2021年選手権準々決勝
石見智翠館vs智辯和歌山
47% 53%
〇1-0 弘前学院聖愛 〇5-3 高松商
〇5-4 日大山形
総合力で智辯和歌山が上回るのは間違いない。しかし、3回戦で勢いに乗る勝ち方をした石見智翠館の勢いが強豪を飲み込む可能性も十分ありうる。
智辯和歌山は初戦はブランクがあったものの、エース中西が力強い投球でチームを牽引した。最終回は高松商の粘りに苦しんだが、右サイドの伊藤が好救援。安定感のある左腕・高橋も控えており、何より初戦が不戦勝だったことで今最も投手のやりくりの余裕があるチームだ。質量ともに豊富な陣容の中で、出し惜しみなく投入ができそうだ。
対する石見智翠館打線は3回戦で日大山形・滝口のストレートを見極めたうえでしっかり攻略できたことは大きな自信になりそう。7番山崎琢が3安打を放つなど、下位打線までのつながりもかなりよくなった。格上の智辯和歌山が相手だけに、次戦もベンチ主導でエンドランなど積極的な作戦を絡めて動揺を誘いたい。先手を取ってかき回すことができるか。
一方、石見智翠館はエース山崎琢に代わった左腕・山本が好投したことで投手起用の選択肢が広がったことは好材料。山本は球速は目立たなくとも、強気に攻める投球で流れを呼び込める。ただ、不安は山崎琢の立ち上がり。制球がばらけて2試合とも失点しており、強打の智辯和歌山相手だと致命傷になりかねない。対策が必要になるだろう。
対する智辯和歌山打線は今年は派手さはないものの、基本に忠実な打撃のできる巧打者がずらりと揃っている。各打者の対応力も高く、高松商戦でも様々なタイプの投手も攻略してきた。打者2巡目には確実にとらえてくるため、怖い打線である。1番宮坂、4番徳丸に当たりがもう一つ出なかったのは少し気がかりだが、打線全体でカバーできる力を持っている。
正攻法で組み合えば、智辯和歌山の優位は動かない。積極策と勢いで石見智翠館がどこまで迫れるか。ロースコアの接戦で終盤に突入すれば非常に面白くなりそうだ。
主なOB
京都国際…曽根海成(広島)、清水陸哉(ソフトバンク)、上野響平(日本ハム)
智辯和歌山…中谷仁(楽天)、岡田俊哉(中日)、西川遥輝(日本ハム)、黒川史陽(楽天)、細川凌平(日本ハム)
和歌山 島根
春 2勝 0勝
夏 1勝 0勝
計 3勝 0勝
対戦成績は和歌山勢の3勝負けなし、2009年、2010年と2年連続で開星と和歌山勢が対戦している。
特に2010年選抜では21世紀枠の向陽が、エース藤田の好投で中国王者の開星を下し、試合後のインタビューで野々村監督からかの有名な「末代までの恥」発言が飛び出して波紋を呼んだ。開星は白根(横浜)、出射ら大型選手を擁し、野々村監督も自信を持って臨んだだけに悔しさもひとしおだったのだろう。
思い出名勝負
2009年選抜2回戦
箕島
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 計 |
0 | 1 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 4 |
1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 |
開星
箕島 森本
開星 春木
2009年の選抜2回戦でベスト8の4つ目の椅子を狙った試合は、対照的なチーム同士の対戦となった。
箕島は1991年以来実に18年ぶりの甲子園出場。過去には4度の全国制覇を達成した公立の雄も近年は強豪・智辯和歌山の前に後塵を拝していた。しかし、この年はエース森本、4番西畑を中心にまとまった好チームであり、前年秋の近畿大会では8強で敗退するも、優勝した天理と競り合ったことが評価されて選出された。
初戦は21世紀枠の大分上野丘を相手に持ち味の着実に得点を挙げ、エース森本の力投で7-3と逃げ切って18年ぶりの勝利を達成。オールドファンを歓喜させる勝利を挙げた。
一方の開星は野々村監督の指導の下で年々力をつけ、2007年の夏の甲子園ではついに初勝利を記録した。当時1年生で出場していた橋本が4番捕手となった新チームは秋の中国大会で4強ながらポテンシャルが評価されて選出。ひそかに高評価を与える専門家も多かった。
そして、その目が間違いでなかったと証明されたのが初戦の慶応義塾戦。好投手・白村(日本ハム)を擁し、神宮大会を制覇した優勝候補を相手に、3番松林、5番本田の中軸が2点タイムリーを放って白村をKO。エース春木はシュートを武器に慶應打線を1点に抑え、見事なジャイアントキリングで選抜初勝利を手にした。
強打の開星に対し、粘りの箕島がどう対抗するかが注目された一戦。試合は序盤から激しく点を奪い合う展開となる。
開星は1回裏、1番糸原(阪神)が森本の高めのストレートを強振して右中間を破る3塁打で出塁。前年秋の公式戦で9打季連続ヒットの偉業を成し遂げた2年生の核弾頭が強烈な一打を放つと、2番秋間の犠飛であっさり1点を先制。この時は開星が打棒で圧倒するかと思わせるほどの電光石火の先制劇だった。しかし、その後の満塁のピンチは森本がなんとかしのぐ。
すると、粘りの箕島も負けてはいない。2回表2アウトからショートゴロエラーのランナーを盗塁で2塁に進めると、8番山本のタイムリー内野安打で同点に。時代は変われども伝統のそつのない攻撃は変わらない。
しかし、開星の攻撃は鋭く、2回裏にもヒットの8番春木を送って1アウト2塁から、再び1番糸原が強烈な長打を今度は左中間に運び、1点を勝ち越し。1,2回を見るととても森本は持ちこたえられないのではと思わされた。
だが、粘りが身上の箕島は4回表に8番山本のヒットなどで得た1アウト1,3塁のチャンスにスクイズで追いつくと、5回表には4番西畑、5番井口彗の連打で得たチャンスに相手の失策が絡んで1点を勝ち越す。もらったチャンスを確実に活かす勝負強さを発揮し、試合をひっくり返すあたりに伝統の力を感じさせる。
このままでは終われない開星は6回裏に6番井原の2塁打をきっかけに同点に追いついたものの、早打ちやサインの見落としなどでチャンスをものにできない。いい当たりの本数では箕島の倍以上は打っている感覚だったが、それでもタイスコアのままという現実は徐々に重圧としてのしかかっていたか。
一方、箕島ナインは春木のシュートを意識しすぎることなく各打者がしっかり踏み込むことでヒット数は少なくとも徐々に攻略の糸口はつかみ始めていた。試合は延長戦に突入し、迎えた11回表、2塁打の5番井口彗を犠打で手堅く送ると、ラッキーボーイの7番沼の当たりはセンターの前にポトリと落ちてついに箕島が勝ち越しに成功した。
開星は終盤3イニングはヒットが出ず、森本から11安打を浴びせながらも最後はしりすぼみに終わってしまった。実力的には開星の方が上だったと思うが、箕島の伝統の粘りが生きていることを実感させられたこの日の試合。実力上位の慶応に快勝しながら、次の試合で実力を発揮しきれず敗れた開星ナインを見て、改めて野球の難しさを感じさせられた1日となった。
2021年選手権準々決勝 智辯和歌山vs石見智翠館(13日目第2試合) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)
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