2023年選手権1回戦 花巻東vs宇部鴻城(3日目第1試合)

2023年

大会3日目第1試合

宇部鴻城

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 0 0 0 1 1
0 0 0 3 1 0 0 0 × 4

花巻東

 

宇部鴻城   浅田→松成→山口→吉村

花巻東    小松→葛西→中屋敷

注目のスラッガー佐々木麟を擁する花巻東と右サイドの好投手・浅田の対決が注目された第1試合。花巻東が中盤に浅田を攻略し、先手を奪った。投げては2年生右腕・小松が快投を演じ、宇部鴻城打線を翻弄。継投策も用いて9回の1点のみに封じ、快勝で2015年以来の夏の甲子園勝利を挙げた。

試合

花巻東の先発は2年生右腕・小松。多くの投手を擁する花巻東だが、ボールの角度が光る小松佐々木洋監督は指名した。一方、宇部鴻城の先発はもちろん浅田。躍動感のあるサイド投手であり、高川学園など強豪との接戦を制して、勝ち上がってきた。

1回表、花巻東・小松は縦に落ちるスライダーを武器に宇部鴻城の上位打線を3人で退ける。初回から低めへ制球されており、なかなか打てるボールが見当たらない印象だ。

一方、宇部鴻城のエース浅田も内外を丁寧に突く投球で1番久慈、2番熊谷の塁上に出すとうるさいコンビを内野ゴロに仕留める。しかし、続く注目の3番佐々木麟にもインサイドを攻めるが、これを佐々木麟は引っ張らずに流してレフトへヒットを放つ。結果的に得点には至らなかったが、この打撃は宇部鴻城バッテリーの計算を狂わせるものだったのではないだろうか。

それでも、序盤3回は両投手が持ち味を発揮し、2回・3回といずれも3者凡退。高低の落差を使って攻める花巻東・小松に対し、内外を広く使い、低めに集める浅田とそれぞれが持ち味を出した投球を見せ、野手陣の堅守もあって締まった試合展開となる。

先制点の重要性がより増し始めた中盤戦。先手を奪ったのは、花巻東だった。4回裏、先頭の2番熊谷がサード前ぼてぼての内野安打と悪送球で2塁へ進塁。ここで打席には注目の3番佐々木麟が入る。ここでも宇部鴻城バッテリーは果敢にインサイドを攻めるが、これを再び佐々木麟は狙ったかのようにセンターから逆方向へ打ち返し、熊谷をホームへ迎え入れる。ホームランに注目の集まる佐々木麟だが、この打ち方ができるのが、昨年の選抜からの成長なのだろう。

貴重な先制点を手にすると、続く4番北條も甘く入ったボールをレフトに痛打。この回、インコースを攻めてくる宇部鴻城バッテリーの攻め方を花巻東打線もやや読んでいる節があり、少しでも甘く入ると容赦なくスイングをかける。内野ゴロの間に2,3塁とすると、6番広内は追い込まれながらも内角を狙ったボールが逆球になるのを逃さない。見事な右打ちで走者2人を迎え入れ、大きな3点を追加する。

さらに攻撃の手を緩めない花巻東は5回裏にも先頭の9番小林がヒットで出塁。犠打で二進すると、2アウト後、3番佐々木麟は申告敬遠に。宇部鴻城バッテリーとしても攻め手がない感じだったのだろう。しかし、続く4番北條はまたもインサイドを狙ったボールが逆球になるのを逃さず、4回裏の広内のヒットの再現VTRを見るようなタイムリーで4点目をたたき出す。浅田は左打者のインサイドは果敢に攻められていたが、右打者への内角を攻めきれなかった印象だった。浅田はこの回で、マウンドを2番手の松成に譲った。

4点の援護をもらった小松はその後も、スイスイと投げ続ける。縦に変化するスライダーとフォークを武器に粘っこい宇部鴻城打線に決定打を与えない。中盤以降は、宇部鴻城もランナーを出すものの、盗塁を阻止されるなど、持ち味の機動力も封じられてしまった。ただ、宇部鴻城の投手陣は2番手の松成から山口吉村とつなぎ、6回以降は無失点。ディフェンスの良さは存分に出していった。

そして、最終回、宇部鴻城打線は疲れの見える小松を攻めたてる。先頭の代打・大坪が死球で出塁すると、3番笹木は流し打ちでテキサス性のポテンヒットを放って出塁。ここで花巻東は小松をあきらめ、左腕の葛西をマウンドに送った。宇部鴻城は4番吉村が三振に倒れるも、5番小林葛西の背中から入ってくるようなボールをしっかり体の前でとらえて待望の1点を返す。宇部鴻城攻撃陣の意地を見るような攻撃であった。

好走塁もあり、なお1アウト2,3塁のチャンス。しかし、最後は3番手で登板した中屋敷が後続を打ち取り、ゲームセット。花巻東が2015年以来8年ぶりの夏の甲子園で初戦突破を果たした。

まとめ

花巻東としては2年生右腕・小松の投球がまずは想定以上だっただろう。縦の変化をうまく使った投球でしぶとい宇部鴻城打線を翻弄。最終回の宇部鴻城打線のつながりを思うと、小松の起用はだいっ正解だっただろう。エース北條以外に甲子園の大舞台で計算のたつ存在ができたのは、今後の戦いの上でも強みになるはずだ。

また、打線はサイド投手攻略のお手本のような右打ちで浅田を攻略。センターから逆方向への意識を各自がしっかり持っていることを感じさせる内容だった。注目の佐々木麟も3安打を放って、完全復調をアピール。2年時の選抜で市立和歌山・米田のハイボールに翻弄されたイメージも完全に払拭できただろう。投打に充実する岩手の強豪が、久々の上位進出へ向けて、まずは順調な船出を見せた。

一方、宇部鴻城・浅田は序盤から内野ゴロを打たせる持ち味を発揮していたが、やはり打者2巡目に入って右打者のインサイドへの制球が甘くなり、そこを花巻東打線の対応力が上回った印象だった。打線も小松の前になかなかランナーをだすことができず。持ち味の機動力を出せる機会も少なかったか。ただ、堅守・好走塁と随所に良さが見られ、山口県内を勝ち抜いたこともうなずかせる戦いを見せたのは事実。昨年の下関国際に代表されるように、山口勢のレベルの高さは十分感じさせる試合であった。

8月8日 🅵🆄🅻🅻【花巻東 vs 宇部鴻城】 ハイライト&ホームラン | 第105回全国高校野球選手権記念大会2023 – YouTube

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