ。2塁ランナー伊藤がホームを踏みしめ、明豊が3回戦へとコマを進めた。

 

明豊は続く3回戦でも習志野の好投手・佐々木のフォークボールを攻略し、6-5と逆転勝ち。佐野日大戦の粘り腰も含め、初陣ながら極めて大きなインパクトを残した8強入りであった。今や川崎監督の元ですっかり全国区の強豪となった明豊だが、その戦いのスタートはこの2001年であった。

一方、敗れた佐野日大も強豪校としての意地を見せつける戦いであった。最後の場面の真っ向勝負も「エースが4番から逃げてはいけない」というチームのプライドを背負った投球であった。2010年代に入ってから作新学院1強の様相を呈している栃木県だが、そのムードを変える有力候補はやはり佐野日大であろう。再び聖地に戻ってくる時がきっと来るはずだ。

 

 

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