2024年選抜準決勝 健大高崎vs星稜(10日目第1試合)

2024年

大会10日目第1試合

健大高崎

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 2 0 0 3 0 0 5
0 1 1 1 0 0 1 0 0 4

星稜

 

健大高崎   石垣→佐藤

星稜     佐宗

ともに初の決勝進出を目指す強豪同士の対戦は、1点のしのぎを削り合うハイレベルな試合に。2年生投手陣を強打で支えた健大高崎が、星稜の猛追を振り切り、初の決勝進出を果たした。

試合

星稜はエース佐宗が2回戦以来となるマウンドへ。一方、健大高崎は準々決勝でマメがつぶれてしまった2年生左腕・佐藤に代わり、同じく2年生の右腕・石垣を先発に指名した。

立ち上がり、好調の健大高崎打線に対し、佐宗は1番斎藤に四球を与えてしまう。さらに、好調の2番田中にはベンチが強攻を指示。打球は1,2塁間を破り、健大高崎らしい野球でチャンスを広げる。ところが、ここで3番高山の犠打は捕手前の微妙な打球に。星稜・能美がフェアゾーンに打球が転がるのを待って拾い、3塁へ送球してフォースアウトとなる。さらに、打者走者が走っておらず、1塁へ転送して併殺になってしまう。このあたりは、ややツキもなかったか。続く4番箱山に対しては、インサイドの速球で詰まらせ、センターフライに。健大高崎としてはせっかく「らしい」野球でつかんだチャンスだったが、ものにはできなかった。

これに対し、健大高崎の先発・石垣は、ここまですべてリリーフでの登板で有り、先発ははじめて。ストレートに非常に力のある右腕だが、制球はやや不安定であり、抜け目のない星稜打線に対してどうかと思われた。そのあたりのことも考慮してか、立ち上がりは捕手・箱山がスライダーを多く要求。肩の力をぬかせるような投球で、3番芦硲に死球こそ与えたものの、1回の星稜の攻撃を無失点に抑える。

しかし、星稜は今大会は下位打線が好調。2回裏に石垣を捕まえる。先頭の5番服部が振り逃げで出塁。犠打と内野ゴロで3塁へ進塁すると、今大会ここまで9打数5安打と絶好調の8番中島幹がたたきつけた打球は石垣のグラブをはじいて二遊間へ。ショート田中が懸命のバックアップを見せるも、送球がわずかに逸れてしまい、服部が生還、星稜がしぶとく先制点をもぎ取る。ただ、続く9番佐宗にもヒットを許したものの、後続はなんとか封じ込める。

リードを奪った星稜だが、健大高崎相手に1点では心もとない。3回表のノーアウト1,3塁のピンチを佐宗が無失点でしのぐと、3回裏、今度は長打で突破口を開く。1アウト後、ここまで当たりの出ていなかった3番芦硲がアウトコースのストレートをとらえると、打球は左中間を深々と破る3塁打になって、絶好のチャンスを迎える。4番萩原はショートゴロに打ち取られ、2アウト2塁となるが、5番服部がストレートを痛烈に流し打った打球は3塁ベースを直撃。打球が転々とする間に、2塁ランナーが生還し、2点目を手にする。

序盤は星稜ペース。健大高崎としては、嫌な形での失点が続くが、中盤に入り、星稜のエース佐宗をとらえ始める。

4回表、先頭の4番箱山がスライダーをとらえてレフトへヒット。続く5番森山はここまで11打数1安打と当たりが出ていなかったが、右方向への打撃でライトへ痛烈な当たりを放つ。これを専徒が捕球しきれず、2,3塁とチャンスを広げると、6番加藤は真ん中寄りの速球をとらえ、打球はセンターの頭上を越える同点タイムリー2塁打に。佐宗のキレのあるボールに対し、差し込まれることなくはじき返し、力強さを見せる。さらにノーアウト2塁と勝ち越しのチャンスが続いたが、佐宗もランナーを背負ってからが粘り強い。コーナーを突く投球で後続を打ち取り、勝ち越しは許さない。

同点に追いついてもらった石垣だが、星稜は4回裏、またしても当たっている8番中島幹が起点となる。石垣の高めの速球を冷静に見極めて四球を選ぶと、バスターエンドランで2塁へ。1番吉田がセンターへのヒットでつなぐと、2番中谷のショートゴロがエラーを誘って、星稜が再び1点を勝ち越す。痛烈な当たりではあったが、健大としては悔やまれるプレーであった。

4回までは両チームともにミスが絡んで得点を奪い合う展開。しかし、両先発投手の踏ん張りもあり、失点の後をお互いに踏ん張り合う状況になる。

星稜リードのまま試合は終盤へ。しかし、星稜・佐宗のスライダーに対して健大打線が徐々に対応しつつあった。アウトになるものの、とらえた打球は増え始める。一方、序盤ややバタついた感のあった石垣がしり上がりに調子を上げていく。星稜リードのままで進んでいたが、展開としては、どこか健大に流れが来そうな予感もあった。

