大会8日目第1試合
大垣日大
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 |
1 | 0 | 2 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | × | 6 |
星稜
大垣日大 五島→山田
星稜 マーガード→中山
甲子園常連校同士の初対決は、序盤から星稜打線が大垣日大のエース五島を攻略。エース・マーガードも我慢強く投げ抜き、ベスト8進出を決めた。
試合
先発は大垣日大が初戦18奪三振の五島、星稜も初戦で好投したマーガードが先発した。
先手を取ったのは星稜。立ち上がりややボールの甘い五島から1番永井がヒットと犠打で二進すると、3番斉賀はラッキーな内野安打でチャンス拡大。4番若狭は死球で満塁となって、5番角谷がレフトへのきっちり犠飛を放ち、1点を先制する。星稜の右打者が五島の入ってくるボールに対してきっちり対応して見せた。
星稜の右腕・マーガードは右手の爪の影響が心配されたが、立ち上がり1回から3回は大垣日大打線を無失点に抑える。初戦と比較すると、ややボールが甘い印象もあったが、要所でカットボールをコーナーに決め、しつこい大垣日大打線に仕事をさせない。
エースが踏ん張りを見せていると、3回裏には打線が再びエースに援護点をもたらす。1番永井がセカンドゴロエラーで出塁すると、犠打で二進。2アウト後に4番若狭がアウトコース寄りのそんなに甘くないスライダーをとらえてレフトへのホームランとし、差を3点に広げる。五島は制球を取り戻しつつあっただけに、痛い一発であった。星稜の中軸はさすがに破壊力を秘めている。
大垣日大・阪口監督は4回裏から流れを変えようと、右腕・山田にスイッチ。立ち上がり、回転のいい速球を武器に1アウトを奪うが、星稜は7番津沢が巧打でレフトに流し打つと、8番佐々木は初球のアウトコースのストレートを右中間にはじき返して、1塁ランナーが長駆生還、貴重な1点を追加する。さらに2アウト後には1番永井のサード前のぼてぼての当たりが内野安打となり、この回2点目。
星稜打線がストレートに対して強さを見せた攻撃となったが、大垣日大、そして阪口監督にとっては厳しい失点となった。
リードを広げられた5回に入って、マーガードをとらえる。先頭の8番高橋が四球で出塁すると、2アウト後に2番河村がサードを強襲する内野安打でチャンスを広げる。ここで強打の3番米津が高めに浮いたカットボールをレフト前に引っ張って2塁走者が生還。1点を返すが、3塁を狙った河村は星稜の捕手・佐々木の好送球でタッチアウトとなり、惜しいチャンスを逃す。このあたり、星稜の守備は非常に鍛えられている。
しかし、この日の星稜はキーとなるイニングでことごとく得点を重ねる。5回裏、この回が2イニング目の山田から5番角谷がストレートをライト前に打って出塁すると、ディレードスチールを決めてスコアリングポジションにランナーを進める。6番松田は死球を選ぶと、ここまですでに2安打の7番津沢がインサイドの難しいボールをとらえると、打球をファーストが後ろへそらして再び差は5点に広がる。
津沢はここまで2試合で6打数4安打。この打席は記録はファーストのエラーだったが、ヒットにしてもいいような打球であった。この打者が7番にいるのだから怖い打線である。
マーガードは結局、6回を粘り強く投げ抜いて、7回から左腕・中山にバトンを渡した。時折、右手中指の爪を気にするそぶりを見せたが、怪我に負けることなく投げ抜いた。後を受けた中山はランナーを背負いながらも、出所の見えにくい投球フォームから繰り出す速球を武器に、好投。最終回に1点は失ったが後続をきっちり抑え、投打ががっちりかみあった星稜が4年ぶりのベスト8進出を決めた。
まとめ
星稜は序盤から打線が着々と得点を挙げ、負傷のエースを援護した。1回戦で18三振の五島のキレのあるボールに対し、上位から下位までコンパクトな打撃で対応。積極的な走塁も流れを呼び込む一因となった。マーガードも1回戦ほど調子は良くなかったが、この日はカットボールの精度が高く、要所でこのボールが大垣日大打線を苦しめた。
エースが故障しながらの進撃は、どこか左腕エース山本省吾(近鉄)を擁して準優勝した1995年夏を思い出させる。林監督が作り上げた最後のチームが、あの時に果たせなかった石川勢初優勝の夢をつかみ取るのか。
一方、大垣日大打線はバットを短く持って高めに浮いたボールを狙う意図は感じられたが、ランナーをためながらも決定打が出なかった。エース五島、右腕・山田もきっちり攻略されて序盤からほとんどのイニングで失点。両チームに大きな力の差はなかったが、主導権争いで後手を踏んだ印象だった。
ただ、選考問題で揺れた中で、きっちり1勝をマークし、強さを証明したのは事実。投打に好選手の揃う大垣日大が、今後、夏に向けてどのようにチーム力を高めていくのか、阪口監督の手腕に注目だ。
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