2022年選手権1回戦 市立船橋vs興南(3日目第4試合)

2022年

大会3日目第4試合

興南

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 5 0 0 0 0 0 0 5
0 0 0 2 1 0 0 2 6

市立船橋

 

興南    生盛→安座間

市立船橋  坂本→森本哲星

激戦区を勝ちぬいたチーム同士の対戦は、興南が先行し、市立船橋が追いかける展開となった。終盤に同点に追いついた市立船橋が好投手・生盛を攻略し、最後は押し出し死球で劇的なサヨナラ勝ちを収めた。

試合

興南は絶対的エースの生盛、市立船橋は左右2枚看板の一角の右腕・坂本がマウンドに上がった。市立船橋の先発・坂本が初回を無難に立ち上がったのに対し、1回裏、やや興南に硬さが見られる。

1番三浦が1,2塁間の内野安打で出塁すると、2番石黒はショート正面へのゴロ。これをショート仲程がはじいてしまい、オールセーフ。常連校と言えど、やはり初回は硬くなってしまうか。犠打で1アウト2,3塁となり、4番の片野はセカンドへのゴロ。バックホームの送球がやや高くなるが、事なきを得てタッチアウトとなり、後続も打ち取って無失点でしのぐ。

1,2回とカットボールを武器に興南打線を封じていた坂本。しかし、わからないもので、安定しているようにも見えた坂本の方が先に捕まる。3回表、興南は1アウトから1番仲程の死球と2番長田のファーストゴロエラーでランナーをためる。ここで最も頼りになる3番禰覇が二遊間へ痛烈な打球を放つと、打球はセカンドの前でイレギュラーしてセンターへ抜け、興南が先取点を手にする。坂本にとってはやや不運な形での失点だった。

打球が転々とする間にランナーが進塁して2,3塁となると、ここから堰を切ったように興南がたたみかける。4番盛島がアウトコースの変化球をうまく拾ってセンターへタイムリーを放つと、5番安座間も変化球をセンターへ打ち返して3点目。ここで市立船橋は左腕・森本哲星にスイッチするも、興南は内野ゴロの間に1点を追加し、さらに8番呉屋にもタイムリーが飛び出して、この回5点のビッグイニングとなる。

興南の打線は打者一巡目は坂本のボールに苦しんでいるように見えたが、二巡目に入ってきっちり攻略。県大会の数字は特筆すべきものではないが、相手のスキを突いてここぞとばかりに畳みかける攻撃は、さすが常連校のそれである。

大きな援護をもらった興南の生盛。しかし、激戦区を勝ち上がった市立船橋もじっくり反撃に転ずる。4回裏、先頭の3番森本哲太が四球を選ぶと、4番片野は広く空いた三遊間を破ってチャンスを拡大する。送って1アウト2,3塁とすると、6番谷藤はインサイドの速球を詰まりながらもライト前に落としてまず1点。さらに2アウト後、8番森本哲星もショート深い位置への内野安打を放ってしぶとく得点を挙げる。

追い上げ体勢の整った市立船橋は5回裏にも2番石黒の痛烈なレフトへのヒットと暴投でチャンスメーク。ここで3番森本哲太が真ん中寄りに入ったスライダーをきっちりレフト前に運んで2塁ランナーが生還。5回で2点差と射程圏内にとらえる。生盛は伸びのある速球を投じていたが、時折甘く入るボールを逃さない市立船橋の打撃が確実にプレッシャーをかけていた。

すると、後半に入って市立船橋の2番手左腕・森本哲星の投球が市立船橋の勢いに拍車をかける。左腕から繰り出す切れのあるスライダーで右打者のインサイドを攻め、興南の打線から快音が消えていく。興南も捕手・盛島を中心に落ち着きを取り戻した守備で対抗するが、森本哲星の圧倒的な投球が抗いようのない流れを生み出していく。

7回まで2点差でなんとか踏ん張っていた生盛。しかし、8回裏についに市立船橋打線につかまる。1アウトから4番片野への速球が甘く入ると、イチフナの主砲はこれを逃さない。打った瞬間にそれとわかる打球がレフトスタンドへ弾んで1点差に詰め寄ると、2アウトから6番谷藤はシュート回転した速球を引っ張って3塁手の横を破るヒットを放つ。

ここで興南バッテリーは続く7番篠崎を2球で追い込むが、イチフナの圧力がプレッシャーとなったか、3球目のスライダーが甘く入ってしまう。これを篠崎がセンターに打ち返して1,2塁。カウント的にかなり余裕のある場面だっただけに非常にもったいない投球だった。打席には8番ながら千葉大会で打率7割の森本哲星。興南バッテリーの生命線の速球を鋭く打ち返すと、打球は3塁線を破ってついに市立船橋が同点に追いつく。

こうなると、流れがどちらにあるかは誰の目にも明らかであった。最終回の興南の攻撃を森本哲星が3人で退けると、9回裏、市立船橋は先頭の三浦がレフトへのヒットで出塁。これをレフトがファンブルする間に一気に2塁を奪い、サヨナラのチャンスを迎える。

市船ソウルが鳴り響く中、興南サイドはついにエース生盛をあきらめ、ライトを守っていた安座間をマウンドに送る。生盛はストレートの伸びは素晴らしいものがあったが、市立船橋の失投を逃さない鋭い打撃が上回った。

興南は2番石黒を四球で歩かせると、犠打と満塁策による四球で1アウト満塁となる。打席には代打の切り札の黒川。初球、2球目とスライダーにバットが空を切り、厳しいかと思われた矢先、3球目のスライダーがすっぽ抜ける。ボールが黒川の背中に当たり、あっけなく試合終了。サヨナラのランナーがホームを駆け抜け、市立船橋が劇的なサヨナラゲームで2回戦進出を果たした。

まとめ

市立船橋は5点のビハインドを跳ね返す見事な逆転勝ち。腰を据えてじっくり好投手・生盛を攻めつける攻撃は見事だった。また、投げては2番手の左腕・森本哲星が興南打線に6回2/3でヒット2本しか許さない完ぺきなピッチングを展開。激戦区・千葉を勝ち抜いたことを納得させるような、投打の総合力の高さを見せた。新たに全国区となった名曲「市船ソウル」に乗って、伝統校の快進撃が始まった。

一方、興南は序盤に5点を先行する理想的な展開だったが、中盤以降は防戦一方の展開となった。エース生盛は素晴らしい球質のストレートを投じていたが、市立船橋のスキを逃さない攻撃が上回った結果となった。ただ、それでも3回に相手投手を一気に攻略した攻撃はさすが興南と思わせるものであったし、守備陣も終盤まで堅い守りでエースを盛り立てた。最後はサヨナラで散ったが、興南の積み上げてきた質の高い野球は十分高校野球ファンに伝わった試合であった。

ハイライト [2022夏 興南vs市立船橋] – YouTube

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