2022年選抜1回戦予想 京都国際vs長崎日大

2022年

2022年選抜1回戦

京都国際vs長崎日大

55% 45%

 

昨年の経験者を複数擁し、投打に充実する京都国際と打力が武器に長崎日大の対戦。投手力で勝る京都国際にやや分があるか。

 

京都国際のエース左腕・森下はこの世代では屈指の実力派左腕である。伸びのある速球、左打者には消えるように見えるスライダー、タイミングを外すチェンジアップと全てが一級品だ。本調子なら取れても3点と思わせる投手である。また、右腕・平野も大舞台を経験済みで、速球の威力は森下以上。この左右強力2枚看板は大会でも指折りの存在だろう。

対する長崎日大の打線は昨秋の県大会で県1位校の投手を2戦連続で打ち崩したように破壊力には自信を持つ。特に4番河村、5番百武の右打者2人は確実性と長打力を秘めており、この2人が森下攻略のカギを握っているとみてまず間違いないだろう。下位までつながりが良く、盗塁・エンドランなども絡めて複数得点を狙う。

 

一方、長崎日大の投手陣は安定感のある右腕・種村と強気の投球が光る左腕・川副の2人が軸。種村はオーソドックスなタイプの右腕で、コントロールにも自信を持つが、まとまったタイプだけに一度つかまった時に、そこから抜け出す術があるかどうかは気がかり。秋からどれだけ引き出しを増やせたかと川副につなぐタイミングが重要になってくるだろう。

対する京都国際打線は経験豊富なタレント軍団が揃う。昨年の甲子園で活躍した1番武田、3番辻井をはじめとして、打撃もいい森下、平野に小技も効く岩内もおり、柔と剛を兼ね備えた攻撃ができる。ただ、昨秋の近畿大会では和歌山東から10安打を放って2点どまりに終わったように、拙攻が見られたのが気がかりか。チャンスで1本を出せる打撃を冬の間にどれだけ高められたか。

 

やはり失点が計算できることと経験値から京都国際の優位は動かない気がする。長崎日大としては自慢の打線が京都国際投手陣を捕まえて先行する展開が望ましい。

 

主なOB

京都国際…曽根海成(広島)、清水陸哉(ソフトバンク)、上野響平(日本ハム)、中川勇斗(阪神)

長崎日大…大瀬良大地(広島)、中村隼人(日本ハム)、貝塚政秀(西武)、宮崎祐樹(オリックス)、野原将志(阪神)

 

京都 長崎

春  2勝  1勝

夏  1勝  1勝

計  3勝  2勝

対戦成績は京都勢が3勝2敗とリード。1987年の選抜では開幕戦で京都西と海星が激突。近畿王者の京都西が九州屈指の強打を誇った海星の打線を3点に封じ込め、5-3と競り勝った。

一方、2007年の選手権大会では長崎日大と京都外大西が3回戦で対戦。エース浦口の力投に報いんと長崎日大打線が一昨年の準優勝投手・本田を捕まえ、5-4と逆転勝ちでベスト8進出を果たした。

接戦の多い両府県の対戦。今回はどちらが勝利するか。

思い出名勝負

2009年選抜2回戦

清峰

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 1 0 0 0 0 1
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

福知山成美

 

清峰     今村

福知山成美  長岡

 

2009年の選抜2回戦で、優勝争いを占う好投手同士の対戦が実現した。

清峰はエース今村(広島)を擁して、夏春連続の甲子園出場。それまで古川(オリックス)、有迫、古賀と左腕エースばかりを指導してきた清水コーチにとっては、待望の本格派右腕との出会いであった。今村は勝負所でギアを一段上げる賢さも持ち、本格派右腕ながら投球に強弱のつけられる投手であった。秋の九州大会では危なげない勝ち上がりで優勝。3年ぶりの選抜出場を勝ち取った。

ただ、懸念されたのは清水コーチの異動による影響であった。公立校ゆえ仕方ないことだったが、吉田監督とのタッグが解消され、旧・北松南時代からチームを強化してきたエッセンスが失われる危険もあった。ただ、この冬は吉田監督がかねてからやりたかった練習を行うこともでき、いつもと違うメニューでリフレッシュできた面もあった。

初戦は3年前の選抜でも対戦した日本文理と対戦。今村のホームランで先制すると、今村が持ち味のメリハリが効いた投球で強力打線を完封し、4-0とまずは順調なスタートを切った。

 

