2023年選手権甲子園大会前ブロック別予想

2023年

Aブロック

勝ち抜き予想:沖縄尚学

骨のある4チームが集った印象。総合力で沖縄尚学が頭一つ抜けている印象か。

星稜創成館のカードは、星稜のエース武内の出来にかかっているか。創成館は長崎大会を見ていると、決して強打のチームではないが、相手の四死球やミスを得点に結びつけるのが非常にうまい。そのリードを永本、福盛ら力のある投手陣が守るため、先行されると厄介な相手だ。星稜は石川大会を通じて打線は好調。3番斎賀を中心に特に上位打線は振れている。3点以内の勝負なら創成館、5点以降なら星稜に勝機が広がりそうだ。

沖縄尚学いなべ総合の一戦は、沖縄尚学のエース東恩納vsいなべ総合打線の結果が試合を左右しそうだ。東恩納は昨秋から注目の好投手だったが、最後の夏にきて凄みを増してきた感がある。アウトローに突き刺さるストレートはわかっていてもなかなか手が出ない。このボールを上位から下位まで切れ目のないいなべ総合打線がどうとらえるか。点の取り方がうまい沖縄尚学打線はいなべ総合投手陣からある程度の得点は奪いそうであり、いなべ総合が勝つには、「東恩納攻略」は至上命題と言えるだろう。

Bブロック

勝ち抜き予想:広陵

ここも力のある4校がそろった。広陵、慶応が中心になりそうだが、北陸、立正大湘南も侮れない力を持つ。

広陵立正大湘南は中国勢対決に。ともに互いのことはよく知っているだろう。広陵の2年生エース高尾は球威十分の速球とキレのある変化球を低めに集め、三振も打たせて取る投球もできる。左腕・倉重などそのほかの投手陣も充実しており、失点はある程度計算が立つ。ただ、立正大湘南打線は県大会決勝で益田東の好投手を攻略したように、試合中にクレバーに相手の分析をして対応する力を持つ。投手陣が、真鍋擁する広陵打線を最初から最後まで抑えきるのは難しいだけに、相手が見せたスキに対して、乾坤一擲の大勝負をかけたいところだ。

慶応北陸も注目の一戦だ。慶応は神奈川大会を3番渡辺千をはじめとして、圧倒的な打力で勝ち抜き、決勝の横浜戦では最終回の劇的な逆転ホームランで優勝を決めた。投げては2年生エース小宅が春からさらに成長。コントロールに加えてスピード・球威も加わってきた。この投打ががっちりかみ合う慶応に対し、不気味なのが昨秋の北信越王者・北陸。春までエースで4番とチームの大黒柱だった友廣が故障の影響で不調だったが、かえってその他の投手陣・野手陣の成長を促して、激戦の福井大会を勝ち上がった。投打とも層が厚いがゆえに、誰をマークすればよいかわかりづらいチームだ。打撃陣は1番小南、3番平田が軸になるが、下位まで層は厚い。接戦になれば、面白い展開になりそうだ。

Cブロック

勝ち抜き予想:八戸学院光星

東北勢の強豪2校に久々の全国出場に初出場と、多彩な顔ぶれがそろった印象だ。

16年ぶりの文星芸大付と初出場・宮崎学園は対照的なチームカラーとなった。文星芸大付は国学院栃木・作新学院と昨夏・今春の甲子園代表校を「打」で圧倒。サヨナラ弾の5番黒崎を中心に、フルスイングで全員が鋭い打球を飛ばし、序盤から試合の流れを奪いに行く。これに対して、宮崎学園は2年生エース河野を中チンとした「守」のチーム。189㎝の長身から角度のあるボールを繰り出し、決勝戦では強打の聖心ウルスラ打線を完封してチームを優勝に導いた。河野vs文星芸大付打線の結果が試合を大きく左右するのは間違いなく、特に試合序盤の入りで文星打線をいかに抑え込むかが重要になってくる。3人の投手を擁する文星投手陣に対し、一発長打のパンチ力を秘める宮崎学園打線がどう立ち向かうかも見ものだ。

