大会1日目第1試合
八戸学院光星
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 計 |
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 3 | 5 |
0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 3 |
関東一
八戸学院光星 洗平→岡本
関東一 畠中→坂井
昨夏に続いていきなりタイブレークとなった開幕試合は、終盤に激しく1点を奪いあう好ゲームに。八戸学院光星が相手のミスにも付け込んでそつなく得点を奪い、これで開幕ゲーム3連勝(2015年選抜、2019年夏に続いて)として、2回戦進出を決めた。
試合
栄えある開幕のマウンドを任されたのは、八戸学院光星が洗平、関東一が畠中と両チームともに左腕投手である。
関東一の畠中は、柔よく剛を制すタイプの技巧派左腕。しかし、昨秋の防御率は0点台と非常に安定感があり、緩いボールをうまく使ってまずは1番の砂子田をファーストゴロに打ち取る。真っすぐを狙う各打者の裏をかくように緩いチェンジアップを投じ、光星打線の目先をかわす。2番渡部・3番竹田と連続三振に切って取り、上々の滑り出しを見せる。
これに対し、1年生の時から聖地のマウンドを踏んでいる洗平はしなやかなフォームから繰り出すキレのあるボールが持ち味。下級生のころと比較すると、がっしりした体格となり、迫力が増した感がある。1回表、先頭のキーマンである1番飛田をアウトコースの真っすぐで空振り三振に。続く2番坂本をエラーで出塁させるが、3番越後を注文通りの併殺に打ち取り、こちらは力で関東一打線をねじ伏せる。
序盤は両チームとも0行進となるが、仕掛けていったのは関東一だった。2回、3回と2アウトからランナーを出すと、果敢に二盗を決める。左腕投手相手にも関わらず、しっかり間を盗み、次の塁を奪うあたりは、やはり米沢監督のもと、相当鍛えられている。先発・畠中も緩急をうまく活用して投げていき、光星打線はどうしてもストレートにやや差し込まれ気味となる。2回表にはセカンド小島のスーパーキャッチが飛び出すなど、地盤はやや関東一が押し気味のなか、試合は5回に入る。
すると、5回裏、関東一が大事な先制点をまたも盗塁を起点にして奪う。2アウトランナーなしから1番飛田がストレートの四球で出塁。光星としては一番出したくないランナーを一番出したくない形で出してしまう。この機を逃さない飛田はすかさず二盗を敢行。これが捕手の悪送球を刺しって3塁へ進むと、2番坂本がうまい流し打ちで狭い三遊間を破り、欲しかった先取点を手にする。この後、2四球を与えてさらに満塁となるが、ここは洗平が後続を抑え、なんとか1点差で踏みとどまる。
追う展開となった光星。しかし、打撃のチームと過去に謳われたチームの意地にかけて反撃にでる。
6回裏に初めて関東一の盗塁を阻止して波に乗ると、7回表、1アウトから死球の山本を犠打で2塁に送る。仲井監督も1点勝負と感じ、ここは手堅い作戦でランナーを進めた。これに後続が応え、6番住本の見事な右打ちでチャンスを拡大。さらに四球でつないで満塁となると、ここで代打・小笠原がアウトコースのチェンジアップをとらえ、逆方向へのタイムリーでついに同点に追いつく。苦しんでいた相手の決め球をとらえたタイムリー。2塁ランナーは好返球で刺されたが、相手に継投される前に同点にして見せた。
実力伯仲の好ゲーム。流れはほぼ五分と五分である。8回表に、関東一はエース坂井をマウンドにあげ、無失点。レフト坂本の好プレーもあって流れを引き寄せにかかる。