リードを広げたい星稜は6回裏、3たび下位打線がチャンスメーク。7番専徒、9番佐宗のヒットで1アウト1,3塁と追加点のチャンスを迎える。石垣の速球に対し、各打者がコンパクトなスイングで対応する。しかし、ここで上位に期待がかかるものの、1番吉田、2番中谷が打ち取られ、追加点はならず。球数も増え始める中だったが、石垣はアウトコース低めに丁寧にボールを集め、大事なイニングを無失点で踏ん張る。

すると、この2年生エースの粘投に打線が応える。先頭の8番石垣が痛烈なセンター返しで出塁。9番佐々木の犠打は失敗に終わるが、ここで1番斎藤が取り返す。2ストライクと追い込まれるが、佐宗のスライダーが甘く入るところを逃さずとらえると、打球は右中間を深々と破る3塁打になって、同点に!前の打者の失敗を帳消しにする会心の一打である。

さらに2アウト後、今度は自慢の中軸が強打連発!3番高山がフルカウントからアウトコースのストレートをレフト線へうまく流し打ち、この試合初めてのリードを奪うと、当たっている4番箱山がこの日3本目となるヒットで三遊間を破る。高山がホームを駆け抜け、5点目のホームイン。健大高崎が一気に試合の流れを自分のものにした。

一方、エースが打たれ、動揺もみえる星稜。しかし、被災地に勇気を与える気持ちで戦うナインは最後まであきらめない。先頭の3番芦硲石垣のストレートをとらえ、この試合2本目のヒットとなるセンター前ヒットで出塁。4番萩原の打席で盗塁と決めると、1アウト後、5番服部がこれまたストレートをとらえて左中間へ2塁打を放つ。左打者の逆らわない打撃で奪った1点。機動力も絡めた得点でああり、今年の星稜らしさが現れた得点であった。

7回に逆転を許した佐宗だが、8,9回はヒットのランナーを背負いながらもなんとか踏ん張る。石川県一の実力を誇る左腕が、5点を奪われながらもエースの意地で9回を投げ切ってみせた。

1点の差を追う星稜。しかし、8回から最も手ごわい男がマウンドに上がる。準々決勝で手のマメの影響で途中降板していたエース佐藤。これに対し、星稜は8回裏、先頭の8番中島幹が四球で出塁する。犠打で二進し、一打同点の場面を迎えるが、ここで星稜に痛恨のミスが出る。1番吉田の打球はテキサス性の当たりでセンターへ。しかし、前進守備を敷いていた佐々木がこれを掴むと、飛び出していた2塁ランナーも刺され、併殺に。星稜としては、初のリリーフ登板で立ち上がりにやや不安のあった佐藤を捕まえるチャンスを逃してしまった。

こうなると、最終回の佐藤は、いつもの佐藤であった。プレートの一塁側を使って、クロス気味に入ってくるストレートとキレのあるスライダーで星稜の上位打線を翻弄。3番芦硲、4番萩原という星稜打線の顔の2人を相手に臆することなく投げ込み、自分のスイングをさせない。最後は一打同点の場面となったが、星稜の主砲・萩原を渾身のストレートで空振り三振に切って取り、試合終了。健大高崎が神宮王者とのクロスゲームを制し、春夏通算9回目の出場初めての決勝進出を果たした。

まとめ

健大高崎は終盤の猛攻で星稜の佐宗をとらえ、見事な逆転勝ち!エース佐藤が登板できない、苦しい状況であったが、右腕・石垣を中心に粘り強く食らいつき、星稜のしっぽを終盤に捕まえて見せた。石垣は準々決勝までの投球を見るとやや不安はあったが、先輩捕手の箱山のリードにも引っ張られ、持ち味のストレートを軸に粘り強い投球で勝利を呼び込んだ。

また、打線は終盤に佐宗のスライダー、ストレートをいずれもとらえて逆転に成功した。大会屈指の左腕であり、打てるボールも少ないなかで、好球を逃さなかった打撃は見事であった。特に左打者陣が、アウトコースへ逃げるスライダーに対して、試合のなかで対応した技術はさすがの一言。機動破壊だけではない攻撃を目指してきた青柳監督の強化策が実を結んだ格好となった。初めてつかんだファイナルの舞台。念願の初優勝まであと一勝だ。

 

一方、星稜としては攻守にらしさを見せ、決して悪い試合ではなかったが、やはり序盤の好機であと一本が出なかったことが、健大高崎につけ入るスキを与える結果となったか。また、佐宗も粘りの投球を見せてはいたが、11安打5失点。しかし、これは健大高崎の技術の高さを褒めるしかないだろう。互いに粘り合う展開のなか、この日は健大に軍配が上がったということであった。

ただ、石川県勢初の4強入りを果たし、歴史を塗り替えるとともに被災地に勇気を与える素晴らしい戦いを見せてくれたのは紛れもない事実。最後は惜しい結果にはなったものの、その実力と強さを存分に発揮した96回選抜大会であった。

第一試合(10日目・準決勝)(石川)星稜  vs, 健大高崎(群馬)2024年3月30日【ハイライト】 (youtube.com)

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