2021年選手権準決勝 智辯和歌山vs近江(14日目第1試合)

2021年

大会14日目第1試合

智辯和歌山

1 2 3 4 5 6 7 8 9
2 0 0 0 0 2 0 1 0 5
0 0 1 0 0 0 0 0 0 1

近江

 

智辯和歌山  中西

近江     山田→副島→外義

2018年以来3年ぶりの対戦となった近畿常連校同士のカードは智辯和歌山打線が近江のエース山田を攻略。エース中西も安定感抜群の投球で近江打線を寄せ付けず、快勝で2002年以来19年ぶり4度目の決勝進出を決めた。

試合

近江は5試合連続で2年生エース山田が、智辯和歌山はエース中西が3回戦以来となる先発マウンドにそれぞれ上がった。前の試合でリリーフ右腕・岩佐に故障が疑われた近江としては球数制限もある中で山田にできるだけ多くのイニングを消費してもらいたい状況だった。

しかし、そんな思惑を吹き飛ばすかのように初回から智辯和歌山打線が襲い掛かる。1番宮坂が高めに浮いたフォークを引っ張って右中間への2塁打とすると、1アウト後に3番角井はインサイドのストレートをライト線にはじき返す。さらに4番徳丸のライトフライで角井がタッチアップで3塁に進塁すると、5番岡西は2-0から高めに浮いたフォークを逃さず、センターにはじき返し2点目を奪う。

これまで多くの強打線と対してきた山田だが、連戦で制球が効かないなかで智辯和歌山打線を相手にするのはいかにも苦しかった。逆に智辯和歌山としては好球を逃さずとらえる積極性が光った。

対して、ここまで1試合のみの登板で余力十分の智辯和歌山・中西は球威のある140キロ台中盤の速球にスライダー、カーブをコントロールよく交えて近江打線を寄せ付けない。特に今日はスライダーの制球が素晴らしく、2年生捕手・渡部にとっても要求しやすいボールになっただろう。

だが、2回戦で大阪桐蔭を相手に4点差をひっくり返した近江も簡単にはあきらめない。3回裏、1年生の8番横田がストレートを引っ張ってレフト線への2塁打とすると、レフトがボールの処理に手間取る間に一気に3塁を陥れる。近江らしい走塁で得たビッグチャンス。中西に2アウトは奪われるが、3番山田はスライダーが珍しく高めに入ったのを逃さずレフトへタイムリーし、1点差に迫る。

2回以降、近江・山田はボールがやや高めに入ってしまうところを智辯和歌山打線に痛打されるが、打球が野手の正面に飛んだり、味方野手の好守にも助けられる。5回には満塁のピンチを無失点で切り抜け、なんとか初回の2点のみで踏ん張る。

ここから反撃ムードに乗りたい近江なのだが、いかんせん相手エース中西の投球が素晴らしい。5回には2番西山のバントが渡部の好フィ―ルディングで併殺打に取られるという、近江らしからぬミスも出てしまい、序盤戦は2-1で折り返す。

近江としては山田の球数も考えると早めに逆転したい展開。しかし、先に抜け出す得点を挙げたのは智辯和歌山だった。6回表、智辯和歌山は8番中西、1番宮坂がともに追い込まれながらもスライダーを軽打して連打を放つ。力投型の投手にはダメージの残る打撃でチャンスを拡大すると、ここで2番大仲は高めに浮いたストレートを逃さず、レフト線にはじき返し、2者生還。両者にとってあまりに重い2点がスコアボードに刻まれた。

近江は7回途中から継投に入り、副島外義の両左腕が8回に1点は取られながらも智辯和歌山打線を相手に踏ん張りを見せた。これまで快進撃を支えてきたWエースが登板できない中、投手陣全員で相手のスコアを最少失点で埋めきったのは見事だった。

反撃したい近江打線だが、終盤にかけてエンジンのかかってきた中西からランナーも出せなくなる。大技あり、小技あり、機動力ありの近江打線をもってしても、この日の中西の投球はまさに難攻不落であった。結局、中西が4試合で27得点をたたき出した近江打線を4安打1失点に抑えて完投勝ち。智辯和歌山は3年前の雪辱を果たす形で4度目の夏ファイナル進出を決めた。

まとめ

智辯和歌山にとっては初回に近江のエース山田を攻略して流れをつかませなかったことがまず大きかっただろう。この日4安打を放った1番宮坂を筆頭に巧打も長打も打てる左打者陣が相手の2年生エースを完全に飲み込んで見せた。4番徳丸がこの日無安打に終わったが、それでもこれだけの破壊力を秘める打線。決勝に向けていよいよエンジン全開の気配だ。

また、エース中西もコンディション十分の中、ボールの強さで近江打線をねじ伏せた。多彩な投手陣を誇る智辯和歌山だが、中谷監督も交代を考える必要もないのほどの出来だっただろう。投打に盤石の内容を見せたかつての常勝軍団が、その栄光の歴史を再び取り戻すべく決勝の舞台へと挑む。

一方、敗れた近江としてはやはり疲労度の違いは否めなかっただろう。コロナによる不戦勝の影響もあって2試合分の差が出た準決勝はおそらく大会の歴史上でも初であり、特に投手陣の疲労はかなりたまっていたに違いない。強豪ばかりを相手に接戦が続いたことで準々決勝までにWエース以外の投手を試すゆとりもなかっただろう。

ただ、山田岩佐のリレーや多種多様な攻撃のできる打線、内外野の堅守はすべてにおいて全国トップレベルだったのは間違いない。エース山田を中心に複数のメンバーが残る新チームにも期待が持てるし、名将・多賀監督のもとで着実に力をつけている近江が、全国の頂を踏む日はもうすぐそこまで迫っているかもしれない。

2021年選手権準決勝予想 智辯和歌山vs近江 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

8月28日 【近江 vs. 智弁和歌山】 ハイライトvsホームラン | 第103回高校野球選手権 – YouTube

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