2022年選抜1回戦
大島vs明秀日立
51% 49%
大会屈指の好投手vs強力打線の対戦。今大会の1回戦で5本の指に入る好カードだろう。
大島は21世紀枠で出場した2014年以来8年ぶりに聖地に戻ってきた。そのげんどうりょくとなったのが、注目の左腕・大野。最速146キロのストレートは威力抜群であり、変化球主体で打たせて取ることができる投球の多彩さも強みだ。九州大会では大分舞鶴との延長引き分け再試合を投げ抜いたように、スタミナも十分。初戦は万全の状態でなげぬきそうだ。
対する明秀日立の打線は初出場で2勝を挙げた2018年にもまして、パワフルな打線だ。特に3番石川ケニー、4番武田の2人のスイングの鋭さは出色。神宮大会でも広陵の投手陣を打ち込んだように、ストレートに力負けすることはないだろう。機動力はあまり絡めるタイプではないが、その分打撃に特化した技術の高さがあり、狙い球を外されてもファウルで粘る嫌らしさも兼ね備えている。打って勝つ金沢監督の野球を九州屈指の好左腕にぶつける。
一方、もともと打力が高かった明秀日立の昨秋の完投制覇の要因はエース猪俣の好投だろう。ストレート主体のパワフルな投球が持ち味で、狙われていても真っすぐで押し込む力がある。外野手兼任の左腕・石川もストレートに威力があり、左右2本柱を形成。2人とも投球が単調になる点だけ注意すれば、そう多くの失点はしないはずだ。
対する大島の打線は大物うちはいないものの、上位から下位までパンチ力のある打者が並んでおり、九州大会では集中打でビッグイニングを何度も作り出した。野球センス抜群の大野を2番に置いているのがみそであり、初回から強気の攻めで一気に流れを奪いに行く。柱となる4番捕手の西田に一本出れば、攻守で流れを呼び込むことができそうだ。
「春は投手力」の格言を考えると、大野の存在からみて大島がほんのわずかに有利か。しかし、明秀日立のパワーが大野を飲み込めば、一気のワンサイドもあり得る。試合が終わってみないと全くわからない強者同士の対決が今から楽しみだ。
主なOB
大島…山口達也(アナウンサー)
明秀日立…増田陸(巨人)、細川成也(DeNA)、ンドカ・チャールス(サッカー)、岡田英里(バスケットボール)、小滝水音(ゴルフ)
鹿児島 茨城
春 3勝 0勝
夏 1勝 2勝
計 4勝 2勝
対戦成績は選抜は鹿児島勢が、夏は茨城勢がリード。
2008年の選抜2回戦では初出場の鹿児島工が伝統校・水戸商と対戦。1年生の夏に甲子園4強メンバーに入った内村が絶対的エースとして帰ってきた。伸びのある速球を武器に、水戸商打線を終盤の1失点のみに抑えて完投勝ち。3-1というスコア以上に圧倒した内容だったのは、内村の投球によるところが大きかった。
一方、茨城勢の勝利で思い出深いのは1993年の3回戦。V候補筆頭の常総学院は、福岡-田村(広島)の2年生バッテリーを擁する鹿児島商工に0-4と苦戦を強いられていたが、まさかの降雨ノーゲームに。再試合では切り替えに成功した常総の左腕・倉が鹿児島商工打線を完封し、1-0と僅差で難敵を下した。
思い出名勝負
2016年選抜1回戦
鹿児島実
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 1 | 0 | 0 | 2 | 6 |
2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
常総学院
鹿児島実 丸山→谷村
常総学院 鈴木→樫村
ともに選抜優勝経験のある強豪同士。注目の好カードが実現した。
常総学院は2年連続の選抜出場。前年の選抜で2年生エースとして快投を見せたのが左腕・鈴木(ロッテ)であった。キレのあるスライダーは松井裕樹クラスとの評価を受け、新チームでは絶対的エースとして君臨。打線も2年生4番宮里を中心に力があり、関東準優勝の実績を引っ提げて2度目の選抜制覇を狙っていた。
対する鹿児島実は夏春連続の出場。前年夏は北海の好投手2人を開幕戦で打ち込んで18-4と爆勝し、その威力を全国に見せつけた。2年時から4番を務めていた主砲・綿谷を中心に新チームの打線も破壊力は抜群。丸山、谷村の両右腕が軸の投手陣が安定すれば、一気の上位進出もあり得た。
両校とも甲子園経験者を擁し、経験は豊富。常総・木内監督、鹿実・久保監督という歴戦の名将からバトンを引き継いだ佐々木、宮下両監督がどうタクトを振るかも注目された。
試合は立ち上がり、常総ペースで試合が進む。常総の左腕・鈴木は序盤切れ味抜群のスライダーで空振りを誘い、鹿児島実の強力打線を寄せ付けない。関東屈指の左腕の面目躍如の投球である。
その裏、常総学院打線はアウトコース主体の鹿児島実・丸山の投球に対して、徹底して右方向狙いで4安打を放って2点を先制。初回の攻防だけを見ると投手力の差で常総が大差勝ちするのではないかと考えていた。
ところが、2回以降は丸山が丁寧な投球で立ち上がると、対する常総・鈴木の投球はやや慎重となる。ボール先行が目立ち、3回まで無失点も球数は59球とどうもリズムに乗れない。鹿児島実の宮下監督が「右打者にはスライダーを捨てさせ、左打者にはラインを決めてスライダーを狙わせる」という的確な指示を与え、徐々に左腕を追い込んでいく。
すると、4回に入って巨漢の4番綿谷が内野安打を放って出塁。これを機に左打者がストライクゾーンに入ったスライダーを、右打者はストレートを狙い撃ちし始める。この回、6番伊戸田貴、7番追立のタイムリーで同点に追いつくと、勝利ムードだった常総野手陣にも焦りが目立ち始める。
これで流れを手にし鹿児島実は5回に4番綿谷のセンターへの強烈な当たりのタイムリーを放って勝ち越し。さらに6回には長打力のある7番追立がホームランを放って2点差をつける。
その裏、初回以降沈黙気味だった常総打線も中再びつながり始め、6回には丸山を攻めて満塁のチャンスを迎える。ここで一本欲しい場面だったが、鹿児島実はここで投手をアンダーハンドの丸山に変更。これが吉と出たか、丸山は2番有村をキャッチャーフライに打ち取って難を逃れる。
相手エースの攻略に成功した鹿児島実は9回にも2番手の樫村から2点を奪って、6-2と快勝。不利な流れを覆し、見事な野球で初戦突破を飾った。
鹿児島実は続く2回戦で優勝した智辯学園に1-4と逆転負け。今度は先行した試合だったが、中盤の相手の集中打で涙を飲んだ。ただ。持ち味の強打の片りんは見せつけた大会となった。夏は鹿児島大会でライバル樟南と延長引き分け再試合の激闘に。好左腕・浜屋(西武)を擁する強豪との再試合に惜敗したが、鹿児島の歴史に刻まれる名勝負を演じた。
一方、敗れた常総学院は鈴木頼みというチームの課題が浮き彫りになった試合となった。中盤にエースが打ち込まれた時に、全体的に意気消沈してしまった感があった。しかし、雪辱を期した夏はスラッガー今井(日本ハム)を擁した強打の中京やエース寺島(ヤクルト)が注目されたV候補の履正社を下して3年ぶりに夏8強入り。選抜の借りを十二分に返した大会となった。
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