2021年選手権1回戦
大阪桐蔭vs東海大菅生
51% 49%
今大会の優勝争いを占う大一番。投攻守にハイレベルな両チームによる白熱した攻防が展開されそうだ。
大阪桐蔭の投手陣は左腕・松浦と右腕・関戸の2枚看板との評だったが、大阪大会では松浦が柱として一本立ち。ストレートに頼りがちだった選抜の反省も踏まえ、変化球も有効に使いながら好投を見せた。関戸の登板が少ない中で、その他の投手も成長。竹中・川原の両右腕も安定感があり、相手に応じて投手起用を変えることもできる。質量ともに豊富な陣容を誇る。
対する東海大菅生の打線は選抜で見せた粘り強さに加えて、上位打線の破壊力も増した印象。1番千田、4番堀町には一発を放つ力があり、ストレートに絞ってタイミングさえ合えばスタンドまで運びそうだ。特に選抜で不振だった堀町はリベンジに燃えている。栄、福原ら小技の効くわき役陣もしぶとく、剛と柔を兼ね備えた打線と言えるだろう。
一方、東海大菅生の投手陣は選抜で本調子でなかったエース左腕本田が復調し、盤石の態勢を誇る。本田は短いテークバックから繰り出す切れのあるストレートで打者のバットを押し込み、変化球もキレがある。選抜で活躍を見せた桜井も安定しており、両左腕で大阪桐蔭打線を封じ込める構えだ。大阪桐蔭打線に対しては緩いボールを使った緩急でフライを打たせるのが効果的になりそう。
対する大阪桐蔭はパワーも機動力も兼ね備えた重厚な打線を誇る。特に決勝でサヨナラ打を放った3番池田は打率6割を超えており、チームの精神的支柱となっている。また、4番花田もチャンスに強く打率5割をマークしており、この2人の前にランナーをためると大量得点を記録しそうだ。また、繁永・野間ら俊足の選手も揃っており、今年は機動力も豊か。7番の野間が1番の役割を果たして、上位につなぐこともできるため、つながりの良い打線となっている。
ともに選手層の厚い両チームだが、やや大阪桐蔭の方が厚みがあるか。また、大阪桐蔭自身は対関東勢に19勝2敗と圧倒的な勝率を誇っており(敗れたのは斎藤佑樹(日本ハム)の早稲田実と早川隆久(楽天)の木更津総合のみ)、今大会でもその相性の良さを発揮するかも注目だ。
主なOB
大阪桐蔭…中村剛也(西武)、中田翔(日本ハム)、浅村栄斗(楽天)、森友哉(西武)、根尾昴(中日)
東海大菅生…鈴木昴平(オリックス)、南要輔(楽天)、高橋優貴(巨人)、勝俣翔貴(オリックス)、戸田懐生(巨人)
大阪 東京
春 18勝 6勝
夏 7勝 8勝
計 25勝 14勝
対戦成績は選抜は大阪勢が、夏は東京勢がリード。平成以降は大阪勢が12勝2敗と圧倒しており、昭和62年のPL-帝京戦から2004年の大阪桐蔭-二松学舎大付戦までは11連勝を飾った。相性通りになるのか、それとも東京勢が意地を見せるのか。
思い出名勝負
2006年夏2回戦
早稲田実
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
1 | 0 | 4 | 0 | 0 | 1 | 0 | 3 | 2 | 11 |
0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
大阪桐蔭
早稲田実 斎藤
大阪桐蔭 石田→松原→那賀→中道
2006年の選手権大会は駒大苫小牧と横浜の2強と言われていたが、大会初日に横浜が大阪桐蔭に敗れるという波乱の展開に。駒大苫小牧を止めるのはどこになるかと注目が集まる中、2回戦でその有力候補同士がぶつかった。
早稲田実は好投手・斎藤佑樹(日本ハム)を中心に同年の選抜で10年ぶりの出場を達成。エース斎藤の踏ん張りと勝負強い打線で関西との引き分け再試合を制し、8強まで勝ち進んだが、準々決勝では連投で疲労困憊の斎藤が横浜打線につかまり、3-13と惨敗を喫した。手ごたえと悔しさの両方を感じ、夏の本戦へとチームは再び鍛錬に励むこととなった。
そして、迎えた西東京大会では初戦で都立昭和に3-2と苦戦を強いられるスタートに。その後も選抜出場の東海大菅生や日大鶴ケ丘ら強豪との死闘が続くが、粘り強く勝ち抜いて決勝まで勝ち上がる。そして、決勝では4連覇を狙う日大三との歴史的な死闘となったが、スタミナ十分のエースとしぶとい打線の援護で5-4と延長サヨナラ勝ちし、代表切符を獲得。勢いそのままに1回戦は鶴崎工に13-1と大勝し、2回戦にコマを進めた。
