鳴門vs智辯学園 2016年夏

2016年

5年連続出場の常連が春夏連覇の夢阻む!

第88回選抜高校野球大会を劇的なサヨナラ勝利で制して優勝校の仲間入りを果たした智弁学園。エースの村上は5試合でわずか3失点で優勝し、打線も2年生の3,4番太田、福元を中心に勝負強い打撃でエースを援護した。

学校として初めての優勝を果たし、春夏連覇を目指しての大会となったが、エース村上の疲労や正捕手・岡澤の怪我などもあり、苦しい道のりだった。夏の奈良大会ではすべて逆転勝利。特に3回戦の磯城野戦では9回2点ビハインドを追いつくというあわやの展開だった。郡山、天理との試合も1点差で、優勝投手・村上が打ち込まれたが、最後は打線の援護と粘り強い守備で競り勝った。

甲子園では初戦で初出場の出雲高校と対戦。初回に3番太田のバックスクリーンへのホームランで先制すると着実に差を広げていき、村上も抜群のコーナーワークで1失点完投した。


一方、2回戦で対戦する鳴門は5年連続の出場。3年前には強力渦潮打線でベスト8入りするもここ2年は初戦敗退。一昨年は近江・小川を昨年は九州国際大付・富山を打てず、エース河野(日本ハム)も攻略されて力負けした。1年生から投げている河野、尾崎、中山らは入学時黄金世代と歌われたが、結局甲子園での勝利はないまま最終学年を迎えていた。

新チームとなり、集大成の年となったが、県では無敵も四国大会で秋は済美に、春は明徳に敗れて苦渋をなめた。悔しさをばねにエース河野は球速を上げ、打線も下位まですきがなくなった。徳島大会を史上初の5連覇。あの池田や徳島商でも成しえなかった快挙で甲子園へ乗り込んだ。

初戦は開幕戦を制した佐久長聖と対戦。初回に4番手束の先制ツーランで先制し、序盤で3点を先行。終盤追い上げられるもエース河野の粘りの投球で3-2と逃げ切った。

3回戦進出をかけてこの2チームが対戦することとなった。

9回に集中打で勝ち越し!王者を振り切った!

2016年夏2回戦

鳴門

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 1 1 0 0 3 5
2 0 0 0 0 0 0 0 0 2

智弁学園

 

鳴門    河野

智辯学園  村上

ともに好投手を擁する両チーム。打撃もつなぎが持ち味で走攻守バランスが取れているところは似たチームである。お互いある程度失点は計算できるだけに先制して優位に進めたい。

先手を取ったのは智弁学園。先頭・納のヒットなどで2アウト1,2塁のチャンスを作ると5番高橋、6番村上がともにテキサス性のヒットを放ち、2点を先制。この当たりは運も味方したタイムリーとなった。

智弁のエース村上は内外のコーナーを突く投球で緩急も交えてヒットは許しながらも丁寧に打ち取っていく。この当たりはさすが選抜優勝投手である。打たれていても点は入りそうにない。

しかし、それ以上に点が取られなさそうになってきたのが鳴門のエース河野。初回こそ高めに浮いたボールをはじき返されたが、2回から修正。低めに集まりだすと智弁打線から快音が消える。左投手で短いテークバックから最速145キロの真っすぐが投じられるわけだから、体感では140キロ後半に感じられるだろう。徐々に試合は鳴門ペースになっていく。

5回に鳴門はこの日当たっている8番渡辺が痛烈なライト前ヒットで出塁。送って2アウトから鎌田のセカンドゴロをセカンド・太田が取り損ね、エラーで1点差となる。渡辺はこの日ホームランが出ればサイクルヒットの大当たり。下位にこの打者を置けるのが鳴門の強みだろう。

6回には四球とけん制悪送球で進んだランナーを矢竹が見事なセンター返し。ついに鳴門が同点に追いつく。

その後は一進一退の攻防が続く中両チームとも好守を連発。鳴門のショート日野は三遊間深いあたりのゴロをよくさばき、智弁のレフト納は二度にわたるダイビングキャッチ。ともに簡単に相手に主導権はわたさない。大会も2回戦に入って、ワンランクレベルの上がった戦いに入ったか。

そして、運命の9回表。前の打席でタイムリーを放った矢竹が2塁打で出塁すると、送った後四死球で2アウト満塁。打席に2番の鎌田となる。この回、智弁バッテリーは左打者の外角低めにボールを集めるもどうもこの日の球審はこのコースに辛い。なにかこのコースのボールは絶対取らないとでも言いたげな判定で、何度もいいボールがミットに収まるが判定はボール。智弁バッテリーも徹底して攻めるが結果2アウト満塁2-3となる。根負けした智弁バッテリーの投じた高めのボールをはじき返した鎌田の打球はライト前に弾み、守備ミスの間に3人のランナーがすべて帰り、5-2となった。

その裏、智弁は先頭の福元が内野安打で出塁するも後続が続かず、鳴門が王者を撃破。史上8校目の春夏連覇はならなかった。

まとめ
鳴門の走攻守にすきのない野球は見事。フロックでも何でもなく智弁を実力で上回っての勝利だった。河野の好投に堅実な守備、下位まで粘り強いつながる打線と3年間で積み上げてきたものがよく出ていた試合だった。結局この後3回戦も勝利してベスト8と3年前の成績に肩を並べた。鳴門としての一時代を築いたといえるだろう。

一方、敗れた智弁学園は負けてしまったとはいえ、9回までよく粘って耐えたといえる試合だった。もともと能力が突出して高いチームではなかったが、高い目標をもって臨んだ選抜では見事優勝。マークされながらも奈良大会を勝ち上がり、粘り強さは天下一品だった。
智弁学園として初優勝を飾り、甲子園の実績で水をあけられていた県内のライバル天理に少し肩を並べられたという意味でも今年のチームの功績は十分称えられるものだった。

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