2022年選抜準々決勝 浦和学院vs九州国際大付(9日目第1試合)

2022年

大会9日目第1試合

九州国際大付

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 1 0 0 0 2 0 3
1 0 0 0 0 2 0 3 × 6

浦和学院

 

九州国際大付   香西

浦和学院     宮城

浦和学院・宮城、九州国際大付・香西の両左腕による投げ合いとなった試合は、中盤以降に浦和学院打線が香西の投球を攻略。8回裏に飛び出した4番鍋倉の一発でシーソーゲームを制し、2015年以来7年ぶりの4強進出を決めた。

試合

浦和学院・宮城、九州国際大付・香西。今大会ここまで好投を見せてきた両左腕が先発マウンドに上がった。

先手を取ったのは浦和学院だった。1回表、宮城が九国打線を3者凡退で退けると、その裏、浦和学院は1アウトから2番伊丹がセンターへのヒットで出塁。センターが打球をはじくスキを逃さずに2塁を奪うと、3番金田はアウトコースのスライダーを逆らわずにレフトへはじき返し、1点を先行する。香西は立ち上がりから抜群のコントロールを見せるも、金田が好左腕攻略のお手本となる打撃を披露した。

浦和学院の宮城はこの日もストレートが非常に走っており、九国打線を翻弄する。2回戦で広陵投手陣の140キロ台の速球に対応していた九国の各打者も、宮城のキレのある真っすぐには差し込まれがちな印象だった。

一方、浦和学院打線は立ち上がりから香西を相手に引き付ける打撃でヒットを放つが、2,3回と犠打のミスが目立ち、得点につながらない。3回には2アウトながら3塁までランナーを進めるが、香西の緩急をつけた投球の前に3番金田はレフトフライに打ち取られてしまう。

すると、眠っていた九国打線が打者一巡した4回に目を覚ます。先頭の1番黒田宮城のストレートをライトへ痛烈にはじき返してチーム初ヒットを記録。犠打で二進後に3番小田原はまたも真っすぐが高めに浮いたところを逃さずたたき、レフトフェンス直撃の2塁打で黒田をホームに迎え入れる。宮城は今大会20イニング目で初の失点を喫する。

序盤から浦和学院打線に引き付けて痛打を浴びていた香西だが、徐々に持ち味の緩急で相手打者を自分の土俵に引きずり込んでいく。4回裏にはセカンド隠塚の好プレーもあり、上位打線を3者凡退に打ち取ってリズムに乗っていく。対する宮城も同点には追いつかれたものの、こちらも緩いボールを効果的に使いながら5回は九国の下位打線を3者凡退で退ける。

5回まで1-1のタイスコア。この膠着状態から先に抜け出したのは浦和学院だった。1アウトから2番伊丹がチェンジアップが続いた後のインサイドやや甘めに入ったストレートをとらえると、打球はレフトスタンドに飛び込むホームランとなって1点を勝ち越す。今大会、香西が試合後半に失点したのは初めてである。さらに、3番金田、4番鍋倉も緩い変化球をしっかり引き付けて長短打を放ち、この回2点の勝ち越しに成功する。

これまで対戦してきたチームがどうしても崩せなかった香西の「緩急の壁」。これを浦和学院打線がついに崩すこととなった。

リードをもらった宮城だが、8回表に今度は九国打線が意地の反撃を見せる。1アウトから8番香西のうまいヒットと代打・浅嶋の四球でチャンスを作ると、1番黒田は終盤に増えてきたスライダーをうまくミートして満塁のチャンスを作る。

ここで森大監督宮城から右腕・金田にスイッチするも、暴投で1点を返すと、さらに満塁から4番佐倉がレフトにタイムリーを放って同点に追いつく。ここまで無安打の佐倉だったが、相手が右投手に変わって自らの打撃を取り戻した。しかし、逆転を狙った2塁ランナーは浦和学院のレフト小林の好返球の前に憤死。浦和学院が堅守で逆転は許さなかった。

両者譲らない好ゲーム。決着をつけたのは4番のバットだった。8回裏、浦和学院は1アウトからホームランを放っている2番伊丹が四球で歩くと、3番金田は高めに浮いたチェンジアップをレフトへ流し打つ。ここで4番鍋倉はスライダーの出し入れをきっちり見極めてカウント2-2となると、勝負球のインサイド速球を強振。打球は一直線にライトポール際を巻く3ランとなって、浦和学院があまりにも大きな勝ち越し点を刻み込んだ。

九州国際大付も最終回にランナー一人を出すが、最後は力投を見せてきた香西が打ち取られてゲームセット。浦和学院が見ごたえのある好ゲームを制し、7年ぶりの4強進出を果たした。

まとめ

浦和学院は香西の緩急をつけた投球に対して、試合前からよく研究を重ねてきたことがうかがえた。特に上位の左打者陣は序盤から緩い変化球に対して突っ込むことなくきっちり引き付けて強い打球を打ち返し、九国バッテリーにプレッシャーを与え続けた。多少ストレートに詰まらされることは覚悟のうえでの打撃であり、ファウルで粘りながら好球が来るところを逃さずとらえた。

また、宮城は今大会初の失点は喫したものの、キレのある速球を武器に8回まで好投を見せた。終盤の大事な場面で右腕・金田に思い切って継投した森監督の手腕も見事であった。投打がかみあっての九州王者撃破はチームに大きな自信をもたらすことになるだろう。監督交代後、いきなりの全国制覇も見えるところまでやってきた。

一方、九州国際大付も打線が終盤に浦和学院の左腕・宮城に食らいつき、エース香西も好投を見せていたが、最後は4番の一発に沈んだ格好となった。香西は浦和学院打線の迫力あるスイングに動じることなく、抜群のコントロールと緩急で好投していたが、最後は少しボールのキレが落ちたのかもしれなかった。

ただ、2試合連続で地区大会王者を撃破した戦いは見事であり、今大会は投打ともに十分実力を発揮していたと言えるだろう。強豪ひしめく夏の福岡大会に向けて、新たな戦いが始まる。

【第94回選抜】浦和学院 ー 九州国際大付 ハイライト – YouTube

2022年選抜準々決勝予想 浦和学院vs九州国際大付 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

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