大会3日目第1試合
海星
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 4 | 3 | 0 | 1 | 11 |
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
日本文理
海星 宮原
日本文理 田中→高橋→村越
20年ぶりとなった両チームの対戦は、序盤から海星打線が日本文理の注目右腕・田中を攻略。エース宮原も安定感抜群の投球で日本文理打線をシャットアウトし、危なげなく2回戦進出を決めた。
試合
日本文理は今大会注目の速球派右腕・田中が先発。昨夏、敦賀気比打線につかまった苦い経験を張らせるか。一方、海星も宮原・向井の両右腕を中心にすべての試合を2失点以下に抑える安定感が光る。両チームとも、打線にも力があるだけに、相手投手をどう攻略するか注目された。
しかし、予想に反して初回から得点が入る。捕まったのは田中のほうであった。1回表、海星は1,2番が打ち取られて2アウトとなるも、3番丸本、4番森が連打で出塁。田中は140キロ台後半のストレートとスライダーで押していくも、海星の各打者はしっかりファウルで粘って球数も投げさせる。
2アウト1,2塁のチャンスから5番西村はアウトコースの速球を逆らわずにはじき返すと、この打球が右寄りに守っていたライトの横を抜け、1塁ランナーまで長駆生還。いきなりの先制パンチを好投手・田中に浴びせる。
海星の先発は右の2枚看板の一角の宮原。先制点をもらったためか、落ち着いて試合に入り、立ち上がりを3者凡退に抑える。2回裏に1アウトから短長打を浴びて2,3塁のピンチを招くが、低めに丁寧に変化球を集めてピンチを脱していく。田中のような迫力はないが、ピンチの場面で失投を見せない「負けない」ピッチングを展開する。
試合の流れをつかんだ海星は3回表にも1番河内が3塁線を破る2塁打で出塁。暴投で3塁に進むと、内野ゴロの間にそつなく1点を追加する。田中の力のあるストレートに対し、各打者が全く振り負ける様子がない。近年の高校野球の打撃のレベルアップの影響もあるかもしれないが、140キロ台後半の速球がこうもつぎつぎ打ち返されるのは隔世の感がある。ただ、それだけ海星の打者が鍛えられているということなのだろう。
反撃したい日本文理は4回裏、失策と昨夏に甲子園でホームランを放った5番玉木の2塁打で、再び1アウト2,3塁のチャンスを迎える。しかし、ここも後続が続けて内野ゴロに打ち取られ、得点を挙げられない。5回裏にも満塁とピンチを招くが、ことごとくピンチでボールがコーナーに収まって決定打を許さなかった。
宮原は序盤からスライダーが右打者のインサイドに抜けがちであったが、結果的にそのボールが日本文理の各打者の踏み込みを弱くしたように見えた。このあたりは、捕手のリードのうまさもあっただろう。
それでも、5回までは3点差とまだどうなるかわからない展開だったが、6回表に入って指の皮が剥けた田中が本来のピッチングができなくなる。この回、先頭の2番田川が死球で出塁すると、犠打と外野フライで三進。ここで初回にタイムリーを放った5番西村がスライダーをしっかり振り切ってサード強襲のタイムリー内野安打。大きな追加点を得ると、この回、7番牧、代打・高木の連続タイムリーが飛び出して、7-0と大きくリードを広げる。
大量リードをもらった宮原はしり上がりに調子を上げ、終盤もランナーこそ出すものの、崩れそうな予兆は見せない。7回にも3点、9回にも1点と大量リードをもらい、余裕を持ったピッチングで、終わってみれば8安打を浴びながら日本文理打線をシャットアウト。相手打線に10残塁を築かせる、粘りのピッチングで今大会初完封を記録し、3年前に続いて初戦突破を果たした。
まとめ
海星は投打に会心の内容で初戦を突破。特に田中を攻略した打線は、素晴らしい内容であった。140キロ台後半の速球にも力負けしないシャープなスイング、インサイドに詰まらされない軸回転の打撃、アウトコースのスライダーに体の開かない姿勢と、本格派右腕を攻略するお手本のような内容であった。また、宮原ももう一人の右腕・向井に出番を与えることなく、完封勝利。ピンチになってからの落ち着いたマウンドさばきはエースの貫禄が出ていた。
就任直後の2002年に出場した後は、なかなか甲子園に出てこれなかった加藤監督だったが、2011年に久々に出場を果たしてからはコンスタントに顔を出すようになった。全国レベルを想定した中で鍛え上げたハイレベルな打線と、ピッチャーを中心とした粘り強いディフェンスを持つ海星。苦しい時期を乗り越えてきた県屈指の伝統校が侮れない存在になってきている。
一方、日本文理のエース田中にとっては2年連続で全国の高い壁にはじき返される結果となってしまった。ボール自体は昨年よりスピード、球威ともに増していたように感じたが、相手打線のシャープなスイングが上回った結果だったのだろう。絶対的エースがとらえられたショックが打線にも影響し、チャンスを得ながらも得点はあげられなかった。
ただ、初出場時も優勝した智辯和歌山に6-19と大敗したとこからスタートし、準優勝・ベスト4と結果を残してきた実績がある。再び、捲土重来を期す戦いになるが、今や新潟屈指の強豪となった日本文理に素晴らしい反発力があることは、高校野球ファンならみんな分かっていることだ。
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