2022年選手権1回戦 一関学院vs京都国際(1日目第3試合)

2022年

大会1日目第3試合

京都国際

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
1 0 0 0 0 0 0 2 2 0 0 5
3 0 1 0 0 1 0 0 0 0 6

一関学院

 

京都国際  森下→森田→松岡

一関学院  小野涼→寺尾

昨夏4強の京都国際と12年ぶりの甲子園となった一関学院のカードは予想に反して、一関学院が終始試合をリード。終盤に京都国際に追いつかれるも、延長11回裏に2番手右腕の寺尾のサヨナラヒットが飛び出し、一関学院が2002年以来20年ぶりの夏1勝をマークした。

試合

京都国際は注目の左腕・森下、一関学院は右アンダーハンドの小野涼が先発のマウンドに上がった。

京都国際は初回、1アウトから2番三浦がセンターへのヒットで出塁すると、3番主将の辻井がライト線へ落とすタイムリー2塁打を放って幸先よく1点を先制する。しかし、その後もチャンスは4番森下、5番金沢が凡退し、追加点を挙げられない。先制はしたものの、各打者のタイミングはあっていない印象を受けた。

1回裏、京都国際のマウンドには左腕・森下。プロ注目の左腕も、選抜出場辞退(コロナのため)に左ひじのケガとこの1年間は苦しんできた。やっと戻ってきた聖地のマウンドだったが、岩手大会で盛岡中央の好投手・斎藤を打ち崩してきた一関学院がいきなり痛打を浴びせる。

1アウトから2番千田が粘って7球目のストレートをレフトへ運ぶと、3番小杉も初球のストレートをライト前へ運んで1,2塁。本調子なら打者のバットを差し込む森下のボールのキレがこの日は鳴りを潜める。4番後藤が初球のストレートを運んで同点に追いつくと、2アウト後に6番小松はこれまた真ん中寄りのストレートを右中間にはじき返す。この打球がダイビングしたセンター三浦のグラブからこぼれ、2者が生還。一関学院が逆転に成功する。

絶対的エースが打たれた動揺もあってか、ここから京都国際の各打者がアンダーハンドの小野涼の投球の前にポップフライの山を築いてしまう。2回に2アウト2,3塁のチャンスを逃すと、その後はなかなかチャンスらしいチャンスも作れずにイニングが進む。

対照的に一関学院は3回裏にも2番千田の四球を足掛かりにチャンスを作ると、4番後藤がエンドランのサインに応えて2打席連続となるタイムリーを放って1点を追加する。森下はスライダー、チェンジアップも一級品だが、ストレートにいつものキレがない分、捕手寄りのポイントまで引き付けられてしまったか。森下はこの回まででマウンドを2番手の森田に譲る。

その森田は最終学年になって台頭してきた第3の男。しかし、森下平野という注目の両輪の陰に隠れながらもじっと牙を研いできただけあり、チームが逆境に立たされた場面で簡単に崩れない。6回裏に5番小野唯からの3連打で1点は失ったものの、コーナーを丹念に突く投球で4回からのロングリリーフをこの回の1点のみで踏ん張る。

投手陣の踏ん張りになんとか応えたい京都国際打線。8回表、ようやく小野涼の投球にタイミングが合い始める。先頭の1番平野が内野安打で出塁すると、2番三浦はライト線へのテキサス性のヒットで無死1,3塁とチャンスを拡大する。ここで3番辻井がきっちり犠飛を放って1点を返すと、2アウト後に5番金沢は高めに浮いたボールを逃さず、センターへのタイムリーとし、2点差に迫る。

押せ押せの京都国際は続く9回表にも連続四球を選んで同点のランナーを出すと、ここで一関学院はついに小野涼をあきらめて2番手の寺尾をマウンドに送る。しかし、京都国際は犠打で1アウト2,3塁とすると打席には1番平野。この夏は投手としては不調が続いたが、この大事な場面で逆方向へシャープに打ち返すと、打球はセンターへと抜けるタイムリーヒットとなって2者が生還。土壇場で試合を振り出しに戻す。

その後は、一関学院の2番手・寺尾が10回表の満塁のピンチを投手ゴロ併殺でしのぐと、京都国際も3番手の松岡が10回裏の1アウト1,3塁のピンチを直球主体の投球でしのぎ切り、両チーム譲らない白熱の好ゲームとなる。

しかし、最後に試合の流れを手にしたのは、自分たちの野球ができている一関学院の方であった。11回裏、先頭の6番小松がシュートをとらえてライトへのヒットとすると、犠打で二進。ここで、2番手でマウンドに上がっていた寺尾がセンターへ詰まりながらもはじき返すと、ボールが転々とする間に2塁ランナーはホームへ。センター三浦が懸命にバックホームするも、あと一歩及ばず、小松が生還し、一関学院がサヨナラで20年ぶりの初戦突破を果たした。

まとめ

一関学院にとっては会心の試合運びで大きな1勝を手にすることとなった。大会注目の左腕に対し、各打者がシャープなスイングでヒットを連ねてKO。さらに先発の小野涼も軟投派投手の真骨頂とも言えるテンポと緩急で強打者揃いの京都国際打線を手玉に取った。

ここ10年は花巻東と盛岡大付が代表を独占していたが、一関学院も毎年のように県上位を賑わせて食らいついていた。久々につかんだ全国の舞台で優勝候補を相手に挙げた白星は、岩手県のレベルが全国上位に来ていることを実感させる勝利でもあった。

一方、京都国際も敗れはしたものの、春から数々の苦境を乗り越えてたどりついた舞台で最後まであきらめない戦いを見せた。特にエースで4番の森下に注目が集まる中、2番手の森田や同点打を放った平野など、その他のメンバーがカバーして4点差を跳ね返し、チーム力が向上したことを感じさせた。初戦敗退には終わったものの、何ら恥じることのない、素晴らしい戦いぶりであった。

【第104回選手権】京都国際 vs 一関学院 ハイライト – YouTube

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