大会5日目第3試合
鶴岡東
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
1 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 5 |
2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 |
日本航空石川
鶴岡東 阿部→太田
日本航空石川 嘉手苅→田中
ともに強力打線を誇る両チームの対戦は序盤から激しく得点を奪い合う展開に。中盤以降に抜け出した鶴岡東が接戦を制し、交流試合での勝利を記録した。
試合
鶴岡東は昨秋は持ち前の強力打線を武器に東北大会を勝ち抜いて準優勝。決勝でも仙台育英を相手に8-11と互角に打ち合い、その実力を見せつけた。特に4番馬場、5番鈴木の中軸2人はチャンスの場面でことごとく結果を残し、ともにチーム最多の12打点を記録。機動力も巧みに活かし、選球眼良くもぎ取った四球を得点に結びつけていく。投手陣はエース渡辺を中心に複数投手制を敷いており、状況に応じて自在の継投を見せる。
対する日本航空石川も北信越大会の決勝でこそ大敗したものの、準決勝までの3試合で27得点をたたき出した打力は特筆ものである。中村監督曰く目立った選手はいないとのことだったが、こちらも北信越大会でホームランを放った4番石井、5番毛利を中心に長打力を秘める。投手陣は、昨秋にエース格だった田中に加えて、怪我から復帰した嘉手苅のめどが立ち、2枚看板で本番に挑む。
先発投手は鶴岡東が左腕・阿部、日本航空石川が怪我から復帰の嘉手苅となった。立ち上がりから両チームの打線が持ち味を存分に発揮していく。
1回表、鶴岡東は1番山路が落ちるボールをとらえて会心の当たりでセンターにはじき返す。犠打失敗で1アウトになるも、3番馬場が高めに入った真っすぐを振り抜いて左中間を破り、1点を先制する。嘉手苅の威力のある速球に全く力負けしない打撃で、強力打線の片りんを見せる。
これに対して、日本航空石川も1回裏にすぐに反撃。鶴岡東の阿部は独特の小さいテークバックからサイド気味に投じる変則左腕だったが、2アウトを取ってからつかまる。3番中村は左打席から見事な流し打ちで出塁すると、ボークで2塁へ進塁。4番小川はアウトコース低めのスライダーを救い上げてレフト線に落とし、同点に追いつく。
さらに、この回5番毛利もスライダーにうまく合わせてレイトへはじき返し、逆転に成功。2回裏にも失策と四球でランナーをためると、9番城田の犠打を阿部が3塁へ悪送球して日本航空石川が3-1とリードを広げる。阿部は1,2回と制球を乱しがちだったが、初回から独特の球筋に対応した日本航空石川打線の対応力が見事であった。
しかし、鶴岡東も強打の看板を掲げているだけに簡単には引き下がらない。2回は無失点に抑えたものの、まだボールにばらつきのある嘉手苅に対して9番北原が四球で出塁。続く1番山路の犠打が悪送球を誘って無死1,3塁とチャンスを広げる。
2番野川の引っ張った痛烈な打球は、サード天羽の超ファインプレーでホーム封殺となるが、嘉手苅の投球はなかなか落ち着かない。四球で満塁になると、5番吉田が甘く入った真っすぐを奇麗にセンターははじき返して2者生還。良いボールと悪いボールの差が激しく、荒れた投球内容になってしまった。
ともに先発投手がなかなか自分の投球ができずに苦しい内容だったが、先に立ち直ったのは鶴岡東の阿部であった。1,2回とコントロールにばらつきがあったが、徐々にストレート、スライダーともコーナーに決まり始め、チェンジアップも交えて航空石川の打者のタイミングを外していく。内外に加えて、高低の攻めも加え、時折上手投げも交えながら徐々に自分の持ち味を取り戻していく。3回裏にはショート小林が好守を見せるなど、内外野も堅守で阿部を盛り立てる。
一方、嘉手苅も4回表に立ち直りの兆しが見え始めたが、5回表に2アウトランナーなしからつかまる。3番馬場にこの日2本目のヒットを許すと、4番鈴木の打ち上げた打球は風に流されて航空のセカンド井口が落球。1,3塁とピンチが広がると、この日ここまで2安打と当たっている5番吉田の打席で痛恨の暴投が飛び出し、鶴岡東が1点を勝ち越す。投球内容自体は悪くなかっただけに非常にもったいない失点であった。
3回以降、立ち直った鶴岡東・阿部が無失点でしのぐと、日本航空石川は6回から2番手の田中に継投。田中も躍動感のあるフォームから伸びのある速球を投じ、鶴岡東打線の勢いを止める。鶴岡東も6回裏に2アウト2塁からレフト前ヒットを打たれるも、レフト吉田が好返球でタッチアウトに。お互いに一歩も引かない展開となる。
しかし、1点差で迎えた終盤8回にまたしても鶴岡東打線は吉田の打撃で活路を見出す。1アウトからスライダーをたたきつけた打球はファーストを強襲。打球がライト線を抜ける間にセカンドを陥れる。左打席からの硬軟織り交ぜたスイングは実力の高さをうかがわせた。ここで、6番小林がアウトコースのストレートをうまく右方向へ打ち返して2塁から吉田が生還。鶴岡東が大きな追加点をたたき出した。
2点のリードを得た鶴岡東は8回から本格派右腕の太田に継投。阿部とは全く違うタイプであり、ストレート主体で力で押す投球で立ち向かう。最終回には2アウト満塁のピンチを背負ったが、最後はセカンド山路の好プレーでアウトをもぎ取って試合終了。互いに見せ場を作った好ゲームを鶴岡東が制し、5-3で交流戦勝利を収めた。
まとめ
鶴岡東にとっては自慢の中軸でしっかり得点を重ねられたことで、試合の流れを引き寄せられた。特に、5番吉田は140キロ台の速球にも変化球にもうまく対応し、3安打2打点1得点の大活躍で勝利を呼び込んだ。左の技巧派の阿部も鶴岡東の歴代の左腕と同様に、変則派の良さを活かしながら立ち直り、試合を作った。2019年に初めて甲子園2勝を挙げた鶴岡東。交流戦でも勝利をおさめ、また新しい歴史をつないで見せた。
一方、日本航空石川も敗れはしたものの、自慢の打線は鶴岡東投手陣を良く攻めた。6回、9回と相手守備陣の好守に阻まれたが、打撃内容はさすが強打の日本航空石川と思わせるものであった。前年秋は公式戦で星稜に2度大敗を喫したが、この夏は独自大会ではその星稜に2-1と勝利。課題としてきた守備を鍛えなおし、この試合でも2失策はあったものの、堅い守備を見せた。自慢の強打も守備力の向上も存分に見せつけた夏であった。
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