大会10日目第4試合
海星
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 6 |
1 | 0 | 3 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1× | 7 |
八戸学院光星
海星 柴田→江越
八戸学院光星 横山→渡辺→山田
ナイトゲームとなった第4試合は互いに一歩も引かないシーソーゲームに!最終回に下山のサヨナラ打が飛び出した八戸学院光星が2014年以来5年ぶりのベスト8進出を決めた。
試合
八戸学院光星は1,2回戦と持ち前の強力打線が火を噴き、2回戦では智辯学園との壮絶な打撃戦を制した。1番武岡(ヤクルト)、3番近藤を中心に上位から下位まで鋭い振りの打者が並び、相手投手にとっては行き着く場所のない打線だ。投手陣は先発投手が試合を作りながら、リリーフエースの山田につなぐのが必勝パターンとなっている。投手層は厚く、継投のタイミングがカギとなる。
対する海星はエース柴田の好投で聖光学院に競り勝ち、17年ぶりの夏の甲子園1勝を手にした。こちらも上位から下位までスタメン7人にヒットが飛び出しており、打線は活発。柴田は持ち味のシュート回転するストレートを武器に聖光学院の反撃を荒牧のソロホームラン2本のみに抑えて完投勝利を飾った。この試合も先制して逃げ切る展開に持ち込めるか。
八戸学院光星は左打者の多い海星打線に対して2回戦と同様に左腕・横山を先発させる。しかし、海星打線が試合開始と同時に攻勢をかける。死球で出たランナーを2塁に進めると、4番高谷がストレートをとらえて、サード強襲の2塁打で先制。さらに5番坂本も取りに来たストレートを打ち返すと、打球は左中間スタンドへ弾み、あっという間に3点をもぎ取る。左打者対策で登板した横山だったが、中軸の右打者に攻略されてしまった。
3点のリードをもらった海星・柴田だが、こちらも相手の強力打線に捕まる。2アウトを取るも3番近藤にアウトコースにシュート回転して入ったボールをとらえられると、打球は逆風を切り裂いてライトポール際に飛び込むホームランとなり、光星がすぐに1点を返す。柴田にとってはリズムに乗りかけていただけに痛い失点であった。
八戸学院光星は先発の横山が調子が悪いとみると、3回表に四球をだしたところですぐに、右腕・渡辺にスイッチ。仲井監督もこのあたりは判断が早く、光星はピンチを招きながらも追加点を許さない。
海星は初戦で柴田が完投したものの、こちらも元々は継投を主体とするチーム。それでも序盤は柴田に踏ん張ってほしいところだったが、3回裏に光星打線を止められなくなる。先頭の8番太山に変化球をライトスタンドへ運ばれると、四死球でランナーをためて1,2戦とヒットのなかった4番原に同点タイムリー、5番大江には勝ち越しタイムリーを許し、この回でマウンドを降りる。
シュートするボールが持ち味の柴田だったが、この回はいずれも左打者にタイムリーを許した。投球フォーム自体はオーソドックスであり、左打者にとってはやや見やすいフォームだったかもしれない。
海星は4回から右スリークオータの柴田をマウンドに送る。躍動感のあるフォームで投げる速球派だが、立ち上がりにやや制球が不安定なところを狙われる。7番伊藤、8番太山にともに取りに来たストレートを狙われて連続2塁打を浴びると、さらに1番武岡の内野安打などで1,3塁となって2番島袋に犠飛を浴びて3点差をつけられる。
ただ先発の柴田と違って、同じシュート回転でも抜けてしまうボールが目立つ江越にとっては左打者主体の打線の方がくみしやすかったか。5回以降も危なっかしい投球が続くも、腕を振ってストレートとスライダーを投げ込めるようになっていき、強打の光星打線に立ち向かっていく。
すると、初戦の聖光学院戦と同様に、グランド整備で仕切り直しの6回を狙って海星打線が再び反撃を見せる。2番手の渡辺から6番太田の四球と7番村上のヒットでチャンスメークすると、光星はここでリリーフエースの山田をマウンドに送る。しかし、2アウト後に暴投で1点を返されると、さらに2,3塁となって攻撃型2番の大串がストレートをライトへはじき返し、一気に同点に追いつく。打力では上の相手に対して、集中打を活かして互角の展開に持ち込んだ攻撃は見事だった。
この後は江越と山田の両リリーフ投手が踏ん張り、試合は緊迫した展開で終盤に進む。8回裏にはランナーを2塁において江越がセンター前ヒットを浴びるも、センター松尾の好返球で勝ち越しの生還を阻止。押し気味の光星を海星が必死で受け止める展開で試合は9回に進む。
9回表のピンチを山田がしのいで迎えた9回裏、光星は1アウトから3番の近藤がヒットで出塁。海星にとってはサヨナラの場面で荒れ球の江越の投球はやや怖さを含む。4番原も四球で出すと、5番大江には初球のインコースを狙われてライトへヒットを許す。ストライクを取りに来るボールを完ぺきに狙われてしまう。
自信のあるストレートでストライクを狙う江越に対して、迎える打者は開幕戦で満塁弾の下山。センターへの意識を失わずに打ち返した打球はセンターの前にポトリと落ちて3塁ランナーが生還。八戸学院光星が熱戦をサヨナラで制し、ベスト8へと名乗りを挙げた。
まとめ
八戸学院光星はこの試合も打撃戦を制しての勝利。同校らしい打力を前面に押し出した内容で、勝利をつかみ取った。この試合も2桁の14安打をマークし、特に相手の右投手に対して左打者陣の打棒が光った。投げては6点は失ったものの、この試合もリリーフの山田が踏ん張って勝ち越し点は許さなかった。すっかり強豪の風格が板についた「光星」が5年ぶりの8強進出を成し遂げた。
対する海星も1回と6回に見せた集中攻撃が見事。気持ちの切り替えとペースを握るのが実にうまいチームであった。投げては2番手の江越がロングリリーフで粘投。よく投げていたが、最後の方は左打者に対してインコースを厳しく突き切れなくなったのが痛かったか。それでも強豪相手に互角の展開に持ち込んだ試合内容は称賛に値するものであった。
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