もう1カードは八戸学院光星明桜のみちのく対決。八戸学院光星が昨年は打のチームの印象だったが、今年はともに2年生の左腕である洗平・岡本が安定しており、投打で戦力は充実。3番の中沢恒は大会でも注目の強打者として名前が上がる。総合力でやや優位に立つ八戸学院光星に対し、明桜は県大会決勝で見せた逆転勝利に代表されるように粘り腰が持ち味。難波、加藤悠、松橋裕のタイプの違う3投手を擁して試合を作り、終盤のワンチャンスでは集中力のある攻撃を見せる。春の東北大会では8-5で光星に軍配が上がっているが、両チームの差はそう大きくないだろう。

Dブロック

勝ち抜き予想:専大松戸

力のある関東勢が3校に、連続出場の九州国際大付、堅守が光る上田西が入ったブロック。いずれも投攻守のいずれかに長けた実力校だが、投手力の点で若干、専大松戸が上回っているか。

専大松戸東海大甲府の関東ダービーは、東海大甲府の打線が専大松戸の力のある投手陣から何点取れるかがカギになる。もっと言えば、県大会で不調だった専大松戸のエース平野がどこまで復調しているかにかかっている。平野は本調子ならドラフト上位候補に上がるほど、速球の威力・変化球の精度とも光る投手だ。ここに梅沢や速球派サイド右腕の青野が成長し、よりスキがなくなった。平野が不調でもカバーできるだけの力はあるが、兼松をはじめとして長打力のある甲府打線に対峙するうえで、やはりエースの復活は大会に向けて絶対条件だ。東海大甲府としては中山をはじめとして打撃にも力のある専大松戸相手に多少の失点は覚悟しなくてはいけないだろう。先制して相手を慌てさせる展開を作り出したい。

開幕戦は土浦日大上田西の対戦。好投手を打ち崩し、打線の集中打に自信を持つ土浦日大が上田西の安定した投手陣をどう攻略するか。あの霞ケ浦・木村を攻略した県大会決勝のようにセンターから逆方向を意識した打撃で、活路を見出したいところだろう。一方、県大会無失策の堅守が光る上田西としては、先行して3人の好投手を擁する投手陣で守り切る展開を作りたい。かき回す土浦日大と、そうはさせじという上田西の鉾盾対決となるか。土浦日大の投手陣は質量とも豊富であり、上田西のキーマンの3番横山を載せないようにしたい。

大トリで登場の九州国際大付は、例年強打のイメージが強いが、今年は2年生左腕・田端を中心に守りの堅さが光る。4番ファースト佐倉に注目が集まる中、ショート隠塚・サード浅嶋の三遊間も甲子園経験者で有り、内野に昨夏を知る選手が多く残っているのが強みだ。福岡大会ではことごとく1点差のゲームをものにしており、堅守とつなぎの攻撃で競り合いをものにするのが今年のスタイルだろう。佐倉はこの夏は、ホームランこそ出なかったものの、単打で後ろにつなぐ打撃を見せており、チームバッティングでチャンスを演出していく。それも後ろに好調の5番白井が控えていたことが大きい。あとは最後の登場だけに、調整の難しさがある。そこを楠木監督のもと、いかに乗り切るかに注目したい。

Eブロック

勝ち抜き予想:履正社

昨夏の王者・仙台育英と2019年の王者・履正社。この2校を中心にEブロックはまわっていきそうだ。

聖光学院共栄学園はともに打力に定評のあるチーム同士の対戦。両校とも県大会では奇跡的な逆転勝利を収めて勝ち上がってきた。聖光学院は1番高中、4番三好と昨夏の4強入りをスタメンで経験した選手が残り、「軸」がしっかりしている。一方、共栄学園は上位から下位まで切れ目がなく、決勝では2アウトからセーフティバントで追いついたように、打順に関係なく、硬軟織り交ぜた攻撃を見せてくる。スタイルは違うものの、それぞれ泥臭さを持ったチームと言えるだろう。投手陣は聖光学院が4人のタイプの違う投手でつなぐのに対して、共栄学園は左腕・茂呂が柱となる。この投手事情の違いが、両校の攻撃陣の狙いをどう変えるかにも注目だ。

そして、今大会最注目のカードが仙台育英vs浦和学院になるだろう。2013年、2018年と奇しくも5年おきに3度目の対戦となる。10年前は浦和学院の春夏連覇を仙台育英が阻止しており、今回は仙台育英の夏連覇を浦和学院が阻止できるかという戦いになる。

浦和学院打線は3番喜屋武を中心に好調。特に5番の2年生三井はかなり上り調子で有り、左打席から強烈な打球を飛ばす。しかし、高橋・湯田・仁田・田中と本格派投手をずらり揃えた仙台育英投手陣からそう多くの得点は望めないだろう。序盤から少ないチャンスを、森大監督らしい強気の攻めで活かしたい。対する仙台育英打線は春から夏にかけて大きく成長。橋本・山田の1,2番コンビがかきまわし、4番斎藤陽・5番斎藤敏の「斎藤コンビ」と6番尾形で返していく。浦和学院としては勝利のためには、この強力打線を最低でも5点以内には封じて勝機を見出したい。鈴木、渡辺、細沢と多くの投手をそろえており、総力を結集して封じに行く。

反対の山は、川之江高知中央の四国対決。伝統校と初出場校という対照的な顔合わせとなった。川之江は実に21年ぶりの出場となる。エースで4番の山内太暉を中心に、今年のチームは打線のつながりがある。5番合田を筆頭に終盤の大事な場面で一打が飛び出して、聖カタリナ・今治西との死闘を制してきた。これに対し、高知中央も明徳義塾・高知とのしびれる試合をものにしてきたが、こちらは守り勝ってきた印象。高橋、藤田、堅田といずれも140キロ以上を投じながらタイプは右サイド、左腕、右上手投げと異なる。この投手陣を川之江打線がどう攻略するか見ものだ。

もう1カードはV候補の履正社鳥取商の対戦。履正社は本格派左腕・福田、経験豊富なまとまりのある左腕・増田という強力2本柱を擁しており、失点はおのずと計算できる。打線もチーム打率は4割越え。西、森沢の1,2番コンビがかき回し、中軸を務める近沢、森田といった長距離砲が返し、下位打線も打力が高い。そして、今年の履正社は西を筆頭に足が使えるのも強味だ。アップセットを狙う鳥取商としては、昨年の甲子園を経験したエース山根を中心とした投手陣がなんとか3点以内に抑えたい。逆に言えば、3点以内の展開なら鳥取商にも十分チャンスはある。昨年は優勝した仙台育英と5回まで0-0と拮抗した試合を展開。山根をはじめとして全国の経験者がおり、名前負けする心配はなさそうだ。

Fブロック

勝ち抜き予想:智辯学園

全ブロックの中で最も厳しいブロックだろう。粒ぞろいの8校がつぶしあうこととなる。総合力で智辯学園がわずかにリードしているか。

英明智辯学園は、選抜に続いて英明vs智辯勢の対決となった。英明は春夏連続の甲子園出場。選抜でも好投した右サイドの下村は癖球を武器に相手打者のバットの芯を外す投球が持ち味。左右問わずに打者のインサイドをしっかりつくことができるのも強味だ。これに対して、智辯学園は奈良大会5試合で12ホームランの長打力が武器。決勝で1試合2発の1番松本を中心に、同じく1試合2発を放った8番高良までホームランバッターが揃っている。今大会でも随一の攻撃陣と言える。下村のボールに対して、ポップフライを打ち上げないようにし、低く強い打球を放てれば、攻略の糸口は見えてくる。一方、英明打線も百々・寿賀の左打者の中軸コンビを中心に強力。智辯学園は中山・藤田というタイプの違う右の2枚看板が中心だが、やはりある程度の失点は覚悟せねばならないだろう。智辯学園打線が下村を攻略できるか否かが勝敗のカギを握っている。

愛工大名電徳島商も屈指の好カード。徳島商の森煌は今世代でも屈指の本格派右腕。最速149キロの速球は威力十分であり、コントロールにも定評がある。イニング数とほぼ同じ数の三振を奪っており、勝負所で1段も2段もギアをアップさせることができる。これに対し、愛工大名電の攻撃陣は3番加藤を中心に強力かつしたたかな布陣。機動力も使いながら、相手打者をあの手この手で苦しめる。愛知大会準々決勝ではインサイド封じで享栄の剛腕・東松を攻略しており、試合巧者ぶりが光る。一方、愛工大名電のエース笹尾は、相手打者を見ながらうまく打たせて取る投球に定評があり、強豪校のエースらしい勝てる投手だ。3番森口を中心に勝負強さの光る徳島商打線を相手に、完全に抑えきる展開も、大量点の入る展開もなさそうか。おそらく3~4点ほどの勝負になりそうだ。名電打線vs森煌の勝負がそれ以上かそれ以下かで勝負が決まりそうだ。

反対の山にいるのは花巻東宇部鴻城。ここは、注目のスラッガー佐々木麟を中心に攻撃力の高い花巻東打線を宇部鴻城のサイド右腕・浅田がどうお封じるかがカギになる。佐々木麟は最終学年になってややグリップの位置を下げたことで、より振りやすいポイントを見つけ、ホームランを量産。久慈、熊谷の1,2番を中心に機動力もある。これに対して、躍動感のあるフォームの浅田はキレのあるボールをコントロールよくコーナーに投げ分けることができ、試合を壊す心配はない。ここに高低も活かした攻めができれば、より可能性は広がってくる。一方、宇部鴻城打線も山口県のチームらしく機動力は豊か。多彩な投手陣を擁する花巻東だけに、できるだけ相手の継投を後手に回すよう、早くから勝負を仕掛けたいところだ。

最後のカードは前橋商クラーク国際の対戦。こちらも実力校同士の好カード。クラーク国際のエース新岡はスリークオーター、サイド、アンダーと多彩な腕の出し位置で打者を幻惑する技巧派だ。北北海道大会では打ち込まれる場面もあったが、自分から制球を乱すタイプではないだけに安心感がある。これに対して前橋商打線は終盤の強さに定評があり、特に本格派には滅法強い打線だ。新岡がどうかわしていくか、前橋商がどう試合の中で投球の中身をつかむかに注目したい。一方、前橋商は投手陣も坂部、清水の右腕コンビが充実。春まで課題と言われてきた打線が成長したクラーク国際いnとっては、格好の腕試しの相手と言える。双方の実力に大きな差はなく、接戦が予想される。

Gブロック

勝ち抜き予想:日大三

多彩な顔ぶれがそろったGブロック。強打の日大三が頭半分ほどリードしているようにも見えるが、初戦で対戦する社をはじめとして曲者が多い印象だ。

日大山形おかやま山陽は「打」の日大山形vs「投」のおかやま山陽の構図になるか。日大山形は8強入りした2006年に代表されるように、終盤の粘り強い攻撃はもはやお家芸と言える。沼沢、鈴木の5,6番コンビを中心にどこからでもつながる打線は脅威の的だ。これに対して、井川・三浦・三宅と3本柱の投手陣を擁するおかやま山陽は、継投でうまく相手の狙いをかわしながら日大山形打線に火をつけないようにしたい。日大山形はエース菅井も豪快なフォームから角度のあるボールを投げる本格派で有り、そう多くの失点はしないだろう。おかやま山陽打線としては、田内・湯浅の1,2番コンビを中心にチャンスを効率よく得点に結び付けたい。

大垣日大近江はベテラン監督同士の対戦となり、甲子園を知り尽くした常連校同士でもある。大垣日大は選抜でも好投したエース山田が大黒柱。球速もあることながらキレが光る速球を武器に、岐阜大会を投げぬいた。失点の計算できる投手であり、ミートのうまい1番清谷を軸につながりのある近江打線は、まず山田のストレートをしっかりとらえたい。一方、1番高川、4番高橋を中心として打撃力にも定評がある大垣日大に対して、今年の近江投手陣は継投で勝負する。左腕・河越、右腕・西山が軸だが、昨年の山田(西武)のような柱はいないだけに、継投のタイミングを見誤らないようにしたい。総合力では大垣日大がわずかに上か。近江は食らいついて終盤勝負に持ち込みたい。

鳥栖工富山商は初出場と伝統校という対照的な顔合わせの公立校対決になった。鳥栖工は犠打を活かした確実な攻撃が持ち味で、1つ1つ堅実に出たランナーを進め、タイムリーで返していく。これに対して、球威十分の富山商のエース上田だが、県大会で四死球がやや多かったのは気がかり。鳥栖工打線にそのあたりをつけこまれないようにしたい。一方、試合の流れを引き寄せるのがうまい富山商打線は数字以上の試合巧者ぶりを発揮してくる。古沢、松延響の2枚看板を中心に堅守の光る鳥栖工ディフェンス陣としては、点を取った次のイニングをしっかり守りたいところだ。

