2021年選手権2回戦 高松商vs作新学院(6日目第2試合)

2021年

大会6日目第2試合

作新学院

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 1 2 0 3 1 7
0 0 3 0 3 0 0 4 × 10

高松商

 

作新学院  井上→佐藤→林

高松商   徳田→渡辺和→坂中

ともに打力に自信を持つ伝統校同士の対戦は高松商が常に先手を取る展開に。終盤に4番藤井のタイムリーで再度突き放し、両校計25安打17得点の打撃戦を制して3回戦進出を決めた。

試合

両校ともに主力に左打者が並ぶこともあり、高松商は徳田、作新学院は井上と左腕投手を先発に選んだ。

投手力でやや上回ると思われる作新学院は初回からヒットが飛び出してランナーを出すが、得意の強攻策がこの日は実らない。いい当たりが正面を突いたこともあったが、「この日はある程度は失点するだろう」と腹を据えていた高松商守備陣の落ち着いた守りが光る。取れるアウトを確実に取る守備で序盤3回を想定通り無失点で切り抜ける。

対する作新学院の左腕・井上も序盤2回は無失点投球を展開。2012年の筒井や2013年の渡辺のように技巧派左腕の育成に定評のある小針監督のもと、きっちり仕事をこなしていくかに見えた。

しかし、3回裏に抑えるべき左打者に捕まってしまう。8番徳田、1番野崎とともに左打者にストレートを流し打たれてピンチを招くと、バッテリーはやや変化球に頼るようになる。この配球の偏りを強打の高松商が見逃すはずもなく、2番浅野、3番安藤の連続タイムリーで2点を先取。さらに4番藤井の内野ゴロの間にサードランナーの浅野が好判断でホームを陥れ、この回3点を先制する。

追う展開を想定したはずが想定外のリードをもらった高松商・徳田はキレのあるストレートを武器にけれんみのない投球で強打の作新学院に立ち向かう。5回に集中打で1点を失うが、攻めの姿勢は崩さずにストライク先行の投球で踏ん張る。すると、5回裏には作新の2番手右腕・佐藤の悪送球に付け込み、4番藤井のタイムリーなどで3点を追加。序盤戦を6-1と大きくリードして折り返した。

ただ、試合前は「終盤までなんとか食らいついていく(長尾監督)」の想定だったはずが、まさかの5点リードを得たことで高松商も守り抜くことを考えざるを得ない状況に。元来守りのチームではないだけに、一度受け身になると作新の強打を前に持ちこたえられない。中盤までなんとか踏ん張っていた徳田だったが、6回に再度集中打を浴びて降板し、6-3と3点差に詰め寄られる。

攻撃の手を緩めない作新打線は8回表、2番手の渡辺和を攻め立てる。徳田と同じ左腕だが、角度もスピードも上回る投手に対し、1アウトから4番小口、5番平塚がシャープな打撃で連打を放つ。さらに当たっている6番相原が四球で満塁となると、7番相場の内野ゴロの間に1点を追加。さらに8番渡辺が高めの速球をはじき返し、ついに5点差を振り出しに戻した。

だが、追いついた直後を高松商の3番手・坂中に踏ん張られると、その裏に再度高松商打線がつながり始める。1アウトから9番横井のサードゴロを悪送球してランナーを出すと、2番浅野のヒットと3番安藤の四球で満塁のチャンスを迎える。ここで4番藤井に対して作新の3番手・はタイミングの合っていないスライダーで攻め続けたが、結果それが裏目に出た。

カウント2-1と追い込まれながらファウルで粘って迎えた7球目を完ぺきにとらえると、打球は背走するセンターの頭上を破る走者一掃打に。この回、代打・山田のタイムリー内野安打も出て4点を勝ち越した高松商が最終回の作新学院の攻撃を1点に抑え、10-7で25年ぶりの夏の甲子園勝利を達成。と同時に、今大会で松商学園に続く4元号での勝利を挙げ、伝統校の歴史に新たな1ページを刻んだ。

まとめ

高松商としては試合前に追いかける展開を想定していたことで、序盤作新学院の強打を前にしても落ち着いて守ることができたのだろう。リードをもらったことでやや継投策が遅めになったのは致し方のないところ。主力の左打者が逆らわない打撃で結果を残し、2番に強打者の浅野を置く配置は今日もしっかり機能した。

守りに関しては決して盤石とは言えない今年の高松商だが、名将・長尾監督の元で腹の据わった戦い方を見せ、この日は栃木の名門・作新学院にも勝利を収めた。香川大会から危なっかしい打撃戦も多かったチームだが、試合をこなすたびに大きく力をつけてきており、次戦の智辯和歌山戦が非常に楽しみである。

 

一方、敗れた作新学院は持ち味の攻撃力を発揮するのがやや遅くなってしまったことが悔やまれたか。近年トレンドの犠打を使わない攻撃的な采配が、この日に限っては序盤うまくはまらず、左の軟投派でかわしていく作戦も序盤で破綻をきたしてしまった。

全国大会に出続けることで、自分たちのスタイルを研究されつくすのもある意味宿命ではあり、この日の教訓を糧に小針監督がまた新たな強いチームを作って戻ってくる日を待ちたいと思う。

2021年選手権2回戦予想 作新学院vs高松商 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

8月19日 【 高松商 vs 作新学院 】ハイライトvsホームラン | 第103回高校野球選手権 – YouTube

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