右投手 畔柳享丞(中京大中京)
大会前から注目度の高かった名門校のエースが期待にたがわない好投を見せた。力感あふれるフォームから繰り出される「重厚感」のあるストレートの前に相手校の打者は完全に力負け。専大松戸、常総学院、東海大菅生と関東勢をなで斬りにし、4強に勝ち上がった。準決勝は疲れの影響か先発を回避したが、存在感は抜群だった。
また、変化球で相手の狙いをかわすクレバーさも併せ持っており、試合の流れを読んで投球のできる投手である。1つ上の先輩・高橋(中日)につぐドラフト上位候補は確実と言えそうだ。
【センバツ】中京大中京 畔柳亨丞 投手 専大松戸戦 ピッチング – YouTube
左投手 石田隼都(東海大相模)
「球威」が畔柳ならば「キレ」は優勝投手の石田だっただろう。ついに大会無失点で最後まで投げ抜いたエース左腕は、初速と終速の差が少ないストレートで空振りを奪い、相手打者を寄せ付けなかった。特に準々決勝・準決勝の2試合連続完封は圧巻。高めのストレートを有効に使い、福岡大大濠・天理の西の優勝候補をねじ伏せた。29回2/3で奪った45個という三振数がその威力を物語っていた。
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捕手 加藤優翔(中京大中京)
4番捕手としてエース畔柳を支えた功績は大きい。1回戦は味方打線が沈黙する中で、冷静なリードでエースを導けば、2回戦・準々決勝は序盤に得たリードを有効に活かして余裕のある投球を引き出した。4番としても派手さはないものの、チャンスを確実に活かすミート中心の打撃で得点をもたらした。前年のチームほどの個々のポテンシャルはなくとも、名門・中京の強さを見せつけた戦いぶりだった。
一塁手 竹下聖人(明豊)
今大会快進撃を見せた明豊を象徴するラッキーボーイ。2回戦では市立和歌山の好投手・小園の変化球が甘く入るところを逃さず、決勝打を放った。難攻不落と思われた剛腕の失投を逃さすとらえた一打はチームに勢いを与えるには十分なものだった。2年生ながら大会終盤は、強力打線の中核を担い、エンドランなど細かい攻撃にも対応。これからの活躍が楽しみな選手だ。
20210326 ⑦-3 春の選抜高校野球 甲子園 2回戦 市和歌山 vs 明豊 ダイジェスト – YouTube
二塁手 黒木日向(明豊)
左打席からのシュアな打撃で5割の打率を誇った明豊打線の「核」。毎試合安定した打撃でヒットを量産し、チームメートに「黒木に回せば何とかなる」と目標を与えたことだろう。特に、地力では上回ると思われた準々決勝の智辯学園戦では相手左腕の西村のキレのあるストレートをとらえて5回まで3安打3打点を記録し、チームに大きな勢いをもたらした。広角に打ち分けるスキのない打撃は夏も明豊を上位まで押し上げそうだ。
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三塁手 小池祐吏(東海大菅生)
横浜高校で春夏連覇を達成した小池正晃(横浜)を父に持つサラブレッド。競争の激しい東海大菅生で2年生ながらレギュラーをつかんだ期待の星は、勝負強い打撃で5番を務めあげた。3試合連続のヒットで打率4割をマークし、広角に打ち分ける柔らかさも併せ持っていた。準々決勝では中京大中京の畔柳に2安打完封負けしたが、チーム2本目のヒットを記録。大会屈指の剛腕から放った一打は今後の自信になるはずだ。
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遊撃手 岡島光星(智辯学園)
近畿王者のトップバッターとしてチームを牽引。初戦は大阪桐蔭との優勝候補対決となったが、150キロ左腕の松浦から華麗な流し打ちでレフト前ヒットを放ち、初回の大量点の原動力となった。準々決勝では劣勢の展開の中でこれまたセンターから逆方向への打撃でも3安打をマーク。出塁率も5割を超え、強打・智辯の火付け役として十分役割を果たしたと言えるだろう。
松浦くんからいきなりヒットの岡島光星くん 【93回選抜甲子園 智辯学園 対 大阪桐蔭2021年3月23日】 – YouTube
左翼手 瀬千晧(天理)
1年生の秋に近畿大会決勝から神宮大会にかけて3試合連続ホームランと、鮮烈なデビューを果たした男が、最終学年は頼れる4番として戻ってきた。2年秋は厳しいマークの影響で苦しんだが、この大会はストライクを取りに来るボールを逃さない積極性が戻った。2回戦の健大高崎戦では終盤に貴重な追加点をたたき出し、過去2度選抜で敗れていた相手に見事リベンジを果たした。
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中堅手 松尾光気(福岡大大濠)
守りのチームである福岡大大濠に現れた「打」のラッキーボーイだ。初戦は前年秋の九州大会決勝の再戦に。福岡大大濠・毛利、大崎・坂本の2人の好投手の投げ合いとなった試合は、2回に松尾がランナー2,3塁で坂本の失投を逃さず、センターへ決勝の2点打を放った。以後は得点がなかっただけに非常に大きな一打であった。
続く2回戦も九州大会の再戦となったが、この試合は具志川商の打撃にエース毛利が苦戦。苦しい試合展開となったが、この試合も延長で8番松尾が決勝ホームランを放って試合を決めた。2017年の選抜でも8番樺島が初戦で2ホームランを放っており、「大濠の8番」は侮れない存在と言えそうだ。
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右翼手 八巻真也(仙台育英)
強力打線の仙台育英の中心として躍動した左のスラッガー。初戦こそノーヒットに終わったが、2回戦の神戸国際大付戦では4打数4安打と大暴れ。分厚い相手投手陣の継投策に対して、立ち直るスキを与えなかった。準々決勝は天理との甲子園通算4度目の対戦で敗れたが、この試合も剛腕・達からホームランを含む2安打をマークし、2回戦から9打席連続出塁も記録した。夏の甲子園でも大暴れしそうな、確実性と長打力を併せ持つ打者だった。
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