選抜に続いて東日本優勢となりそうな今大会。優勝候補・注目選手が集まっている。選抜4強のうち帰ってきたのは優勝校・敦賀気比のみ。大阪桐蔭や浦和学院の敗退は意外だったが、それだけ各地区の実力が上がっているのだろう。常総学院や県岐阜商なども県大会で散った。
高校野球100周年の記念の年を制するのはどこになるか。
選抜出場校を差し置いて優勝候補筆頭に上がるのが、東海大相模。150キロを記録する左腕小笠原(中日)、スライダーの切れが抜群の右腕・吉田凌(オリックス)の2枚看板。これだけの陣容はここ10年で見てもおそらくトップクラスだろう。小笠原は春季関東大会で投げ負けた浦和学院・江口の投球で緩急の大切さを学び、投球の幅が広がった。打線はアグレッシブベースボールの名のもとに杉崎・豊田・長倉ら昨年から主力で出ているメンバーを中心に打って走って攻めまくる。7番の竹内が5割を超えて首位打者と下位まで穴がない。昨夏・昨秋と1点差で敗れ、1点への執念を磨き上げてきたチームが昨年亡くなった故・原貢監督へ45年ぶりの優勝を届ける。
https://www.youtube.com/watch?v=89XKj4K4NGk
昨秋の神宮王者仙台育英も白河の関越えへ挑戦できる戦力が整った。県大会ではエース佐藤世那(オリックス)が不調。しかし、本調子なら140キロ中盤の重いストレートと130キロ台の高速フォークで欲しいところで三振が取れる。佐藤世那の不調時は百目木がバックアップ。コントロールがよく、25イニングを投げて自責点3の安定した投球だった。自慢の強打もエースを強力援護。3番の平沢は不調だったが、本来は長打力を秘めており、足も速い好選手。復活が待たれる。4番の郡司まで強打者が並び、それを乗り越えても5,6番に佐々木良、紀伊の長距離砲が控える強力打線。代打陣も結果を出し、相手は全く息が抜けない。守備陣も硬く、特にショートの平沢はセンター方向へ抜けそうなあたりを再三好捕。今大会でも屈指のショートだ。
https://www.youtube.com/watch?v=1y9XsPOzoD0
選抜王者・敦賀気比は史上8校目の春夏連覇を狙う。ここ3回の出場で4強、4強、優勝とすっかり勝ち方を覚えた感がある。エースは押しも押されぬ大黒柱・平沼。足を大きく上げる豪快なフォームながら制球力がよく、MAXは144キロ。チェンジアップもうまく振らせて打ち取る。選抜で見せたインサイドへの投球が夏もできるかがカギとなる。控えの2年生山崎も急成長。188㎝の長身から角度のある球を投げる。打線は昨年のような長打力はないが、つながりでは負けていない。1番篠原は県大会決勝でサヨナラ打。林中、木下らも好調だ。選抜の主役だった6番松本の復調を待ちたい。初戦の相手が奇しくも明徳義塾となったが、まずは明徳のジンクスを突き破り、優勝を成し遂げたい。
https://www.youtube.com/watch?v=f20X4aTyLHQ
この3チームをその他の優勝候補が追いかける。
おひざ元の近畿勢では昨秋の近畿チャンピオン天理に注目。もともとこの世代はかなり期待されていたが、エース候補の橋本がけがをし、選抜でエースだった斉藤も骨折。5番の富木が主戦となって甲子園に来ることとなった。しかし、急造エースながら精神力が強く、独特なフォームから低めを丁寧に突き抑えた。2年生左腕の森浦は昨夏から経験豊富で真っすぐに力がある。アピールポイントは打力。1番の船曳は快足が評価されてきたが、初戦の智弁学園戦で2ホームラン。3番貞光はシュアな打撃が光り、4番坂口は右の長距離砲。下位の川崎・前久保も長打力があり、7番には期待の1年生神野が入った。元近鉄の中村コーチが就任し、指導体制も整った。名将橋本監督のもと、「ぼちぼち」全国制覇を取りに行きたい。
https://www.youtube.com/watch?v=KSO12gDhSZs
智辯和歌山は3年ぶりの甲子園出場。ここ最近勝利から遠ざかっているが、今年は昨春出場時のメンバーを中心に力がある。エースは左腕斎藤。柔らかいフォームから140キロを超すストレートにスライダー、チェンジアップ、カーブを織り交ぜる。昨春の選抜では明徳義塾相手に好投を見せた。控えの金岡や中野も昨年からマウンドを経験しており頼りになる。打線は強力、智辯和歌山らしい強打が戻ってきた。山本・西山・春野のクリーンアップはいずれも1発放り込む力を持つ。守りも例年通り鍛えられており、体力も他校以上の自信を持つ。甲子園の勝利からは4年遠ざかっているが、自分たちの野球さえできれば優勝の可能性はある。常勝軍団復活の夏としたい。
https://www.youtube.com/watch?v=3ompjS0uz0E
