右投手 大沢志意也(東海大四)
東海大四を初の決勝進出に導いたエース大沢志意也。前年の夏のエース西嶋から受け継いだスローボールが話題となったが、ストレートと多彩な変化球をコーナーに投げ分ける制球力が好投の要因であった。ストレートについては球威より伸びで相手を抑えるタイプ。細身な体ながらけれんみのない投球で、効率よく打たせて取った。準決勝で対戦した浦和学院は前年秋の神宮で0-10と屈辱のコールド負けを喫した相手だったが、森監督をして「昨年とは別人」と言わしめる投球内容で、9安打を浴びながらも1失点で完投した。夏は準決勝で北照に3ホームランを浴びて敗れたが、それでも選抜でも彼の好投は色あせるものではなく、北海道の高校野球の歴史に新たな1ページを刻み込んだ。
大沢志意也 東海大四 甲子園での奪三振集 – YouTube
左投手 江口奨理(浦和学院)
浦和学院の左腕エースとしてチームを4強に導いた江口奨理。1年生時には目の病気で失明の危機もあったが、見事に乗り越えてエースの座をつかんだ。甲子園初戦では前年優勝の龍谷大平安と対戦。相手の好左腕・高橋奎(ヤクルト)との投げ合いとなったが、延長11回をわずか3安打で完封し、初戦をものにした。低めに落ちるチェンジアップを武器に終盤5イニングはすべて3人で攻撃を片付けた。準々決勝でも県立岐阜商のエース高橋純(ソフトバンク)との投げ合いを制し、のちにプロ入りする左右の好投手との対決を制した。準決勝で東海大四に神宮のリベンジを食らったものの、この試合でも失った得点は3点。安定感は際立っていた。
2014/11/16 江口奨理 (浦和学院高校) 2年秋 サウスポー – YouTube
捕手 米田圭佑(松山東)
21世紀枠として出場し、旋風を巻き起こした松山東。4番捕手としてチームを牽引したのが米田圭佑だった。1回戦は剛腕・大江(巨人)を擁して夏春連続出場の二松学舎大付。戦前は圧倒的不利が予想されたが、米田が好リードでエース亀岡をリードし、カーブを主体とした投球で相手の強力打線に的を絞らせなかった。敗れはしたものの、2回戦では準優勝投手の大沢から先制2ランを放ち、最後まで強豪を苦しめた。文武両道のチームらしい頭脳的な野球で、65年ぶりの甲子園1勝を手にした。
2015選抜ダイジェスト 松山東-二松学舎大付 – YouTube
一塁手 佐々木良介(仙台育英)
仙台育英の強力打線の中核を担った5番・佐々木良介。チームは2回戦で敗退したが、8打数4安打と十分結果を残した。懐の深い打撃から逆方向へも長打を放つことができ、相手投手にとっては投げるところに窮する打者であった。平沢(ロッテ)、郡司(中日)と形成したクリーンアップの破壊力は出場校中でも随一のものだっただろう。敦賀気比戦では敗れはしたものの、優勝投手の平沼(日本ハム)からも2塁打を放ち、意地を見せた。
二塁手 宇草孔基(常総学院)
走れて打てる常総学院の核弾頭として活躍した宇草孔基(広島)。試合巧者・常総学院のしたたかな野球を象徴する選手であった。初戦の米子北戦では2番竹内とともに5盗塁をマーク。抜群の脚力で初出場の米子北守備陣を混乱に陥れた。また、打っては準々決勝の大阪桐蔭戦でエース田中誠也からセンターバックスクリーンに先頭打者ホームランを放ち、長打力も併せ持つことを証明。敗れはしたものの、前年夏の王者に強烈な先制パンチを見舞った。
150329 常総学院・宇草孔基 初球先頭打者ホームラン!! – YouTube
三塁手 柴引良介(健大高崎)
軌道破壊がテーマの健大高崎野球にあって、4番打者として「打」の役割をしっかり果たしたのが、柴引良介だった。1回戦の宇部鴻城戦で左中間スタンドに豪快な一発を放つなど、5番柘植(西武)とともに昨年からの経験者としてチームを引っ張った。2回戦の天理戦では決して俊足ではないが、相手のスキをついてホームを奪うなど、機動力野球の一端も担った。3試合で10打数7安打1ホームランという成績は、4番として十分すぎるほど仕事を果たしたことを表していた。
【2015センバツ】 健大高崎高校 4番 柴引君 ホームラン (第一回戦) – YouTube
遊撃手 林中勇輝(敦賀気比)
2年生ながら敦賀気比の3番ショートとしてチームの中核を担ったのが林中勇輝だった。入学早々先輩ショートの浅井(青学大)から指導を受けた期待の星は卓越したフィールディングと安定した送球でエース平沼(日本ハム)を援護した。大柄な体ながら、体全体を使いこなせており、センスの高さを感じさせた。また、打ってもヒット数は少ないながら勝負所で活躍。仙台育英とのV候補対決ではエース佐藤世(オリックス)の唯一の失投とも言えた高めのストレートをライト前にはじき返し、貴重な先制点をもたらした。続く準々決勝の静岡戦でもサヨナラ打を放ち、強敵を連破。優勝へと大きな弾みをつけた活躍であった。
左翼手 荒木裕也(浦和学院)
7番打者ながら15打数8安打と大爆発を見せた荒木裕也。強打・浦和学院の怖さを象徴する打者であった。前年秋にはサイクルヒットを達成するなど、大会前から注目されていたが、広角に打ち分ける打撃技術と長打力は相手投手を威圧した。初戦では龍谷大平安のエース高橋奎(ヤクルト)を相手に延長11回に見事ヒットエンドランを決めて先制点をたたき出すなど、戦術に対応する柔軟性も兼ね備えていた。準々決勝では県立岐阜商のエース高橋純(ソフトバンク)からもタイムリーを放ち、全国屈指の左右の好投手からしっかり結果を残した。
【浦和学院】荒木裕也選手サイクルヒット達成打席 14秋関東大会 – YouTube
中堅手 渡瀬太輝(東海大四)
守りの野球で勝ち進んだ東海大四のセンターラインをがっちり守った渡瀬太輝。158㎝と小柄な体ながらセンターの守備でダイビングキャッチを決めるなど、ファイトあふれるプレーで全国の球児に勇気を与えた。母親が柔道の選手だったということもあってか、受け身の取り方も実にうまかった。打っても8番打者で15打数8安打と大暴れ。今大会決して打線の調子がよくなかった東海大四打線にあって、小技も絡めて抜群のアクセントとなっていた。
東海大四、北海道勢52年ぶりに決勝進出の瞬間 – YouTube
右翼手 松本哲幣(敦賀気比)
準決勝・決勝のラスト2試合で一躍全国のヒーローにのし上がった松本哲幣。投手として入学しながらも野手に転向したが、身体能力の高さは折り紙付きであった。迎えた準決勝の大阪桐蔭戦は前年夏のリベンジをかけた戦いだったが、初回、2回と田中誠也のスライダーとストレートをフルスイング。2打席連続の満塁弾でライバルを完膚なきまでに叩きのめした。特に2本目のストレートは決して簡単なボールではなかったが、軸回転できっちり打ち返す打撃を見せた。大阪桐蔭がここまで一方的に敗れた試合は後にも先にもこの試合だけだっただろう。決勝でも東海大四のエース大沢の失投を逃さず、再びレフトスタンドへ叩き込み、チームを福井県勢初の全国優勝へと導いた。
コメント