2022年選抜2回戦予想 大坂桐蔭vs広島商

2022年

2022年選抜2回戦

大坂桐蔭vs広島商業

53% 47%

〇3-1  鳴門 〇22-7  丹生

春夏の優勝回数は大阪桐蔭が8回、広島商が7回とともに高校球界屈指の名門校の激突となる。しかし、チームの特徴、相性を考えると大阪桐蔭にやや分がありそうだ。

 

大坂桐蔭は初戦は右腕・川原が先発して1失点完投。2年生左腕・前田を使わずに済んだだけでなく、「右」の柱もできたことを考えると、かなり大きな1勝であった。内外野も堅守が光り、強肩の捕手・松尾の存在も機動力野球の広島商相手では大きいだろう。別所、川井ら豊富な投手陣を西谷監督がどう使い分けるのか、1回戦最終枠を引いた名将の手腕にも注目が集まる。

一方、広島商の攻撃陣は初戦は相手投手陣の四死球に機動力も絡めて大量22点を奪取。序盤に一度逆転を許したが、少々の失点には動じないメンタルの強さも感じさせた。特に2番八幡は3安打5打点3盗塁と大活躍を見せ、次戦もキーマンとなりそうだ。昔は愚直なまでにバントにこだわった広商野球だが、現在はスチール・エンドランなど新たな積極策も垣間見える。荒谷監督のもと、王者相手に「NEW広商野球」を見せられるか。

 

一方、広島商の投手陣は細かい継投策が売りだが、初戦で右腕・保川は序盤に制球を乱した点は不安材料。逆転してことなきを得たが、大阪桐蔭打線相手だと致命傷になりかねない。左腕・浴川の負傷も気がかりだ。相手の先手を取った継投で流れを渡さないことと、無駄な四死球を出さないことが勝利への至上命題となるだろう。

対する大阪桐蔭打線は、初戦は鳴門の左腕・冨田を前に苦戦を強いられたが、各打者はバットがしっかり振れており、甘く入ったボールは確実に長打にするなど、3得点ながらその恐ろしさは垣間見えた。注目の3番松尾にヒットが出なかったのはやや気がかりではあるが、下位まで穴のない打線を誇っており、ある程度の得点は見込めるだろう。

 

広島商としては堅守で大阪桐蔭相手に失点を最小限に済ませつつ、機動力を活かした攻撃で点の取り合いに持ち込みたい。大阪桐蔭としては今のところ、投攻守に大きな不安はないが、球数制限も考慮して次の先発に誰を持ってくるかがカギを握る。乱戦になると広島商にも勝機が見えてくる。

 

主なOB

大坂桐蔭…中村剛也(西武)、中田翔(日本ハム)、藤浪晋太郎(阪神)、森友哉(西武)

広島商…鶴岡一人(南海)、三村敏之(広島)、達川光男(広島)、岩本崇裕(広島)、柳田悠岐(ソフトバンク)

 

大坂  広島

春  4勝  4勝

夏  1勝  4勝

計  5勝  8勝

対戦成績は春は五分の星だが、夏は広島勢が好相性を誇っている。

2011年の選抜では初出場の総合技術と前年夏に続く出場の履正社が対戦。履正社はエース飯塚の故障で左腕・渡辺が先発マウンドに上がったが、スリークオーターからのキレのある速球とスライダーで総合技術打線を翻弄。広島から出てきた新興勢力にヒットわずか2本しか許さず、4-0と完封勝利を挙げた。履正社はこの大会4強まで勝ち進んでいる。

一方、1996年夏は選抜4強の高陽東と大阪大会で数々の逆転劇を演じてきたPL学園が対戦。PLのエース左腕・前川(近鉄)の乱れに乗じて、タイムリーなしで得点を積み重ねていった高陽東が、終盤のPL学園の猛追を振り切り、7-6で3回戦屈指の好カードを制した。高陽東は選抜準々決勝でも大阪学院大高(江夏豊の母校)に5-4と競り勝っており、対大阪勢への相性の良さを見せた。

思い出名勝負

2011年夏2回戦

如水館

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
0 0 1 0 0 0 3 0 0 3 7
0 1 0 0 1 0 2 0 0 0 4

東大阪大柏原

 

如水館     坂本→浜田

東大阪大柏原  福山→白根→花本元

 

2011年夏の甲子園2回戦は、甲子園を知り尽くした名将同士の対戦となった。

如水館は2年ぶり7回目の甲子園出場。広島商で全国制覇を達成した名将・迫田監督が就任し、平成に入ってからはすっかり常連校となっていたが、甲子園では強豪との対戦が続いたこともあり、なかなか勝ち上がれない大会が続いた。しかし、今年は左腕エース・浜田、主砲・金尾と投打の軸が盤石であり、1年生の主砲・島崎ら新戦力も出現して、チーム力に自信を持っていた。

エース浜田は左スリークオーターからのキレのある真っすぐが持ち味で、左打者のアウトコースいっぱいで簡単にストライクを奪うことができた。1年夏の高知戦で1アウトも取れずに降板した悔しさをばねに成長し、夏は堂々エースとして君臨。左腕・坂本(ヤクルト)、サイド右腕・宇田が交互に先発し、リリーフで浜田が締める必勝パターンで、甲子園でも関商工を相手に3-2と延長サヨナラ勝ちを収めて初戦を突破した。