静岡は一年間東海地区で負けなし。選抜ベスト8のさらにその上を行きたい。2年生エースの村木はいかにも馬力のありそうなフォームから140キロ台の真っすぐとフォークボールで三振を奪う。被安打は多いが、打たれ強く選抜2回戦の木更津総合戦では14安打を浴びながら2点でしのいだ。後ろには3年生左腕・村松が控え、選抜準々決勝ではスライダーを武器に好投を見せた。打線は強力で1番の2年生鈴木は走好守3拍子揃ったプレーヤー。昨秋3者連続ホームランを放った内山・堀内(楽天)・安本のクリーンアップは3人でチームの打点の6割を稼ぎ出した。6番の平野も左打席から鋭い打球を放ち、息が抜けない。3季連続となる甲子園で集大成を見せたい。
https://www.youtube.com/watch?v=NFqGD83ljJQ
健大高崎は3季連続の甲子園出場。昨年からのメンバーである柘植、柴引を中心に機動破壊の集大成を見せたい。エースは左腕川井は決め球のチェンジアップも武器に好投。右横手投げの橋詰も計算が経つ。県決勝では昨年選抜ベスト8のスタメン8人が残る桐生第一との対戦。相手の好投手・山田との競り合いを制した。前橋育英など県内のライバルとの競争力も強さの源だ。昨夏大阪桐蔭に敗れ、機動破壊に加えて打力が必要と痛感。選抜でも東海大四に完封負けを喫した。柘植、柴引の中軸の長打力とともにプッシュバントなど機動破壊のバリエーションも増やしてきた。相馬・小谷・宮本ら俊足選手を揃え、打って走ってかき回す。群馬勢3度目の夏優勝へ陣容は整った。
https://www.youtube.com/watch?v=JjcmK2MoBDQ
以上が優勝争いをリードする高校だが、その他のチームも虎視眈々と上位を狙う。
東京勢2校はともに打力が持ち味。
関東一高は強打で東東京大会を圧倒的に勝ち抜いた。1番のオコエ瑠偉(楽天)は広いストライドで駆け回るスプリンター。決勝ではセンター前ヒットを2ベースにする衝撃の走塁を見せた。このリードオフマンを打率6割の3番伊藤が返すのがお得意パターン。5,6番の長嶋、鈴木も打力は高い。鈴木は守りでも捕手として投手陣を支えるこのチームの枢軸だ。
投手陣は昨年選抜を経験した左腕阿部を中心に継投でしのぐ。左横手投げの小松原らで試合を作り、長身右腕・金子にうまくつなぎたい。打力は確かだけに上位進出は投手陣の出来にかかっている。
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早稲田実業はスーパー1年生清宮幸太郎を引き連れて甲子園に乗り込んでくる。この1年生ただものではない。1年生ながら打率5割。何より雰囲気にのまれないメンタルの持ち主で記者会見でのコメントはとても1年生のそれではない。そして、4番捕手の加藤がいい雰囲気を作り、好守でチームをまとめる。左の長距離砲であり、投手陣を巧みにリードする。エースは松本。球威は今一つだが、豊富な球種でアウトコースを丁寧に突き日大三を完封。その他の試合では失点が多かったが、左の上條、1年生の速球派・服部でなんとかしのいだ。
決勝では勝俣擁する東海大菅生相手に5点差を一気に逆転。球場を飲み込む早実の特権で、甲子園でも相手の脅威になるだろう。正直投手力は今一つだが、加藤のリードと和泉監督の伸びやかな野球で斎藤佑樹(日本ハム)以来の全国制覇を狙う。
https://www.youtube.com/watch?v=laMEmCi4QcE
昨夏の覇者を破った大阪偕星学園は初出場ながらただならぬ実力を秘める。大阪のやんちゃ坊主たちを山本監督がまとめ上げたリアルルーキーズ軍団だ。エースは左腕光田。140キロを超す真っすぐと高速スライダーで最後の4試合をすべて完投。特に大阪桐蔭戦は相手の特徴をしっかり調べ上げて、コントロールよく投げ込み強力打線を2点に封じた。3年連続大阪を制していた王者を執念で倒した。2番手の姫野も140キロを超す真っすぐで押す右の本格派だ。打線はつながりで勝負する。その中で1番姫野は長打力を秘める核弾頭。一度天理を中退して入った異色の経歴の持ち主だが、4番主将の田端が精神的にサポートし、大きな力となった。3番西岡、5番2年生の岸ら強打者が逆方向へのバッティングでつなぐ。
自慢の打力と光田の好投で頂点を目指す。
https://www.youtube.com/watch?v=VxU6fE_Twn4
中京大中京はエースで主将の上野を中心に6年ぶりの頂点を目指す。上野は縦回転の質のいいストレートを軸に好投。東邦、名電といったライバルたちを退けた。2年生左腕の長谷部も力がある。守備は伝統校らしく1試合平均0,5失策。打線は4番主将の伊藤が出塁率・長打力ともに5割越え、捕手として上野を好リードし、チームの中心だ。後を打つ矢田崎や佐藤も好打者だ。1番の河田は7四死球と選球眼がよい。伝統校らしいそつのない野球でバッテリー中心にしぶとく勝ち上がるつもりだ。
https://www.youtube.com/watch?v=KBXXxb8ONF4