一方の大阪桐蔭は前年のチームから平田(中日)、辻内(巨人)という投打の柱が抜けた中、投手陣の柱として期待された中田翔(日本ハム)が肘の故障で離脱するアクシデントは発生する。チーム作りを根本から変えなくてはならず、またこの年の大阪は秋の近畿優勝の履正社や前田健太(ツインズ)を擁するPL学園など強豪ひしめく激戦区だったため、大阪桐蔭は夏までなかなか結果を残すことができなかった。
しかし、夏は打者に専念した中田が4試合連続ホームランを放ち、履正社との大一番も制すれば、投手陣も石田・松原の左右2枚看板が安定。決勝では好左腕・植松(ロッテ)の金光大阪に競り勝ち、2年連続の出場を果たした。そして、初戦は横浜との大一番となったが、気負いからミスの出る横浜を相手に終盤着実に得点を重ね、11-6と大勝を収める。2年生主体の伸び盛りのチームが一躍注目の存在となっていた。
試合前のインタビューでは早稲田実・斎藤と大阪桐蔭・中田という投打のプロ注目選手の対決が話題に。互いに相手のポテンシャルを認めつつも、攻略に自信を見せていた。
大阪桐蔭の先発は2年生左腕の石田。スライダーに自信を持つ技巧派左腕だが、立ち上がりにその決め球を早稲田実の5番船橋にタイムリーされて1点を失う。大阪桐蔭にとってはやや投手力に不安を抱える状態だったが、その不安が現実となってしまった。
しかし、1回裏にそのビハインドを取り換えず場面が早くも訪れる。1アウトから2番小杉がサードゴロエラーで出塁。2アウトとなって4番中田が打席に。不敵な笑みを浮かべながら入った中田に対して早稲田実バッテリーは外角中心の配球でカウント2-3まで持っていくと、最後はインハイに140キロ台中盤のストレートを投げ込んで空振り三振に切って取る。
この1回の攻防がすべてを決めたと言ってもよかった。石田攻略の手ごたえをつかんだ早稲田実は3回表に1点を追加すると、5番船橋が初回に続いて石田のスライダーをとらえて右中間スタンドに3ランを叩き込む。投手力に自信を持つ早稲田実にとっては十分なアドバンテージを得た。
このままでは終われない大阪桐蔭は3回裏、ランナーを一人置いて2番小杉が甘く入ったストレートを完ぺきに捕まえてレフトスタンドへの2ランホームランとなる。試合はまだ序盤。反撃の構えを取りに行くが、4番中田が機能しない。初回のインサイドのボールが残像で残っているため、アウトコースの真っすぐに対して腰砕けのスイングで空振り三振に切って取られる。
打線の軸を抑え込まれた大阪桐蔭に対して、早稲田実は着々と得点を重ねていく。6回に1点を追加すると、8回には3番手の那賀から1番川西が自信初めてとなるホームランを叩き込む。選抜以降、エースを支えるために鍛え上げた打線が本領を発揮する。
これに対して、大阪桐蔭打線はこの大会一番といっても良かった斎藤の投球の前に4回以降は沈黙。8回裏には中田との4度目の対決となるが、スイングを崩された中田は成す術なし。高めから入ってくるフォークに対してタイミングが合わずにこの日3つ目となる三振を奪われる。3年生エースが2年生スラッガーを完ぺきに封じ込めた。
結局、斎藤は大阪桐蔭の強力打線から12個の三振を奪い、6安打2失点で完投。試合前の評価を覆す大勝で3回戦へとコマを進めた。
この試合が早実ナインに与えた自信は殊の外大きかったのだろう。3回戦以降試合を重ねるたびにナインはみるみる成長。福井商、日大山形、鹿児島工と下し、決勝ではご存じの通り、駒大苫小牧との引き分け再試合を制して悲願の夏初優勝を勝ち取った。初戦と比較すると本当に同じ選手かと思うほど動きの良くなったナインの姿に、高校生の成長速度は末恐ろしいものだと感じさせられたものだった。
対する大阪桐蔭は初戦で横浜戦を勝ち抜いたことでどうしてもチームの雰囲気に緩みが出てしまったとのこと。純粋にチーム力で見ても、この年は早稲田実の方が上だったことを考えると、結果は火を見るよりも明らかだった。翌選抜でも優勝した常葉菊川に惜敗し、中田のいた3大会はいずれも優勝校に敗退することに。ジンクスを突き抜けて久々の優勝を果たしたのは、中田達タレントぞろいだった学年の1年下の世代であった。
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