大会10日目第2試合
中京学院大中京
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 7 | 0 | 1 | 9 |
0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 0 | 4 |
東海大相模
中京学院大中京 不後→村田→元→不後→赤塚
東海大相模 石田→諸隈→紫藤→野口→遠藤
V候補の東海大相模に対して、中京学院大中京が終盤に得意の集中打を浴びせて逆転!第57回大会以来、44年ぶりにベスト8へとコマを進めた。
試合
中京学院大中京は初戦で北照のエース桃枝は7回裏の集中打で一気に攻略。得点の入ったイニングは今回だけだったが、1イニングで勝負は決した。投げてはエース左腕の不後から赤塚、元と速球派右腕への継投で北照の反撃を断ち切り、1点差で勝利をもぎ取った。この試合も中京学院大中京らしい終盤勝負に持ち込めるか。
対する東海大相模は初戦で機動力を絡めて近江の好左腕・林から6安打6得点。近江守備陣に6失策が飛び出したが、東海大相模の走塁にプレッシャーが誘発したものと言えた。投げては遠藤(阪神)が巧打者の揃う近江打線を7回まで無失点に抑える好投を披露。その後も継投で相手の反撃をしのいだ。この試合も持ち味の強打で奪ったリードを継投で守り切りたいところだ。
中京はエース不後が、相模は1年生左腕の石田をマウンドに送る。異なるスタイルではあるが、それぞれ攻撃力に自信を持つチーム同士であり、先発がどこまで最少失点で踏ん張っていけるかがカギであった。
先手を取ったのは中京。2回表、4番藤田(阪神)がセンターへのヒットで出塁すると、続く1年生の5番小田には強攻策で左中間へ2塁打を放つ。立ち上がりから双方とも犠打を使わずに強気の攻めを見せ合う。6番不後は死球で満塁となると、2アウト後に9番二村のタイムリーで1点を先制する。
一方、東海屈指の左腕・不後を相手に相模がどう攻め崩していくか注目されたが、3回裏に相模が同点に追いつく。死球の鵜沼を内野ゴロで2塁へ進めると、3番井上が甘く入ったスライダーをきっちりレフトへ運び、試合はタイスコアに。序盤は両者一歩も引かない展開となる。
その後は両投手がピンチを招きながらも踏ん張る。特に石田はいつ崩れてもおかしくない印象の投球だったが、中京のまずい走塁にも助けられて5回まで1失点で先発の役割を果たす。2011年の選抜でも感じたが、東海大相模は注目度は高くなくても、確実に試合を作れる左腕を擁してくる。
東海大相模は6回表に2番手の左腕・諸隈が満塁のピンチを招きながらも無失点で踏ん張ると、その裏に女房役が援護点をもたらす。先頭の3番井上が不後の甘いスライダーを再びとらえると、今度は左中間スタンドへ飛び込むホームランとなって1点を勝ち越し。さらにヒットのランナーを2塁において、7番西川のセカンドゴロが悪送球を誘い、この回2点のリードを奪う。
投手陣が踏ん張って試合を作り、走塁も絡めたプレッシャーで相手のミスを誘発して得点を重ねる。ここまでは確かにいつもの相模のペースだったのだが…
7回表、中京が得意の終盤に猛攻をしかける。9番二村がアウトコースのボールをしっかり引き付けてレフトへ流し打つと、1番高畠も流し打ちで続いてレフトへの2塁打を放つ。ここにきて各打者がしっかり自分のポイントまで引き付け始める。続く2番申原はさきほどの悪送球の汚名返上とばかりにこれまたレフトへ流し打ち。左打者が3者連続の逆方向への打撃で活路を見出し、1点を返す。
相模は中軸に右打者が続く場面ですかさず右サイドの紫藤を送る。3番元は打ち取られるが、続く4番主将の藤田がアウトコース高めのスライダーにうまく合わせて中京が同点に追いつく。ファウルで粘って粘ってもぎ取った会心の一打であった。勢いに乗る中京は続く5番小田がライトへタイムリーを放ってついに逆転する。
さらに相模は左腕・野口を3番手に送るが、送球ミスで1点を追加されると、6番不後、7番井上の連打で作ったチャンスに9番二村がこのイニング2本目のタイムリーを放ち、この回だけで一気に7点を奪取する。豊富な投手陣を擁する東海大相模だったが、繰り出す投手をことごとく攻略されてしまった。中京の打撃をほめるしかないという印象のイニングだった。
ビハインドを負った相模はその裏、3番手の元から2四球を選ぶと、3番井上にこの日3本目のヒットとなるタイムリーと放って1点を返す。しかし、さらに満塁の場面で続く5番金城の当たりは風に乗り切らずにレフトフライ。あと一本を許すことなく、不後が踏ん張った。
中京は9回にも赤塚のタイムリーで1点を追加すると、終盤2イニングをその赤塚がストレート主体の投球で抑えきって、9-4と快勝。中京らしさ全開の野球で格上と目された東海大相模を大差で退け、44年ぶりの8強進出を果たした。
まとめ
中京学院大中京としてはミスは出たものの、V候補相手に終盤勝負に持ち込んでの逆転劇はまさに狙い通りだっただろう。7回は相模が目まぐるしく投手を変えたが、センターから逆方向への打撃で一気に攻略して見せた。守っても東海大相模の強打と足技にさらされながらも、捕手・藤田を中心に落ち着いてしのぎ切った。
姉妹校の中京大中京と比較すると、甲子園でなかなか勝ち上がり切れない年が続いたが、その呪縛を吹き払う痛快な勝利であった。
一方、東海大相模としては相手の狙っていたビッグイニングを許してしまったことがなんとも痛かった。継投でなんとかかわそうという意図は垣間見えたが、下級生主体のチームであり、どこかバタバタしてしまった印象はぬぐえなかった。こういう場面で絶対的エースや守りの支柱となる存在がいればまた違ったのかもしれないが…。攻撃陣も10安打で4得点したが、中京の継投の前にもう一つ攻めきれなかったか。
攻撃型のチームにありがちなもろさが見られての逆転負けに、東海大相模というチームの課題も見えたような気がする試合となった。
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