一方、東大阪大柏原は上宮を全国制覇に導いた田中監督が就任。年々実力を増し、今年はスラッガー石川慎吾(巨人)を中心に大阪のダークホース校として注目されていた。選抜4強の履正社、2年生エース藤浪(阪神)を擁する大阪桐蔭が2強とされていたが、その2校が柏原と反対の山でつぶし合う幸運もあり、決勝で大阪桐蔭と激突することとなった。

投打に充実した戦力を持つ大阪桐蔭に2年生エース福山がつかまり、2-6とビハインドを背負ったが、2番手の左腕・白根が好投して試合の流れが変わる。終盤に左打者が藤浪から逆方向への長打を2本放つなど、パンチ力のあるところを見せると、終盤についに同点に追いつく。最後は9回裏に押し出し死球を勝ち取り、ゲームセット。ジャイアントキリングを果たしたチームは、甲子園でも至学館との初出場校対決を8-1で制し、初陣ながら台風の目になり始めていた。

 

如水館は左腕・坂本、柏原は2年生エースの福山が先発。福山は1回戦で13奪三振の快投を演じており、この日も好投が期待された。

坂本でできるだけイニング数を食いたい如水館・迫田監督だったが、その狙いを察知してか、柏原の攻撃が早い。2回裏、5番西田が3塁打で出塁すると、四球を挟んで、エース福山を助けたい7番捕手の松浪がチア無理―2塁打を放って1点を先制する。このままではゲームが決まってしまうと感じた迫田監督は早くも2回からエース浜田をマウンドに送る。

想定外の早い継投になった如水館だったが、こういう展開も想定していたか、3回表に打線が反撃に転じる。先頭の1番門田が死球で出塁すると、犠打で送って1アウト2塁から3番金尾がすかさずタイムリー2塁打を放って同点に追いつく。浜田と同じく1年生から甲子園の舞台を経験していた頼れる主砲が試合を振り出しに戻す。

1回戦と比較するとやや制球の甘い福山を援護したい柏原打線は5回裏、ヒットで出塁した9番中河を犠打で二進させると、3番花本太がタイムリー2塁打を放って1点を勝ち越す。さらに中軸へと回るチャンスだったが、ここは浜田が冷静な投球でしのいで最少失点に切り抜ける。

ともに総合力が高く、引き出しも多い両チームの試合。このまま終わるわけはない雰囲気は漂っていた。

このじりじりした展開で先に我慢できず崩れたのは福山であった。7回表、2アウトランナーなしから四球の金尾を1塁において、4番島崎は芸術的な流し打ちでレフト線へ2塁打を放つ。この柔らかい打撃が迫田監督が1年生ながら4番に起用した所以だろう。さらに四球で満塁とチャンスが広がると、続く6番木村のセカンドゴロがなんとトンネルになって2者が生還。さらに7番安原にもタイムリーが飛び出し、この回一気に3点が如水館に入る。

逆転した如水館。このままエース浜田が投げて逃げ切るかと思われたが、今度はお付き合いするように、こちらもミスが飛び出す。代打・泉、3番花本太の連打で1,3塁のチャンスを作ると、4番石川のサードゴロが先ほどタイムリーを放ったサード島崎の悪送球を誘って1点差に。さらにこの悪送球されたボールをファースト金尾が持っている一瞬のスキを突いて、花本太が一気にホームを駆け抜け、柏原が取られた直後に同点に追いつく。

まるでエアポケットに入ったような瞬間であったが、これが野球の面白さであり、怖さなのか。互いにミスが飛び出した試合は、如水館・浜田、柏原の2番手・白根の両左腕の投げ合いで延長戦へ突入した。

しかし、イニングが進むにつれて両左腕の実力差が少しずつ出てしまったか。9回裏に2アウト満塁のサヨナラ負けのピンチを浜田が渾身の内角速球でしのぐと、長いイニングを投げて徐々にその球筋に慣れだした如水館打線が10回表についに白根をとらえる。

1番門田のヒットと犠打でチャンスを作ると、続く3番金尾のサードゴロがエラーを呼ぶ。痛いところでミスが飛び出すと、ここで4番島崎が白根のスライダーをセンターへ痛烈にはじき返して1点を勝ち越し。嶋崎はこれで1回戦と合わせて早くも6安打目、末恐ろしい1年生である。さらに5番宇田、6番木村とタイムリーで畳みかけ、この回一気に如水館が3点をリードした。

9イニング目のロングリリーフに突入した浜田だったが、最後までボールのキレは衰えず。最終回の柏原打線の反撃を無失点に抑え、如水館として初めてとなる3回戦進出を決めた。

 

如水館はその後、3回戦でも能代商と延長戦に死闘を演じることに。延長13回表に勝ち越しを許したが、その裏に自慢の機動力を活かしてチャンスを広げ、最後はサヨナラ勝ちを勝ち取った。史上初となる3試合連続延長戦勝利は、今でも如水館だけに輝く金字塔である。長い間、なかなか上位まで勝ち上がれなかった如水館だったが、この年は迫田監督らしい継投策と機動力がはまった好チームで結果を残した。

一方、東大阪大柏原もさすが大阪を制しただけあると感じさせる戦いを見せたが、最後は一歩及ばなかった。ただ、田中監督のもとで鍛え上げられた泥臭く、相手のスキを突く野球は、その後も大阪府内で存在感を放っており、履正社・大阪桐蔭以外の第三勢力の存在が、今でも大阪勢のレベルの高さに貢献していると言えるだろう。

【好投手列伝】広島県篇記憶に残る平成の名投手 3/3 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

2011年夏 甲子園 如水館vs東大阪大柏原 10回表勝ち越し – YouTube

コメント

タイトルとURLをコピーしました