すると、8回裏、球数の増えてきた光星・洗平に対して、関東一打線が8回裏に足で猛攻を仕掛ける。先頭の3番越後が変化球をうまく拾い上げると、打球は浜風に乗ってレフトの頭を超す2塁打に。続く4番高橋はアウトコースのボールを引っかけるが、これが三遊間への微妙な当たりに。ショートがはじいて打球が転がるやいなや、2塁ランナー・越後も3塁コーチャーもサインは「GO」。一目散にホームに飛込み、勝ち越し点を奪う。さらに6番成井のヒットなどでチャンスは続く、得点こそ挙げられなかったが、光星に圧力をかける攻撃であった。
これだけの圧を受けると、守備の時間も長くなり、攻撃への影響も出そうなもの。しかし、百戦錬磨の「KOSEI」はひるまない。
9回表、先頭の4番山本が高めの変化球を逃さず、三遊間を破るヒット。さらに5番佐藤の犠打が坂井の野選を誘い、送球がバウンドする形になってオールセーフとなる。ボールが引っかかったのか、坂井としては非常にもったいないプレーであった。続く6番住本の犠打で1アウト2.3塁となると、7番三上が高めのボールをきっちり打ち上げてライトへの犠飛に。山本が喜び勇んでホームを駆け抜け、土壇場で同点に追いつく。攻める側にもプレッシャーのかかる最終回だが、光星の各打者はきっちり自分の役割を果たす、
両チームともにエラーこそあるものの、守備陣も機敏な動きで投手陣をバックアップ。9回裏にはここまで走りに走っていた1番飛田を光星がけん制で刺すなど、ハイレベルな攻防となる。開幕戦から素晴らしい試合となり、試合は延長戦・タイブレークに突入する。
10回表裏はともに、ランナーを進塁させてチャンスを迎えるが、後続が打ち取られて得点ならず。中でも10回からマウンドに上がった岡本琉はいきなりサヨナラのピンチを招くが、1アウト満塁から5番熊谷、6番成井というしぶとい打者を抑え、得点を与えない。やはり昨夏に大舞台を経験したのは大きいか。自慢の速球を目いっぱい腕を振って投げ込んでみせた。
どちらに転んでもおかしくない雰囲気の開幕試合。決着がついたのは11回だった。光星は3番竹田が犠打でランナーを進めると、4番萩原がしぶとく1,2塁間を割って勝ち越し。フォークがやや高く入るのを逃さなかった。さらに5番佐藤の痛烈なサードライナーを高橋がはじいてしまい、焦りが出たのか、セカンドへの送球がそれてしまう。この間に3塁ランナーがホームを踏むと、2アウト後に坂井の暴投も飛び出し、決定的な3点目が入った。
その裏、3点を追う関東一には攻撃の選択肢が狭められる。1アウト後に岡本琉の暴投で1点を返したが、好左腕相手には追いかける点差が大きすぎた。後続を岡本琉がきっちり抑え、ゲームセット。八戸学院光星が選抜では9年ぶりとなる開幕戦をものにし、ベスト16への切符を手にした。
まとめ
八戸学院光星は、関東一に先行を許し、常にゲームのイニシアティブを握られているような状況だったが、そんな中でも勝ってしまうのが、ある意味では強さの証なのかもしれない。洗平・岡本琉という好左腕を中心に守ってしのぎ、打線は少ないチャンスを確実に活かす。3季連続準優勝を果たしたころのような派手さはないが、地に足の着いた強さがこのチームにはある。北国で培った、確かな実力を見せつけ、まずは2回戦へとコマを進めた。
対する関東一も敗れはしたものの、序盤から好守と機動力で素晴らしい野球を展開した。特に2アウトから3盗塁を決めた機動力は光星バッテリーに圧力をかけるには十分なものであり、終盤の展開も一歩間違えば、立場が逆になってもおかしくなかっただろう。最後はしのぎ合いで、先に土俵を割る形になったが、久々の選抜の舞台で好ゲームを演じた。この戦いを続けていれば、夏の甲子園に帰ってくる可能性も高くなるはずだ。
【八戸学院光星vs関東第一】開幕カードでいきなりのタイブレーク!延長11回4番・萩原が値千金の決勝タイムリー!【選抜高校野球】2024.3.18 (youtube.com)
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