2020年交流試合 倉敷商vs仙台育英(4日目第3試合)

2020年

大会4日目第3試合

仙台育英

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 1 0 0 0 0 0 1
0 0 0 1 1 1 3 0 × 6

倉敷商

 

仙台育英  向坂→伊藤→阿部→笹倉

倉敷商   福家→永野

地区大会優勝校同士の対戦となった好カード。倉敷商投手陣が仙台育英打線を1失点に抑える好投を見せ、6-1と完勝で交流試合を制した。

試合

仙台育英は前年8強入りに貢献したメンバーが複数残り、秋の東北大会を制覇。エース左腕・向坂に加えて夏の甲子園を沸かせた笹倉伊藤の1年生コンビも成長し、球威のある投手を複数そろえた。打線も甲子園で3番を務めた入江(楽天)を中心にパワーヒッターが並び、特に入江は神宮大会で天理・庭野の変化球をスタンド中断まで運んだように末恐ろしいパワーを秘める。須江監督期待の大型チームが交流試合でどんな野球を見せるか。

一方、倉敷商は岡山2位ながら、中国大会で接戦を次々勝ち抜き、初優勝を飾った。こちらも中軸の原田石川を中心に打力は高く、パワーヒッターこそ多くないものの、ミート中心の打撃で後ろへつなぐ攻撃は迫力がある。投手陣は技巧派右腕・福家と2年生左腕・永野の左右2枚看板を形成。内外野陣も堅守で投手陣を支え、投攻守でハイレベルにまとまったチームだ。

 

先発は仙台育英が左腕・向坂、倉敷商が右腕・福家で始まった。

倉敷商の右腕・福家は小柄な体格ながら躍動感のある投球フォームで、強打の仙台育英打線に対してアウトコース中心の丁寧な投球を見せる。チェンジアップを見せ球にして緩急をつけ、球威のある速球で詰まらせて、3回までを無失点投球。アウトコースのボールがきっちりコーナーに決まるため、仙台育英の打者陣もなかなか攻略の糸口を見いだせない。

一方の仙台育英の向坂はハイレベルなエース争いを制して背番号1を背負う本格派左腕。こちらは球威のある速球を武器に倉敷商攻撃陣のバットを力で押し込む。昨秋はまだ制球のばらつく印象があったが、この日は立ち上がりからストライク先行の投球で成長した姿を見せる。3回にはヒットのランナーをけん制で誘い出し、自ら難を逃れる。

ただ、打者一巡した3回から仙台育英打線が徐々に倉敷商の右腕・福家をとらえ、満塁のチャンスを作る。この回は併殺打で無得点に終わったものの、4回表に先頭の4番入江が会心の当たりで左中間を破って2塁打にすると、ここで倉敷商は左腕・永野に継投。しかし、5番笹倉の犠打を永野が処理できずに1,3塁となると、6番向坂がライト線は流し打ちの2塁打を放って1点を先制する。

しかし、続く7番吉野のセンター深い位置へのフライで2塁ランナーがタッチアップすると、ショート原田を介した見事な中継プレーで3塁手前タッチアウトとする。畳みかけてきた仙台育英の攻撃を堅守でしのぎ、流れを相手に渡さない。

すると、この流れに打線が乗って倉敷商打線が向坂をとらえる。4回裏、2アウトランナーなしから4番福島がセンターオーバーの2塁打を放つと、ここまで好リードと強肩で投手陣を支えてきた5番田村がまたもストレートをとらえ、センターへのタイムリーヒットで同点に追いつく。こちらも打者2巡目に入って向坂のボールに慣れ始めた。

試合前からおそらく、ある程度のところで継投を視野に入れていた倉敷商は左腕・永野がベース板で伸びる速球を武器に仙台育英打線を苦しめる。これに対して、向坂である程度終盤まで持たせる予定の仙台育英にとっては、ここからやり繰りが難しくなったか。

5回裏、先頭の7番洙田が四球を選ぶと、犠打で送って1アウト2塁から9番山本は初球のストレートをとらえてライトへはじき返し、1,3塁とする。向坂のストレートに打者陣が力負けしなくなってきていた。2アウト後、満塁となって3番浅野には2-0と追い込むが、ここからなかなか勝負球が決まらない。最後はフルカウントから低めの変化球を見極められ、倉敷商が1点を勝ち越す。

パワーのある仙台育英に対して、うまさの倉敷商が徐々にその持ち味を発揮。6回裏にも5番田村の2塁打と内野ゴロで3塁にランナーを進めると、2アウト後に8番永野は高めのカットボールをライトにはじき返して3点目をたたき出す。ストレートに頼れなくなっていたバッテリーの気持ちを見透かしたような一打であった。

こうなると、流れは完全に倉敷商に傾く。7回裏、1番石川がフルスイングした当たりは振りと裏腹にポテンヒットとなる。石川ががら空きになったセカンドベースを逃さず陥れると、1アウト3塁となって3番浅野がスライダーをレフトのはじき返して4点目。さらに4番福島、5番田村に短長打が飛び出して2点を追加し、この回一気に突き放して勝負あった。

倉敷商は2番手の永野が6イニングを投げて登板直後の1失点のみの好投を披露。伸び伸びと投げて仙台育英打線のバットを押し込み、付け入るスキを与えなかった。中国地区屈指の伝統校が昨夏8強の強豪を6-1で退け、会心の勝利を記録した。

まとめ

倉敷商としては試合前のゲームプラン通りに継投が決まり、打線も持ち味を存分に発揮して向坂を攻略。投打に会心の試合内容だっただろう。特に2年生左腕・永野の投球は梶山監督の期待以上であり、本物の「キレ」のあるボールはいくら強力打線でも簡単にとらえることはできなかった。2年前に亡くなったOBの星野監督にも捧げる、最高の白星となった。

一方の仙台育英も打線のスイングはさすがの迫力があったが、倉敷商の堅守と永野のキレのあるボールの前に9安打を放ちながら1点に抑え込まれた。今回は交流試合であったが、持ち味の打線が機能しないときにコロッと負けてしまうケースは過去の甲子園でも度々ある。聖地で得た貴重な経験と課題を胸にまた、全国制覇への挑戦へ向かっていくこととなった。

8月に開催、甲子園の交流試合 倉敷商業は仙台育英と対戦へ 岡山 – YouTube

コメント

タイトルとURLをコピーしました