2023年選抜1回戦 東邦vs鳥取城北(2日目第1試合)

2023年

大会2日目第1試合

東邦

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 1 0 3 0 0 1 1 0 6
0 0 0 0 0 3 0 0 0 3

鳥取城北

 

東邦     宮國→山北→岡本

鳥取城北   新庄→村山→吉田

常連校同士の1回戦最後のカードは、東邦打線がうまい攻めで鳥取城北・新庄を攻略。優勝した2019年以来となる初戦突破を果たした。

試合

東邦は宮國、鳥取城北は新庄とともに両エースがマウンドに上がった。東邦は今年は例年以上に機動力があり、足を絡めた攻撃が見られるか。一方、鳥取城北はパンチ力のある中軸に期待が集まる。

ともに初回は両チームともランナーを出しながらもエースが要所を締める。鳥取城北・新庄は角度のある速球を投じる右腕。鳥取城北の投手に多い投げおろしフォームで投げ込み、ランナー2塁のピンチで4番石川を抑え込む。一方、東邦・宮國が最速149キロを誇る本格派。しかし、この日はスピードは130キロ台だが、コーナーをきっちり突く慎重な投球でこちらも初回にヒットは浴びたものの、無失点で切り抜ける。

先制点を奪ったのは東邦。2回表、5番岡本が高めの速球をうまく上からかぶせてライトへの2塁打とすると、犠打失敗などで2アウトとなるが、8番藤江の当たりがランナーと重なってショートが処理しきれず。打球がレフトへ抜けていき、岡本がホームへ生還して東邦が先手を取る。

先制点を許した新庄だが、速球主体の投球で3回は立ち直りを見せる。スライダーも徐々にコーナーに決まるようになり、好打者の並ぶ東邦の上位打線に対して安定した投球を見せる。対する東邦・宮國もこの日は丁寧な投球が目立ち、ストレートはコーナーへ、変化球は低めに制球され、ランナーを背負っても落ち着いて後続を抑え込む。

追加点の欲しい東邦。4回表、立ち直りかけた新庄に対し、4番石川がアウトコースボール気味のスライダーを長いリーチでセンターへ運ぶ。すると、5番岡本の犠打がラインぎりぎりで止まる当たりとなり、オールセーフに。さらに6番上田の犠打も3塁線への絶妙な当たりの内野安打となって満塁とチャンスが広がる。ここで7番南出が間髪入れずに初球をライトへ運ぶと、ライトのファンブルを見て2塁ランナーも好判断で生還する。

例年、強打が持ち味のことが多い東邦だが、今年はこういった犠打や走塁など細かい部分も鍛え上げられている。この回、9番宮國のスクイズも絡め、3点を勝ち越し。クリーンヒットは1本のみの攻撃で奪ったところに今年の東邦の凄みを感じさせた。リードを広げてもらった宮國は直後の4回裏にもランナーを背負うが、ここもコントロールよく8番新庄を打ち取り、取った直後の大事な守りを抑える。

反撃したい鳥取城北は5回裏に1番原田がヒットで出塁。こちらも1,2番は機動力があるが、初球から仕掛けたスチールは捕手・南出に刺され、チャンスを広げられない。スキのない攻守で序盤は東邦の4点リードで折り返す。

鳥取城北の反撃がようやく実ったのが6回裏。この回、やや制球の乱れる宮國に対し、東邦は四球に6番三輪、7番山戸の連打を絡めて満塁のチャンスを迎える。鳥取城北打線がコンパクトなスイングで対応し始めると、ここから宮國の制球がさらに乱れる。8番新庄、9番前田がじっくり選球し、連続押し出しで2点差に。さらに、当たっている1番原田はサード強襲の当たりで1塁セーフとなり、ついに1点差に迫る。

1点差に迫られた東邦は、7回表、宮國に代打・伊藤を送ると、高めの変化球をきっちりとらえてヒットで出塁。さらに代走に俊足の三家を送ると、犠打で二進。豊富な選手層を武器に流れるような攻撃でチャンスを作る。内野ゴロで3塁に進むと、3番眞邊がフォークをうまくミートしてショート横を破るタイムリー。大きな追加点を挙げる。

東邦は7回から2番手で山北が登板。お父さんも中日ドラゴンズで長身投手としたサラブレッドだ。長身から繰り出す勢いのある速球と縦に割れるスライダーを武器に力投。2アウトから四球や失策などで満塁のピンチを招くが、8番新庄を力のある速球でサードゴロに打ち取り、無失点投球で流れを引き戻す。

攻撃の手を緩めない東邦は、8回表にも6番上田の内野安打と8番藤江のセーフティバントでしぶとくチャンスを作る。ここで9番の代打・中島の打席の時に、痛恨のけん制悪送球が飛び出す。ボールがファウルゾーンを転がる間に、セカンドランナーが一気にホームを突き、鳥取城北にとってはあまりにも痛い形で、点差は3点に広がる。

東邦は8回裏から3番手で岡本が登板。こちらもアウトコースへの速球とスライダー主体の投球だが、コントロールが非常に安定しており、相手打者を淡々と打ち取っていく。昨秋からリリーフ登板が豊富なだけあって、落ち着いた投球ができており、東邦にとっては非常にありがたい投手と言えるだろう。

鳥取城北も9回に3番手の吉田がピンチで3番眞邊、4番石川を打ち取り、最後の攻撃に望みをつなぐ。しかし、最終回になっても岡本のコントロールは乱れなし。鳥取城北打線の反撃を3人で退けm試合終了。史上最多の6度目となる選抜制覇に向け、好発進を見せた。

まとめ

東邦は投攻守走、すべてにおいて完成度の高い野球を披露。特に3点を挙げた4回のバント攻撃は素晴らしく、抜け目ない走塁も絡めて一気に得点を奪った。長距離砲はいないものの、シャープなスイングで連ねたヒットは12本。上位から下位まで穴のないラインナップに、機動力も絡められるのだから、相手投手にとっては非常に骨の折れる打線と言える。

また、投げてはエース宮國が6回に3点を失ったものの、コントロールよくストレート・スプリットを投げ分け、試合を作った。もっと粗削りな投手かと思っていたが、高いレベルでまとまったピッチングであり、今後も安定した投球が期待できる。山北岡本と2人の右腕もそれぞれ持ち味を出し、投手陣全体で不安はないと言える。春に強い愛知の名門校は、今年も優勝争いの有力校と言えそうだ。

一方、鳥取城北としては東邦の細かい攻撃に守備陣の不運やミスが重なってしまったのが悔やまれた。新庄は立ち直りかけそうなイニングもあったが、そのたびに東邦のそつのない攻撃で失点をつけられた印象だった。また、打線も東邦投手陣をよく攻めたが、チャンスでことごとく8番新庄に回る展開になったのも、また運がなかったか。投打にポテンシャルの高さを見せたが、今年は惜しくも初戦で姿を消すこととなった。

2023年選抜1回戦予想 東邦vs鳥取城北 | 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

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