対する福知山成美も夏春連続の出場。田所監督のもとで、自由奔放に打ちまくる野球で3年前の夏には甲子園で8強に進出していた。守りの野球、手堅い野球をするチームが多い京都では異色の存在であった。そこにこの年は近畿屈指の本格派右腕・長岡が加わり、秋の近畿大会ではベスト4に進出。準決勝でPL学園に逆転負けを喫したが、その実力は高く評価されていた。

しかし、こちらも懸念されていたのは攻撃の精度であった。長岡の失点が計算できるため、「1試合に3点入れば勝てるだろう」という空気があるのは否めなかった。ヒットは出るものの、強攻が多い分なかなか得点に結びつかない場面も散見され、初戦の国士舘戦では16安打を放ちながらも、得点は5点のみ。終始押し気味に試合を進めながらも、延長15回まで戦うこととなった。

最後に長岡が足をつりながらもチーム全員でフォローして勝ったのは収穫であったが、次戦に向けてやや課題の残る戦いとなった。

 

スタメンは清峰は不動のオーダーなのに対して、福知山成美は初戦で1番だった西元を6番に下げ、4番を打っていた末吉を1番に組み替えてきた。

試合は序盤から福知山成美が押す。毎回のようにヒット、四球でランナーを出し今村を攻め立てるが、ランナーが出てから一段球威もスピードも上がるため、なかなかヒットが出ない。また、初回こそ犠打を使用したものの、2回以降は強気の攻めが裏目に出てまずランナーを進めることに苦心してしまう。

ただ、この日は打順が下がった6番西元が好調である。2回にチーム初ヒットを放つと、4回裏には2塁打の4番福本を返さんと、レフト前に痛烈なヒットを放つ。これがランナーを置いた場面での初ヒットであったが、セカンドリードが甘かったことと清峰守備陣の素早い中継の前にホームに突っ込めない。後続を今村が連続三振に切って取り、清峰はまたしても無失点で切り抜ける。

4回までに4安打1四球を得ながらも得点の入らない福知山成美。こうなると野球の神様は清峰の方を向き始める。

5回表、ここまで初回にでた1番屋久のヒット1本だった清峰は、先頭の6番辻がレフト線への2塁打を放ってチャンスを迎える。ここまで淡々と打たせて取ってきた長岡にとっては久々に迎えるピンチ。犠打で1アウト3塁となり、当然スクイズを警戒する場面だ。

ところが、ここでベンチとバッテリーの呼吸がかみ合わず、外すタイミングをうかがっているうちに8番嶋崎にセーフティスクイズを決められてしまう。福知山成美サイドとしてはスクイズの可能性を頭に置いていただけに、防げた失点であった。

1点を失った長岡だが、この日は初戦から修正した省エネ投球でその後はほとんどランナーを許さない。結局、この大会で優勝することとなる清峰打線をわずか4安打1点に抑えた投球は見事であった。

対する今村は2回から7回まで6イニング連続でヒットを許すも、見た目としてはそこまで苦しい投球には見えなかった。やはりギアを上げた時にほとんどとらえられていないことが本人に自信をもたらしていたのだろう。福知山成美としてはこの日3安打と当たっていた6番西元の前にランナーを出して回ったのが1回だけだったのも痛かった。野球は得てしてそんなものなのかもしれないが…

今村は最終回にも先頭の6番田嶋にヒットを許すが、後続に決定打は出させず。最後は投げ合ってきた8番長岡に痛烈な右方向への打球を浴びるが、ライトのグラブにボールが収まって試合終了。清峰が難敵を1-0と最少得点差で退け、ベスト8進出を決めた。

 

清峰にとってはこの試合が優勝へ向けてまず第一関門を突破した試合となった。攻撃力にやや不安のあった清峰としては好投手から数少ないチャンスをものにしたこの試合は自分たちの持ち味が出せた試合でもあった。その後は、箕島・報徳学園と下して近畿勢を3タテ。決勝では花巻東・菊池雄星(マリナーズ)との投げ合いを再び1-0のスコアで制し、長崎県に初めての優勝旗を持ち帰ることとなった。

一方、福知山成美にとっては何とも攻撃がかみ合わない試合となってしまった。強攻策を繰り出す攻めは、はまれば大量点があるが、つながらないときはヒットが出ても得点にならないという「諸刃の剣」スタイルであった。ただ、そんな中でもエース長岡は今村以上の内容で九州王者を相手に1失点で完投。大会屈指の右腕という評に違わない見事なピッチングであった。

福知山成美 長岡投手 奪三振シーン(第81回選抜・清峰戦) – YouTube

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