雑草軍団・金足農が全国に鮮烈な印象を残した1984年夏。そのチームのエースとしてマウンドを守ったのが水沢博文だった。ストレートとカーブを主体とするオーソドックスなタイプだったが、制球力と球威を兼ね備え、東北地区屈指の好投手であった。選抜でも優勝した岩倉に食らいつくなど、金足農というチームと水沢の実力は高く評価されていた。
迎えた夏の本戦はいきなり4年連続出場の伝統校・広島商と激突したが、広商のお株を奪うバント攻撃で奪ったリードを水沢がきっちり守り切り、6-3と快勝。その後は別府商、唐津商を下すと、準々決勝では旋風を巻き起こしていた新潟南打線を13三振で完封と会心の投球を見せる。そして、いよいよ準決勝であのKKコンビを擁するPLと激突した。
水沢は立ち上がりから強気の内角攻めでPL打線を封じ込め、打線の援護もあって8回まで1点のリードを奪う。しかし、8回裏四球の清原(西武)を1塁において桑田(巨人)を迎えると、カーブが高めに浮いて逆転2ランを被弾。惜しくも3-2と逆転で散ったが、あの最強PLの打線をわずか5安打3点に抑え込んだ水沢の投球は讃えるべきものであった。
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