2022年選手権2回戦 仙台育英vs鳥取商(6日目第1試合)

2022年

大会6日目第1試合

鳥取商

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
0 0 0 0 0 5 0 5 × 10

仙台育英

 

鳥取商   山根→岩崎→荒川→岩崎

仙台育英  高橋→古川→仁田→斎藤→湯田

5回まで0-0の緊迫した展開で進んだ試合は、中盤以降に仙台育英打線が爆発。巧みな打撃技術でヒットを連ね、終わってみれば16安打10得点の圧勝でベスト1進出を決めた。

試合

140キロの速球を投じる投手を複数人擁する潤沢な投手陣の仙台育英。先発には2年生の伸び盛りな右腕・高橋を指名し、エース左腕の古川を後ろに回した。一方、鳥取商はエース右腕・山根が先発のマウンドに上がった。

高橋は序盤から持ち味の伸びのある速球で押していくピッチングを展開。回転が良く、鳥取商の打者がボールの下を空振りする場面が目立ち、2年生ながら来年は全国でも注目の好投手になりそうだ。像の厚い仙台育英の投手陣の中で先発の大役を任されるだけのことはある。

これに対して、鳥取商の山根は初回からランナーを背負うピッチングが続く。2回裏に先頭の5番尾形、そして6番遠藤にそれぞれ逆方向への打撃で長短打を浴び、無死1,3塁の大ピンチを招く。しかし、1アウト後に8番高橋のスリーバントスクイズをカーブで失敗させ、さらに3塁を狙った1塁ランナーを封殺して併殺に切って取る。スローカーブを武器に、序盤は緩急で仙台育英打線をかわしていく。

すると、鳥取商は直後の3回表に先頭の7番岩崎がチーム初ヒットで出塁。打力で劣る鳥取商としてはなんとか先制点を得たかったが、後続の犠打が併殺に終わり、チャンスを逃す。高橋の伸びのあるボールはバントをするのも一苦労だ。

3回までピンチの連続だった山根だが、左打者のインサイドを強気に突き、カーブ・フォークと縦に落ちる変化球を駆使して仙台育英打線を4回、5回は無得点に封じる。試合前の予想では仙台育英有利が多数だったが、5回まで0-0と均衡した試合になった立役者は間違いなく山根であった。

しかし、グラウンド整備を終えた6回に試合の流れが変わる。6回表から登板したエース左腕・古川が完ぺきな投球で鳥取商打線を封じると、その裏に先制点を手にする。先頭の2番住石が粘って四球をもぎ取ると、ここで鳥取商が投手を岩崎に交代。渡辺監督としては、予定通りの継投だったとは思うが、結果的にこれが裏目に出た。

盗塁で住石が二進すると、犠打で三塁へ。ここで、仙台育英は頼れる4番の斎藤陽がアウトコースのボールをきっちりはじき返して三遊間を破る先制タイムリーを放つ。1点を先制すると、続く5番尾形の初球に今度は斎藤陽が盗塁を敢行。5番尾形が四球で歩いて1,2塁となると、6番遠藤はカーブが高めに浮いたのを逃さず、左中間に運んで3-0となる。

佐々木監督の時代は圧倒的な「個」の力にある程度任せていた印象だったが、須江監督になってからは走塁で仕掛ける姿勢がより強くなった。このプレッシャーに鳥取商バッテリーもなかなか落ち着く余裕をもらえない。7番のタイムリー、8番古川のスクイズと続いて、大量5点をこのイニングで記録した。

セーフティリードを得た仙台育英は8回からさらなる継投策に出る。出てくる投手出てくる投手がみな、140キロ台の速球と決め球となる切れ味抜群の変化球を持っており、べらぼうな投手層である。投手層、投手力という点で大阪桐蔭に比肩するのはこの仙台育英くらいだろう。

反撃したい鳥取商は、8回表に5番木村の四球と7番岩崎の内野安打で2アウトながら1,2塁のチャンスを迎えるも、後続が三振にとられて無得点。その裏、仙台育英は再び打者一巡の猛攻で5点を追加し、試合は決した。この回の攻撃でも一つでも先の塁を狙う積極的な走塁意識が光った。新たなスタイルが定着してきた仙台育英が危なげなく3回戦進出を決めた。

まとめ

仙台育英は序盤はチャンスを活かしきれなかったが、積極的な走塁を絡めた攻撃を続けたことで相手のディフェンスを決壊させた。決して、大物うちがいるわけではないが、スキを見るや次の塁を奪い、甘いボールを確実にヒットゾーンへ落とす技術が光った。投げては計5人の投手リレーで鳥取商打線を2安打で完封。他校もうらやむ投手層で余力を残し、3回戦へとコマを進めた。

須江監督に代わってからこれで、春夏系4度目の甲子園。新しいカラーの定着してきたみちのくの強豪が、悲願の白川の関越えへ向け、まずは順当なスタートを切った。

一方、鳥取商は継投策が裏目に出る形となったが、これは結果論であり、采配を攻めるわけにはいかないだろう。一瞬空いた「間」で落ち着くタイミングを与えてくれなかった仙台育英が一枚も二枚も上であった。

それでも、先発・山根の投球は仙台育英の打線に十分通用していたし、終盤も最後まであきらめない姿勢を見せてくれた。3度目の出場で初勝利はならなかったが、鳥取代表としてしっかり戦い抜いて甲子園を後にした。

ハイライト/2022年8月11日第104回全国高校野球選手権大会2回戦/仙台育英高校(宮城代表)vs鳥取商業高校(鳥取代表) – YouTube

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