控え投手同士の僅差の投手戦
東日本勢の躍進が光った2015年の選抜大会。その準々決勝最後のカードはともに夏春連続出場のチームの対戦となった。
健大高崎は昨夏「機動破壊」の合言葉を胸に8強進出。その時の主軸だった柘植(西武)、柴引を軸に足に加えてさらなる打力アップを図り、前年秋の関東大会を勝ち上がって選抜出場を決めた。
同じく、昨夏のマウンドを経験したエース左腕・川井の投球と攻撃がかみ合って1回戦の宇部鴻城に大勝すると、2回戦は近畿王者の天理と対戦。終盤に決して足の速い方ではない4番柴引が好走塁を見せて勝ち越し点を奪い、健大高崎の機動力を存分に見せつけると、エース川井も強力打線を1点に抑える好投を見せて、2012年選抜のリベンジを狙った強敵を見事返り討ちにした。
投攻守に充実した内容でいよいよ頂点も狙えるかと腕を撫していた。
一方、東海大四は前年夏にエース西嶋が超スローボールで甲子園を沸かせたが、新チームもエース大沢を中心にセンターラインが堅い守りのチームに仕上がってきた。大沢は球速・球威に目を見張るものはないが、ボールのキレとコントロールは抜群。先輩の西嶋より投手としての総合力は上かとも思われる好投手であった。
1回戦は21世紀枠の豊橋工・森との投手戦に。終盤に満塁から4番邵の打ち上げた打球がポトリと落ちる間に走者一掃となる幸運もあり、エース大沢は3安打と見事な完封勝利を収めた。続く2回戦はまたしても21世紀枠の松山東との対戦となった。初回に相手の4番米田に先制2ランを浴びるも、終盤に攻撃がつながって3点を挙げて逆転に成功。最終回を大沢が締めて東海大四としてはじめての8強進出を決めた。
接戦を制した東海大四が初の4強進出
2015年選抜準々決勝
東海大四
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
健大高崎
東海大四 権→大沢
健大高崎 橋詰→川井
試合は意外にも、ともにエースを温存して臨んだ一戦となったが、これにより痛手をこうむったのは健大高崎の方であった。データをもとに機動力で相手を突き崩すのが健大高崎の野球だったが、先発がエース大沢ではなく左腕の権と判明して大混乱。この焦りにより試合は東海大四ペースで進む。
早くエース大沢を引きずり出したい健大高崎は初回1アウト2塁から3番柘植のレフトフライで2塁ランナーが思い切ってタッチアップ。だが、レフトの好返球で3塁タッチアウトとなる。次の4番柴引が乗っているだけに無理する場面ではなく、結果失敗に終わった。負の連鎖は続き、2,3回には牽制タッチアウトになるなど再三ランナーを出しながら軟投派左腕・権から得点を奪えない。
一方、健大高崎のサイドハンド橋詰は4回まで落ち着いた投球で東海大四を抑えてリズムを作る。しかし、5回1アウト2塁のピンチを作ると代打の吉田に右中間へはじき返され先制点を許す。
この先制点が健大高崎の焦りを助長。6回から救援したエース大沢からも得点を奪えず、8安打を放ちながら完封されてしまい、東海大四が1-0のスコアで準決勝進出を決めたのだった。
攻撃的走塁は成功すれば相手をかき乱すが、失敗すれば自分たちのリズムが崩れるという両面性を見せた試合だった。東海大四は全国大会で関東勢に8連敗中だったが、これで記念すべき初勝利。準決勝では前年の神宮大会で10-0のコールドで敗れた浦和学院に守り勝ち、北海道勢として52年ぶりの決勝進出を果たしたのだった。
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