九州学院は選抜初戦敗退の悔しさを胸に夏は活躍を誓う。実力は九州トップクラスだ。こちらもスーパー1年生村上を4番に据える。清宮に負けないパワーの持ち主でチームの打点王。彼のおかげで春4番の松下を7番に置くことができた。友田・柳内らは打率は低いが、本来は高い打力の持ち主。九州学院らしいヒットエンドランを多用した走る野球で活路を見出す。エースは全試合完投のエース伊勢。サイドから140キロの真っすぐ、スライダー、チェンジアップ、スプリットを織り交ぜる。スタミナ抜群のエースだ。相手のビデオを見ず、全試合固定メンバーで戦うという九学スタイルでまずは5年ぶりの8強を狙う。
https://www.youtube.com/watch?v=SlThhdlgzOY
花咲徳栄は4年ぶりの出場ながら実力はトップクラスだ。なにせ今年の関東は常に浦学がリードしてきたのだ。代わりに出てきたとはいえ侮ってはいけない。投手はエース鎌倉~2年生高橋昴への継投策。ともに140キロを超すストレートとスライダーで相手を抑え込む。決勝では浦学を破った白岡の勢いに押されたが、最後は高橋が満塁のピンチをしのぎ切った。打線は俊足の久々宇が出塁し、身体能力抜群の4番大滝(西武)や3拍子揃った2年生の3番岡崎(オリックス)が返す。チーム全員が50メートルを6秒前後で走る俊足の持ち主だ。選抜4強の浦学を超える成績を残したい。
https://www.youtube.com/watch?v=mRdJtpk1oik
遊学館も山本監督自身がこれまでで最強と自信を持つ。好投手・小孫は145キロの真っすぐに切れ味抜群の変化球を混ぜ、高本・広橋ら打線も粒ぞろいだ。ライバル金沢を退け、勢いに乗っている。https://www.youtube.com/watch?v=JyoZpIRqI8s
初戦で当たる花巻東と専大松戸はともに高橋(広島)、原(ロッテ)と大会屈指の好投手を擁する。ともに県決勝を制した集中打で援護したい。
https://www.youtube.com/watch?v=DEIxeu9YTUc
同じく初戦で当たる鳴門と九州国際大付はともに2年連続出場。昨年初戦敗退の借りを返したい。鳴門はエース河野、4番手束、九国はエース富山、4番山本武白志(DeNA)と軸になる選手が活躍できるかがカギとなる。
https://www.youtube.com/watch?v=W55RCn4k_84
北海は山本、渡辺の好投手2人を擁する。東海大四・大澤や駒大苫小牧・伊藤ら好投手の集まった南北海道を制した実力を見せたい。
https://www.youtube.com/watch?v=2ykbvfsJghw
秋田商業のエース成田(ロッテ)は大会屈指の左腕。身長は低いながら、145キロのストレートとスライダーで三振を奪う本格派だ。打線次第で上位進出は可能だ。
https://www.youtube.com/watch?v=tkpaaDwd0gQ
鹿児島実業はチーム打率は低いながら3,4番の室谷・綿谷の打力は本物。橋本・有村の2枚看板の出来にかける。
https://www.youtube.com/watch?v=U8WQUnAgKPY
東海大甲府は県大会準決勝まで全て完封コールド勝利。ぽっちゃり2年生エース菊池をチーム打率0.388の強打で援護する。
https://www.youtube.com/watch?v=NFqGD83ljJQ
聖光学院は戦後最長の9年連続出場。優勝候補・東海大相模としては初戦でいやな相手を迎える。
https://www.youtube.com/watch?v=xojX-j-LC0M
創成館は個性的な左投手2人(藤崎・水永)を昨春の選抜を経験した4番のスラッガー鷲崎を中心とする打線が援護。昨夏の経験者が残る海星を退けた。
https://www.youtube.com/watch?v=ZOHXl0bDwKc
龍谷は粘りの野球で春季九州大会を制覇。勢いに乗って佐賀大会を制覇。小さな2年生左腕池田の投球に期待したい。
https://www.youtube.com/watch?v=lJfs2jnHPfA
滝川第二の根来は大会屈指のスピードスター。作新学院の朝山は3年連続の甲子園に4番で帰ってきた。
https://www.youtube.com/watch?v=IgFW0DZR0lE
興南は全国制覇以来の甲子園出場。エース比屋根はプレートの目いっぱい1塁側を踏んでクロスファイヤーを投げ込んでくる。我喜屋監督の采配も楽しみだ。
https://www.youtube.com/watch?v=iM6QhaAo7qA
広島新庄の2年生エース・堀、下関商業の森元、上田西・草海、霞ヶ浦・綾部の投球にも注目だ。
明徳・今治西の四国の常連校は初戦の相手(それぞれ敦賀気比・明徳義塾)は厳しいが、伝統の力で前評判をかわしたい。
鳥羽は第1回優勝校。高校野球100周年の節目の年に帰ってきた。
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