大会No.1投手(2023年選抜) 林謙吾(山梨学院)

2023年

多くの好投手が甲子園を沸かせた2023年の選抜大会だったが、大会No.1の称号は文句なしで彼のものだろう。山梨県に悲願のタイトルをもたらしたエース林は開幕試合から優勝決定の瞬間までマウンドに立ち続け、チームをけん引した。高校から投手を始めたというのが信じられないほどのコントロールの良さとスタミナ、そして速球の質の高さを誇り、短いテークバックも相まって相手打者を詰まらせ続けた。

長らく1大会2勝の壁を破ることができなかった山梨学院だったが、2回戦の氷見戦を超えたあたりから肩の力がいい意味で抜けたか、ナインはのびのびと躍動するようになった。林の球数とスタミナの心配もあったが、そんなものはどこ吹く風とばかりに、3回戦の光戦、準々決勝の作新学院戦と悠々と投げていった。無駄な力感がなく、股関節を中心にした体重移動からリリースで力を込められるため、球数を投げても疲労の色はほかの投手に比べて薄かったのだろう。

しかし、準決勝の広陵戦、そして決勝の報徳学園戦はさすがに疲れがにじみ出てきたか、初回は全く球が来ていない印象だった。いったい何点取られるのかといった内容だったが、ここを持ち前のコントロールで切り抜けると、そこから加速。徐々にボールの切れを取り戻していき、結果的に、強豪から2試合連続の完投勝利を挙げた。大会序盤の投球よりも、むしろ、この序盤からの立て直しにこそ彼の凄みを感じさせられた。

連投や球数制限が声高に叫ばれる中にあって、やはり一番大事なのは球数を投げてもけがをしにくいフォームの習得であるということを感じさせられた、今大会の林のピッチングであった。

【山梨学院】全6試合に先発し696球の熱投!精密機械のコントロールを武器に初優勝に導いたエース林謙吾選手の報徳学園戦でのピッチング – YouTube

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