九州国際大付(福岡)
1 | 納富 | 10 | 吉岡 |
2 | 河野 | 11 | 宮崎 |
3 | 槙本 | 12 | 佐伯 |
4 | 和田 | 13 | 高城 |
5 | 国枝 | 14 | 植松 |
6 | 小林 | 15 | 植田 |
7 | 松尾 | 16 | 本多 |
8 | 榎本 | 17 | 三好 |
9 | 天野 | 18 | 福島 |
名将率いるタレント軍団
ダルビッシュ有(パドレス)など多くの好選手を育てた名将・若生監督が就任し、八幡大付時代以来の甲子園が見えるところまで復活してきていた九州国際大付。2009年度は、左腕エース納富と右腕・吉岡の投手陣、そして国枝・榎本(楽天)・河野の中軸を中心にどこからでも一発が飛び出す強力打線はともに全国屈指のレベルに達していた。
秋季九州大会ではあと一つ勝てば選抜が決まるところで、神村学園に5-6と惜敗。1-6からの追い上げは及ばなかったが、神村学園の山本監督をして「大学生か社会人と試合してるようだった」と言わしめた打力は破壊力抜群であった。悔しさをばねに冬場の練習を乗り越えたナインは、春季九州大会で清峰・興南と言った選抜出場校に勝利し、優勝。この年は今宮健太(ソフトバンク)擁する明豊もおり、九州に強豪がひしめいていたが、その中でも最強と目されていたのが、この九州国際大付だった。
夏の福岡大会ではエース納富の成長も光り、キレのある速球とチェンジアップで三振を量産。打線は下位の天野や和田からホームランが飛び出すなど、上位から下位まで切れ目のない打線で打ちまくり、圧勝につぐ圧勝で27年ぶりの甲子園出場を決めた。「個」の力を伸ばす若生監督らしい、豪快なチームに仕上がった。
1回戦
常総学院
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
2 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 |
0 | 0 | 2 | 5 | 0 | 0 | 1 | 0 | × | 8 |
九州国際大付
九国が登場したのは開幕戦。しかも、何の因果か、若生監督が東北時代に2003年夏の決勝で敗れた常総学院が相手だった。あの頃は「柔よく剛を制す」常総の野球にしてやられたが、今度は負けじとリベンジに燃えていた。
しかし、試合は初回からエース納富が開幕戦の緊張に常総学院のバント攻撃も重なって3回までに4失点。まさに常総らしい野球で主導権を奪われる。ところが、ここから九国打線が底力を発揮。1年生の三好(楽天)のタイムリーで追い上げると、4回裏には集中打で一挙5点の猛攻を見せ、逆転に成功する。常総・木内監督は必死の継投を見せたが、左腕・長谷川に対して、左打者の河野が見せた巧みな軽打に「あれをやられたらかなわん」と嘆かせた。
終盤はすっかり立ち直った納富が4回以降は常総打線に得点を許さず、九国が8-4で勝利。6年前のリベンジを果たす格好で、夏の甲子園初勝利を手にした。
2回戦
九州国際大付
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 3 |
0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
樟南
続く2回戦は樟南との九州対決。打力では九国に分があったが、樟南のエース空地のフォークボールがとにかく素晴らしい。九国も先発・吉岡から納富への継投で踏ん張り、試合は1-1のまま最終回へ突入。そして、9回表、疲れの見える空地のフォークが浮くのを2年生4番榎本が逃さず、打球はライトスタンドへ飛びこむ勝ち越しホームランに!さらに1点を追加した九国が3-1で樟南を下し、3回戦へコマを進めた。
3回戦
九州国際大付
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 3 |
0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1× | 4 |
帝京
第91回(2009年)全国高校野球選手権大会 3回戦 帝京 対 九州国際大付 1/5 – YouTube
帝京vs九州国際大付 2009年夏 | 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)
タイプの違う常連校2校を下し、波に乗るかと思われた3回戦。相手は東の横綱・帝京であった。チームのタイプとしては似た者同士。パワーvsパワー、個vs個のハイレベルな争いが予想された。優勝争いを占う一戦と言っても良かっただろう。
試合は1-1のまま終盤に突入。7回表、九国はまたも1年生の三好が相手エース平原からタイムリーを放つと、さらに1番主将の小林がホームランを放ち、2点を勝ち越す。これで九国ペースと思われたのだが、ここから九国ディフェンス陣が受け身に回ってしまう。暴投、捕逸、けん制悪送球と、記録に見えないミスも含めると5つあったのではないかというくらい守備が破綻。自らピンチを広げてはまたミスが出るの繰り返しで8回裏にあれよあれよと2点のリードを吐き出してしまった。
強打の帝京打線相手に決め球のチェンジアップを連投してきた納富も9回は限界を迎えていた。最後は1番金子にライトオーバーのサヨナラ打を打たれて試合終了。強豪同士の好カードに敗れ、九国復活の夏は3回戦で幕を閉じた。個の力では決して負けていなかったが、「一度流れが変わると止めることができない」という野球の怖さをまざまざと見せつけられた試合となった。
しかし、その後も若生監督のもとでチームは成長を続け、この年の戦いを1年生で経験した三好と高城(DeNA)がバッテリーを組んだ2011年、九国は選抜大会で準優勝を果たすこととなる。
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