独断と偏見で選ぶ、2007年選抜にベスト8へ進めなかったイチオシの好チーム

2007年

千葉経大付(千葉)

1 10 斎藤
2 11 木村
3 相川 12 川島
4 宮川 13 川崎
5 須谷 14 鵜澤
6 松本 15 新村
7 内藤 16 田中
8 飯窪 17 小池
9 大島 18 樋口

激戦区・千葉の顔になったチーム

2004年に松本吉監督と松本啓(DeNA)投手の親子鷹で甲子園初出場を果たした千葉経大付。ダルブッシュ有(パドレス)を擁した東北に競り勝つなど、快進撃を見せたが、当時は松本啓・井上の左右2枚看板を擁した守りのチームという印象だであった。

しかし、桜美林で優勝投手に輝いた松本吉監督の元鍛え上げられた、この千葉経大付というチームの本当の強みは、観察眼と考える力であった。練習中にメモを取らせ、細かいこと・気づいた内容を細かく積み上げていくスタイルで力をつけていくと、1996年から1998年の市立船橋以来、連続出場校がなかなか現れない千葉県で徐々に常連校となっていった。

2006年夏には2年ぶりに夏の甲子園に出場。初戦で八重山商工との激闘に敗れたが、好投手・大嶺(ロッテ)を攻略し、ストレートを狙い打つなど6点を奪取した。千葉経大付打線vs大嶺の勝負で言えば、前者の圧勝と言ってもいい結果であった。

そして、この試合を経験した丸、松本歩、内藤らが中心となった新チームは戦力を維持し、関東大会で優勝。エースになった丸はシンカーを武器に左打者も苦にしない投球でチームを牽引した。打線も松本歩を中心とした機動力と3番丸、4番内藤らの長打力がかみ合い、選抜は初出場ながら高い総合力で優勝候補の一角に上がっていた。

1回戦

中京

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 1 0 2 0 1 0 0 0 4
0 1 2 0 0 1 0 1 × 5

千葉経大付

 

初戦は岐阜・中京高校と対戦。2003年度には城所(ソフトバンク)、榊原(オリックス)を擁して神宮大会優勝も経験した名門校だ。この年は、サイド右腕のエース川口を中心に攻守にしぶとい野球をする試合巧者であり、対戦相手としては不気味な存在であった。

試合が始まると、案の定接戦となる。中京が犠打を絡めた攻めでそつなく得点を挙げれば、千葉経大付は4番大島のホームランなど中軸の強打で得点を重ねていく。千葉経大付としては、丸が点を取られる苦しい展開だったが、幸いだったのは中軸の丸、大島の2人が再度の川口に対して相性のいい左打者だったことだろう。6回にボークで同点に追いつくと、8回裏には大島のこの日4本目となるヒットで勝ち越し。大島はこの日4打数4安打3打点の大活躍だった。

しかし、千葉経大付としては試合後の松本吉監督のコメントにもあったように、犠打など細かいプレーがうまくいかず、力で持って行って勝った感のある試合であった。千葉経大付らしいそつのなさを発揮すべく、次戦に向かった。

2回戦

熊本工

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
0 0 1 0 0 0 0 2 0 0 0 3 6
0 0 1 0 1 0 0 0 1 0 0 0 3

千葉経大付

第79回(2007年)選抜高校野球大会 2回戦 熊本工 対 千葉経大付 1/5 – YouTube

熊本工vs千葉経大付 2007年選抜 | 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

そして、2回戦は九州王者・熊本工との対戦に。神宮大会で対戦し、8-2と圧倒した相手だったが、そこから数か月を経ての試合であり、今回はどちらが勝利するかわからないぞと思っていた。1番藤村(巨人)を中心とした機動力野球の熊本工vsパワーとそつのなさが武器に千葉経大付。2回戦屈指の好勝負が幕を開けた。

試合は熊工が3番今村のタイムリーで先手を取れば、千葉経大付がすぐに追いつき、一進一退の攻防に。ただ、一度対戦経験があったことでエース丸のシンカーもかなり研究されており、実際左打者の今村の先制タイムリーもシンカーをうまくレフト線に落とされたものであった。

千葉経大付は5回に丸のタイムリーで勝ち越しに成功するが、どこか試合は熊工に流れがあるような雰囲気であった。すると、8回表に熊工は藤村が変化球をうまくとらえてライトへ同点タイムリーを放つ。さらに、代打・吉岡のタイムリーで藤村が一気にホームを陥れ、九州王者が一歩前へ出る。

しかし、千葉経大付も簡単には引き下がらない。9回裏、監督の息子の1番松本歩がレフトへヒットを放つと、相手野手のミスもあって抜け目なく3塁を陥れる。ここで2番谷は捕手らしく相手の心理を読み切り、取りに来たボールをタイムリーに。土壇場で試合を振り出しに戻す。

だが、終盤の攻防で代打、代走を出した影響で千葉経大付は内野陣の守備シフトがいつもと完全に変わってしまっていた。熊工も控え野手陣が出ていたが、その控え選手が延長10回にサヨナラを阻止するバックホームを見せるなど、素晴らしい活躍を見せた。延長12回、熊本工・藤村の脅威の俊足の前に、ついに千葉経大付の守備陣が瓦解。ミスが絡んで3点を奪われ、試合は決した。ともに優勝する力を持つチーム同士の激闘に敗れ、千葉経大付の選抜は幕を閉じた。

この年の夏は準々決勝で千葉商大付に敗れ、甲子園出場はならず。しかし、剛腕・斎藤(巨人)や谷、内藤など複数のメンバーが残ったチームは翌年、春夏連続出場を達成。選抜では王者・常葉菊川に完勝し、4強まで進出した。考える野球で常葉菊川の良さを消したクレバーさと、剛腕・斎藤の投球がかみあっての快勝劇は見事。この時期の千葉県の中心にいたのは間違いなく、千葉経大付であった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました