大会9日目第2試合
山梨学院
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 |
0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 2 | 0 | × | 6 |
健大高崎
山梨学院 津島→桜田
健大高崎 佐藤→石垣
関東勢同士のハイレベルな攻防は、中盤に健大高崎打線が山梨学院の左腕・津島を攻略。エース左腕・佐藤から右腕・石垣への継投も決まり、昨秋の関東大会のリベンジを果たして、2012年以来の4強進出を決めた。
試合
健大高崎は2年生左腕・佐藤、山梨学院は同じく2年生の左腕・津島。両チームともに、過去2戦と同じ投手が先発のマウンドに上がった。
健大高崎の左腕・佐藤はこの日も快調なピッチング。インステップで角度のついた場所から切れ味抜群のスライダー、カーブを投じ、山梨学院の上位打線を初回、3者凡退に打ち取る。山梨学院打線も当然対策は練ってきただろうが、実際に対してみると、なかなか攻略は難しいだろう。
一方、山梨学院の津島も特徴のあるフォームの左腕。関節の可動域が広く、腕が背中に隠れるように入るため、相手打者は突然ボールが出てくるように見える。機動力の光る健大高崎打線に対し、打たせて取る投球で、3者凡退。塁に出さなければ、機動力の心配もない。
試合は、両左腕の好投で非常に速いペースで進んでいく。中盤まで佐藤、津島の両者がストライク先行の投球でつけ入るスキを与えない。2人共変化球の切れが光る左腕だが、ベース手前でより曲がっているのだろう。とらえるポイントで非常に打者が苦労している印象だ。また、健大高崎・箱山、山梨学院・横山の両キャッチャーも強肩のため、ランナーが出ても仕掛けるスキがない。
あるいは終盤まで0-0で進むかと思われた好左腕同士の投げ合い。ところが、意外なところから試合が動き出す。山梨学院・津島がまめが破れたのか、ユニフォームに血の跡がついている。4回裏、無得点で踏ん張ったものの、3番高山・4番箱山・5番森山の3人にいずれも出塁を許す。変化球が生命線の投手にとって、これは痛い。満塁のピンチをなんとかしのいだものの、不安を残す展開となる。
すると、5回裏、健大高崎打線がつながり始める。先頭の7番横道が四球を選ぶと、すかさず代走の四宮を送る。このあたりは迷いのない采配。暴投と四球で1,3塁となると、1番斎藤が変化球をきれいにセンターへ返す。これが貴重な先制タイムリーとなると、2番田中も同じような打球で左打席からセンターへタイムリー。左腕投手を攻略するお手本のような打撃だ。さらに、内野ゴロでランナーを進めたところで、打席には4番箱山。初球のストレートをとらえた打球は、ホームランかと思うほどの放物線を描いてレフトフェンスを直撃する。2者がホームを駆け抜け、この回大きな4点を刻んだ。
続く5番森山の初球を投げたところで、津島は降板。不調や制球ミスが原因ではないだけに、非常に気の毒な形となった。
一方、健大高崎も6回から継投に入る。佐藤の球数はまだ58球だっただけに、早すぎるようにも思えたが、今後を見据えてのことだったかもしれない。再登板の可能性を考慮し、ベンチに下げることはなかった。2番手の右腕・石垣は代わり端、2四球と2番万場のヒットで満塁のピンチを招いてしまう。しかし、4番梅村は当てただけのセカンドゴロで併殺となり、得点には至らない。満塁の場面でタイムを取ったことで、石垣が別人のような落ち着きを見せた。
石垣がランナーを出しながらも、要所を締める投球を見せると、健大打線は2番手の桜田もとらえる。変則的な右サイドの投手だが、健大の左打者がタイミングを合わせる。7回裏、併殺を取られて2アウトになるが、2番田中、3番高山が連続長打で1点を追加。さらに、4番箱山にも2打席連続のタイムリーが飛び出し、決定的な2点を加えた。
なんとか意地を見せたい山梨学院は、8回にも9番桜田、代打・山田の連打を皮切りの満塁のチャンスメーク。ここで当たっている3番河内の犠飛でようやく1点を返す。オーソドックスな本格派右腕の石垣のほうがタイミングは取りやすいのだろう。しかし、この日は過去2戦のように集中打にはつながらない。後続が凡退し、1点にとどまった。
石垣は6回からのロングリリーフとなり、再三ランナーを背負ったが、スロースターターなのかもしれない。ピンチは背負っても、投げるたびに、コントロールの精度を取り戻していくような感じがした。もともと球威はあるだけに、コーナーにきまればそうは打たれなかった。最終回は6番から始まる山梨学院の攻撃を3人で抑えて試合終了。健大高崎が関東ダービーを制し、12年ぶりの4強進出を果たした。
まとめ
健大高崎は相手のアクシデントもあったとはいえ、そのスキを逃さない集中攻撃は見事であった。上位打線の決定力は特に素晴らしく、過去2戦は機動力が目立ったが、この日は打力も伴って理想的な攻撃となった。過去2戦で1安打だった森山に2本のタイムリーが出たのも大きい。もちろん、機動力も素晴らしく、随所に素晴らしいスライディングを見せた。
投げては、エース佐藤が5回を投げて、わずか1安打の好投。この日は58球しか投じておらず、青柳監督の温存もうまくいった感がある。また、2番手の石垣は2度の満塁のピンチを招きながら、4回で1失点とリリーフの役目を立派に果たした。まだばらつきはあるものの、自信になっただろう。ここまで3試合でわずか1失点のディフェンス陣に、機動力と打力が融合した攻撃陣。投打がかみ合った関東の強豪に、初優勝の時が近づいてきたか。
一方、山梨学院は、序盤は互角の展開で推移していただけに、2年生エース津島のアクシデントがもったいなかった。ここまで大会の軸となっていただけに、チームに動揺が走ったのも想像に難くない。この日は実力以外の要素で、敗れた感が強かった。
ただ、昨年とメンバーが大幅に入れ替わりながら、したたかな戦いで2勝を挙げたのは見事。過去の甲子園では力がありながらも、なかなか上に勝ち上がれない時代もあったが、もう完全に過去のものになったことを証明した、今年の戦いであった。
コメント