日大三は初戦屈指の好カードだ。日大三打線は西東京大会の終盤は技巧派投手を相手に苦しむ試合もあったが、3番二宮、当たっている6番針金を中心にポテンシャルは相当高い。全国制覇時と比べても引けを取らないような陣容で有り、ある程度の失点は覚悟が必要だ。社のエース高橋は伸びのある速球を武器とする本格派だが、正統派の投手で有るがゆえに日大三打線と合う可能性も否定はできない。左腕・年綱や成長著しい右腕・福田の先発もあるかもしれない。一方、緩急が武器の日大三のエース・安田はピンチにも動じない精神力も併せ持つ。機動力を武器に確実性の高い攻撃をする社打線が何点奪うかも楽しみだ。4~5点を争う接戦になりそうだ。

Hブロック

勝ち抜き予想:明豊

最も読みづらいブロックと言えるかもしれない。抜けたチームはなく、ほぼ横一線と言った感じか。投手力の高さで明豊を押すが、ほとんど差のないブロックと言えるだろう。

市立和歌山東京学館新潟は伝統校vs初出場校のカード。栗谷、小野の2枚看板を擁する市立和歌山は投手陣が安定しており、ロースコアでの試合展開がお得意だ。打線は看板となるような打者はいないが、上位から下位まで切れ目がなく、手堅い攻撃で1点1点刻み付けていく。これに対して、東京学館新潟は打線が看板のチーム。佐藤、渋川の当たっている1,2番を中心に強打で、日本文理・中越といった常連校を倒してきた。一方、投手陣は6人が登板しており、左腕・涌井がエースナンバーを背負うが、全員の総力を結集して抑えに行く。やはり守りあいの接戦では市立和歌山に分があるだけに、東京学館新潟としてはなんとか相手エース栗谷を攻略して、5点以上のゲーム展開にしたいだろう。

立命館宇治神村学園はともに打力に定評のあるチーム同士の対戦だ。立命館宇治は1年生時から経験豊富な面々が多く、本格派から技巧派まで多彩な投手を攻略して勝ち上がってきた。一方の神村学園は上位打線を2年生が占める若いチーム。機動力も活かし、勢いに乗ると手がつけられない。核弾頭の今村歩はチームを鼓舞する理想の1番打者だ。この両チームの打線を立命館宇治は長身の2年生右腕・十川が、神村学園は右腕・松永から左腕・黒木への継投でどう封じるかが、焦点になりそうだ。十川の角度ある速球、黒木の切れ味抜群のスライダーはともに一見の価値があるボールだ。

東海大熊本星翔浜松開誠館はともに甲子園初勝利を目指すチーム同士だ。東海大星翔のエース玉木はサイドから内外にきっちり速球・スライダーを投げ分けられ、ストライクゾーンの横幅を使った攻めができる好投手。熊本大会決勝では九州学院の強力打線を見事にシャットアウトして見せた。これに対し、浜松開誠館打線は大会が終盤になるにつれて調子を上げ、決勝は12得点。1番深谷は24打数12安打、6ツーベースと当たりに当たった。彼のバットでまずは初出場の緊張を吹き飛ばしたい。一方、松井・近藤・広崎と3人の好投手を擁する浜松投手陣に対して、こちらも熊本の核弾頭・百崎が待ち構える。東海大相模から転校し、最後の夏の出場チャンスをかなえた男が試合開始と同時に相手に襲い掛かる。ある程度は打撃戦になりそうな予感だ。

1回戦最終カードは明豊北海の強豪校対決だ。明豊は中山、森山の右腕2枚看板が安定。大分大会では終盤にしびれるような投手戦が続いたが、2人とも球威・コントロールとも抜群の投球で相手打線を寄せ付けなかった。これに対して、北海は打率6割越えの4番熊谷を中心にパワーあふれる打撃が持ち味。野手陣に2年生が多く、準優勝した2016年と似た雰囲気がある。これに対して、投手としても中心を担う熊谷と速球派の岡田がいる北海投手陣はそう多くの失点はしそうにない。しかし、明豊攻撃陣は例年のような派手さはなくとも、相手のスキに一瞬で付け込むしたたかさがある。無駄な四死球は注意したいところ。北海は持ち前のパワフルさを活かした野球で、明豊は強力な投手陣を前面に出した守りあいで、それぞれ自チームの良さを出す展開にしたい。

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