大会8日目第4試合
敦賀気比
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
3 | 3 | 2 | 0 | 2 | 0 | 4 | 0 | 5 | 19 |
2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 3 |
国学院久我山
敦賀気比 笠島→黒田→松村→岩田
国学院久我山 高下→問屋→斎藤→高下
強力打線を誇る両チームの対戦は敦賀気比打線が序盤で国学院久我山のエース高下を攻略。3番杉田のサイクル安打の活躍などで22安打19得点を挙げ、豪快に2回戦を突破した。
試合
敦賀気比は初戦で2年生エース笠島(巨人)の安定した投球に打線が応え、危なげない試合内容で完勝を収めた。笠島は右スリークオーターから繰り出す切れのあるボールを内外に投げ分け、機動力豊かな富島打線のほとんどチャンスも作らせずに1失点完投。2年生ながら完成度の高い好投手だ。打線は3番杉田、4番木下(広島)の左打者コンビを中心に強力。2014年に全国を震撼させた猛打の再現を狙う。
一方、国学院久我山は前橋育英に先行を許しながらも逆転勝ちで甲子園初勝利を達成。エース高下の粘投に打線が応え、投打ともにしぶとさが持ち味。激戦の西東京でもまれた経験を活かし、試合の中で対応していく力がある。高下は笠島と同じく右のスリークオーターだが、より打たせて取る傾向が強い。敦賀気比の強打に対して、最少失点で粘って切り抜けたいところ。
互いに強力打線を誇るだけに両投手がどう踏ん張るかだったが、試合は初回から両チームの打線が相手投手を攻略する。
1回表、高下はバックの好守備もあって2アウトを取るが、ここから敦賀気比打線を止められない。ストライクゾーン、それも決まってほぼアウトコースよりになるボールに対して積極的にスイングをかける。3番杉田、4番木下の連打であっという間に先制点を奪うと、5番高原は芸術的な流し打ちでチャンス拡大。各打者の振りに迷いがなく、続く6番野道のタイムリーでこの回計3点を奪う。
3点の援護をもらった敦賀気比・笠島だが、国学院久我山も2アウトからチャンスを作る。3番神山が死球で出塁すると、4番宮崎はインサイドのストレートを引っ張ってチャンスを広げる。さらに5番高下にもインサイドを突いたボールが死球となって塁上をすべて埋めると、6番坂口の当たりはセカンドへの内野安打に。2塁ランナーも好走塁で生還し、2点を返す。初回は両チームとも一歩も引かない様相を呈す。
しかし、2回以降両チームの明暗が分かれる。国学院久我山の高下はボールが高めに浮いてなおかつアウトサイド中心の配球となるため、敦賀気比打線に簡単に的を絞られ、センターから逆方向への打撃で攻略を許す。
2回表に内野安打で出塁した笠島を犠打で送ると、2番中川、3番杉田、4番木下と3連打で3点を追加。狙ったボールを確実にヒットで仕留める敦賀気比打線の積極性と確実性が見事だ。4回にも満塁から3番杉田にタイムリーを浴びたところでエース高下は降板。インサイドへ来る心配がないため、敦賀気比の各打者な安心して踏み込める状態になってしまった。
対する敦賀気比の笠島は2回にも死球をあたえるものの、しっかり腕を振ったボールを内角に投じ続けたため、ランナーは出しながらも久我山の各打者に勝負所で自分のスイングをさせない。打線の援護とバックの好守備もあって、早めに立ち直ることができた。結局、笠島は6回を投げて4安打2失点と先発の役割を十二分に果たした。
西東京大会を勝ち抜く原動力となった絶対的エースが降板した時点で勝負は決してしまった。敦賀気比は昨年こそ初戦で大敗したものの、ここ数年上位に進出した回数も多く、前の試合が初勝利だった国学院久我山と比べても、経験の差で上回っていたと言えるかもしれない。
中盤以降も着実に得点を重ねた敦賀気比は、3番杉田が9回のホームランで大会史上通算6人目となるサイクル安打を達成。4番杉田と2人で9安打12打点の大暴れで相手投手陣を圧倒し、記録的な猛打で3回戦への道を切り開いた。
まとめ
敦賀気比打線の鋭い攻撃はもはや甲子園の風物詩になったと言っても過言ではない、それくらいの素晴らしい内容だった。杉田、木下の中軸コンビを中心に逆方向へもきっちりと打ち返せる柔軟性があり、相手バッテリーにとってなかなか抑える絵が見えてこなかっただろう。エース笠島も中盤以降は完全に立ち直り、初戦と違って修正力の光る内容であった。
優勝した2015年の選抜以来となる甲子園2勝目をマーク。強い敦賀気比が再び戻ってきたと感じさせる試合であった。
一方、国学院久我山にとってはエース高下が序盤からこれだけ打ち込まれては苦しくならざるをえなかったか。序盤からボールが高めに入る中で、配球の偏りもあって相手打線をかわすオプションが少ない印象だった。初戦の、前橋育英戦は緩急をうまく使えていたが、この日はその余裕も敦賀気比打線に奪われてしまった印象だった。
ただ、甲子園初勝利の歴史を刻んだのは紛れもない事実であり、全国に出てきてこそわかる課題を得られたとも言えるだろう。若い指揮官のもと、これからも西東京の夏、そして甲子園の夏を熱くわかせてくれるだろう。
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