大会No.1投手(1993年選抜) 牧野光将(上宮)

1993年

悲運のチームと言われた上宮に初優勝をもたらした立役者が左腕エース牧野光将であった。4年前に主砲・元木を擁して優勝候補だった時と比較し、この年のチームは秋の近畿大会で岡島(レッドソックス)擁する東山にコールド負けするなど、決して前評判は高くなかった。しかし、エースナンバーを背負っていた吉川に代わって牧野が主戦を務めると、強気の投球で全国の強豪にどんどん立ち向かっていった。

 

初戦は斎藤宜(巨人)らプロ入りした選手を複数擁した横浜に延長の熱戦でサヨナラ勝ちを収めると、3回戦では鹿児島実を相手に8回まで無安打無得点ピッチングを展開し、球威、スピードとも申し分ない投球であった。しかし、最終回にエース吉川の復活を願って記録のかかったマウンドをまさかの交代。エースを思いやる優しい心の持ち主でもあった。

この心意気に応えて吉川は準々決勝で東筑紫学園のエース木(近鉄)に投げ勝って快勝。完全に波に乗った上宮は準決勝、決勝と牧野の好投で試合をものにし、念願の全国制覇を成し遂げた。

 

元木を擁した代をはじめとして、この年より力のある代もあったと思う。しかし、田中監督のもとでまとまって戦い、不祥事で選抜を辞退した一つ上の代(広島の黒田博樹もこの代であった)の思いも受けて戦ったこの代は、全国の頂点に立つのにふさわしいチームワークを兼ね備えていた。そして、そのチームのエースで主軸を務めたのが小柄で強気なサウスポーの牧野であった。

【好投手列伝】大阪府篇記憶に残る平成の名投手 1/5 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

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